CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のトピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
英文本文の翻訳を航空、旅行業界の豊富な経験と知識で承ります。
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アラスカエアグループとバージン:二つのブランドの並行運用はトレンド=上手く機能させるのは容易でない
23-Jun-2016
アラスカエアグループとバージンアメリカの間で進行中の合併手続きの中で、もっとも議論されて居るのが、実収単価の高い顧客の中にバージンアメリカが育んで来た熱烈なファン意識がある事から、バージンアメリカのブランドを無くしてしまうと言う敏感な問題をどう扱うかと言う問題だ。今やアラスカがバージンアメリカのブランドを維持することを真剣に考え始めて居る様だ。
米国の業界では、合併後も、二つのブランドを維持する事は稀だったが、アラスカとバージンアメリカの組合せは多くの点でユニークで、特に注目すべきは両方のブランドがともに顧客の間に強いプラスの感覚を醸して来た事だ。これは、人気の劣る方の、或は有名でない方のブランドが消えて来た、これまでの米国エアライン間の合併では例の無い事だ。
別々のブランドを運用する複雑さにも関わらず、アラスカには、この戦略を採用する事の賛否両論を真剣に秤にかけるに足る十分な事業上の理由があるのだ。一つの重要な要素は、まず、この取引を魅力的なものにした、売上の水準を維持する事である。
Alaska Air Group and Virgin: Running two brands is a growing trend. Working them is the hard bit
中華航空、アジアでフルサービスエアライン運賃のバラ売りを開始=後戻りは困難
23-Jun-2016
エアラインのハイブリッド化により、欧州や米国では、仮にまだその名称が使えるとすれば、フルサービスと低コストエアラインの境界はぼやけて来た。然しアジアでは、風景はもっと細分化されて居る。
だが、それもまた変わりつつある様だ。派手な宣伝は無いが、中華航空は、サービスのバラ売りへと踏み込んだ。現在の所は、暫定的な動きであるが、中華航空は台北=東京/成田間で新たに、機内手荷物だけの旅客用運賃を提供して居る。これは、基本運賃では無く、残席数によって管理されるものだが、たとえばピーク帯を外れた便の方が取り易い。
中華航空は、これを徐々に、他の路線にも拡大する積もりである。同社は東京/成田を第2の基幹路線とする、LCC子会社タイガーエア台湾を持って居るのに、これはややこしいLCC対策の様に見えるかも知れない。然し、この運賃は、今はまだLCCより大きな、他のフルサービスエアラインと競争する為の一策でもある。
中華航空は、他社と差別化する為には他に何が出来るのかを模索して居るが、チェックインした後の旅客体験に影響を与える様な変更については、消極的である。これには、中華航空と、その競合他社から、進化する道が幾つもある。このバラ売りに、確かな事があるとすれば、それは、後戻り出来ないと言う事の様だ。中華航空にとって、そして、アジア太平洋の航空業界にとっても。
China Airlines begins full service airline fare unbundling in Asia. Going back will be difficult
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デルタ、動き続ける=居心地の悪い孤立に到る可能性も
22-Jun-2016
デルタ航空は、他の米国エアラインと同じく収入に対する圧力に直面して居るのだが、キャッシュフロー、投下資本効果、株主還元など、他の多くの指標から見ても、世界で最も成功したエアラインの一つである。デルタは、米国に於いて、未だ、運賃大系を作り始めたばかりのライバル達に競争力で大きく差を着ける、商品細分化の動きを始めた。
然し、デルタは、また、最近カタール航空がアトランタへの乗り入れを祝う私的な催しを開いたという理由で、長年に亘る地元の劇場のスポンサーを辞める決断に見られる様な、かなり頭痛の種になる動きもして居る。この決断はデルタに対する否定的なPRとなり、航空産業が生き残りをかけるために必要なグローバリゼーションに逆行する、その保護主義的な哲学と言う一般からの見方を実証する事になった。
驚くまでもなく、デルタの新CEOは、湾岸エアラインへの補助金問題の論争や、米国ATCの民営化など、より議論の多い問題で、現状維持という立場を取って居る。デルタがますます、「独力でやる」姿勢を示す状況は、長期的にはブランドとイメージを国際線での拡大への展望をも傷つける可能性のあるものだ。
Delta continues to make moves that could place it in an uncomfortable level of isolation
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ガルーダインドネシア 第3部:新国内線戦略=ガルーダの成長を鈍化させ、LCCシティリンクを加速させる
22-Jun-2016
ガルーダインドネシアは、LCC子会社のシティリンクの国内線拡大を加速させ一方で、主流であるフルサービスブランドの拡大を緩めて居る。ガルーダは副次的なレジャー中心の国内路線をシティリンクに移管し、今までは幹線ルートで並行して飛ぶ事に絞って来た、この姉妹エアラインと、初めて、コードシェアを開始するかも知れない。
ガルーダグループは、ライオングループの子会社バティックエアからの激化する競争と、全般的な国内線の伸びの鈍化の両方に対抗して、その国内線戦略を引っ張りだして来た。バティックはフルサービスエアラインであるが、その運賃が全体的にシティリンクより僅かに高く、ガルーダよりはるかに低く設定されて居るため、シティリンクが脅かされて居るのだ。シティリンクは6四半期連続で黒字を出した後に、2016年第1四半期に再び赤字に滑り落ちて居る。
シティリンクは、基本的に、インドネシアで最低の運賃のライオンと、バティックの間に挟まれた状態だ。ガルーダは、これに対抗するためには、より良い規模の経済を達成し始める中で、シティリンクを急速に伸ばし、市場占有率を向上させ、単位コストを下げる事が必要だと考えて居る。
Garuda Indonesia Pakyrt 3: new domestic strategy is to slow Garuda growth, accelerate LCC Citilink
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シンガポール航空、米国市場占有率奪回を目指す=シンガポール・サンフランシスコ線で
21-Jun-2016
シンガポール航空は、2016年10月、サンフランシスコ直航便を毎日運航を開始して、再び米国市場に供給を始めようとして居る。この新しい便は、2016年6月始めにシンガポール=サンフランシスコ直航便を開設したユナイテッドに対して、より効果的に対抗するために、SIAが2年間で米国への直航便の復便を加速させるのを可能にする、戦略的に重要なものである。
新たな、シンガポール=サンフランシスコ直航便は、SIAの米国路線運航を週間40便から47便に拡大する。然し、その米国線の供給席数合計は、SIAが同時に7便の機材をA380から777-300ERに小型化する為に、比較的小さく9%の伸びにしかならない。
この9%の伸びは以前に行った米国線のかなりの供給減を部分的に相殺するに過ぎない。SIAは2013年遅くに19%、そして2015年に更に5%、米国線の供給を削減して居る。結果として2016年11月のSIAの米国線供給席数は、丁度3年前の状況に比べて依然として12%少ないのである。アジアの競合他社の殆どはこの間に、米国線供給をかなり伸ばして居るのだ。
Singapore Airlines begins attempt to regain US market share with Singapore-San Francisco nonstops
バリュー・アライアンス:ハブ、焦点空港そして路線=メンバーがシナジー効果を享受できる可能性
20-Jun-2016
バリューアライアンスが、2016年5月に第2の低コストエアラインの連盟として発表されて以来、業界では、如何に、そしてどこでこのアライアンスがシナジー効果を発揮できるか興味を呼んで来た。バリューアライアンスは、CAPAが成田で開催した北アジアのLCCサミット(2016年6月7日・8日)での人気の高い議論であった。東京/成田はバリューメンバー(5社)がどの他の空港より多くの便を飛ばして居る空港だ。然し、アジアで最も人気の高い空港には、そこを本拠地とする地元のバリュー・メンバーが居ない。それは台北と香港である。
便数から見ると、地元のメンバーを反映して、マニラとバンコク/ドンムアンがバリューの便の最も多い空港である。ある空港の地元のバリューメンバーが明らかにハブを支配して居る例がバリュー便の90%を占めて居る。これは、他のメンバーにとって強力な送客路線網を創出してくれるが、同時に、可能性として激し過ぎる競争も生みかねない。
メンバー各社が、重複して居るのは、これまでの所、6路線だけで、バリュー以外のLCCに対する規模の有利さを与えてくれる。この同盟の効果を評価をするには時期尚早ではあるが、新規目メンバーが加わるだろうし、既存のメンバーは成長して行くだろう。今回の分析は、協力することによって、路線網の商機がどこにあるかを検証する。
Value Alliance: the hubs, focus airports and routes where alliance members might gain synergies
エアカナダ、ピーク期に向け供給を積み上げ=長期的に労使関係の安定性が改善して
19-Jun-2016
エアカナダは、供給の大半が大西洋横断と太平洋横断路線など長距離の国際線市場に投入されて居るため、依然として北米の夏期ピークシーズンへの明るい見通しを持ち続けて居る。国際線の拡大は、米国の大きなグローバルエアラインである競争相手に対抗する長距離路線網を構築する事を目指すに当たって、同社の最も重要な優先事項である。
同社は、向こう数年間で、米国からの第6の自由輸送権需要の旅客市場での占有率を倍増させることを目標に、その流れを牽引する事を継続して居る。エアカナダはまた、巧みに反トランプ感情を利用して、米国市民に対し、移住を決心して実行する前にカナダを「試乗」して見る事を勧める、賢いキャンペーンを創りだして居る。
手強い労使交渉に直面して居る、幾つかの大手米国エアラインとは逆に、エアカナダは全ての主要労働組合が長期契約に入り、今や安定した労使関係を享受して居る。これらの労働協定の寿命の長さが他の米国の同業社には真似できない、一定程度の労働コストの安定をエアカナダに与えてくれて居る。
Air Canada bulks up capacity for the high season as long term labour stability improves
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ガルーダ・インドネシア 第2部:ロサンゼルスを始めとする米国への拡大=困難でリスクを孕む
19-Jun-2016
ガルーダ・インドネシアは、インドネシアの監督官庁が、予想される米国FAAによる安全格付けカテゴリー1への格上げを確保する事を条件に、2017年、ロサンゼルス線を開設する準備をして居る。米国への便は、ガルーダが国際線での存在感を押し上げる戦略的計画全体の中でも、最大の、そして最高にリスクのあるものだ。
ガルーダのブランドは、もう20年以上も飛んで居ない、米国市場では知られて居ないし、同社は、極めて厳しい競争に打ち勝たねばならないだろう。ガルーダは、タイ航空とマレーシア航空によるロサンゼルス線休止の後、米国市場に於ける、東南アジアのエアラインとしては、僅か第3番目となる予定だ。然し、ロサンゼルスは殆どがインドネシア=北米間市場の乗継サービスを提供する北アジアのエアラインが多く就航して居り、タイ航空とマレーシア航空の撤退が、ガルーダが直面するだろう問題を良く物語って居る。
ガルーダは当初、商品の差別化が図れる、ジャカルタ=ロサンゼルス直航を望んで居た。然し、現在ガルーダは、少なくとも当面は東京経由のワンストップ商品に落ち着かざるを得ないと理解して居る。ガルーダは、日本と米国間の地元需要を摘み取れる事で有利であるが、東京=ロサンゼルス間は極めて競争の激しい路線である。l
Garuda Indonesia Part 2: US expansion, starting with Los Angeles, will be challenging and risky
アラスカ、ジェットブルー、そしてサウスウエストのコスト予測=短期的には良好だが、長期的には問題が立ちはだかる
19-Jun-2016
丁度、米国の3大エアライン、アメリカン、デルタそしてユナイテッドがその単位コストを抑制しようと努めるのと同様に、そのライバルである、アラスカ、ジェットブルー、そしてサウスウエストも、現行の米国での収入環境が弱いままである事から、それぞれの単位コストの抑制に取り組んで居る。
後の3社は、将来それぞれ異なるコストの動きに直面する。アラスカは、今後全体統合の作業が進む中で避けられないコスト圧力を産む、バージン・アメリカとの統合に乗り出そうとして居る。サウスウエストは、短期、中期の業績を予想する事を困難にする、パイロット及び客室乗務員との複雑な交渉の最中である。ある時点でジェットブルーもまた、同社のコスト構造に影響を与える新規パイロット協定に結論を出す事になるだろう。
2016年第2四半期及び通年のアラスカ、ジェットブルー、そしてサウスウエストのコスト業績予測は、アラスカが業績基準の給与でのコスト増に牽引され、2016年目標を僅かに調整したけれど、かなり良好の様だ。然し、このコストは同業他社に比べて、競争力を持ち続け、大規模ネットワークエアラインのそれより、確実に低いままで無くてはならないのだ。
Alaska, jetBlue and Southwest cost projections; good in the short term but long term challenges loom
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米国3大エアライン、単位コスト実績維持を目指す=労使交渉が過熱する中で
17-Jun-2016
殆どの米国エアラインでは、各社が投資家の懸念を和らげ、単位収入をプラスの軌道に乗せるべく努める中で、利益率が上昇し、単位収入が低下すると言うパラドックスが2016年第2四半期にも続きそうである。然し、アメリカン、デルタそしてユナイテッドの3大エアラインが利益率上昇の予想を継続させる為には、好適な単位コストを維持する事が極めて大切である。
燃油価格はここ暫く上昇して居るが、エネルギーコストは未だに歴史的水準を下回り、アメリカン、デルタ、ユナイテッドの単位コストを抑制するのを助けて居る。2016年度、燃油を除いては、上昇する労働コストや、収益配分などの違った要素に引きずられて、各エアラインの予想は異なって居る。
アメリカンの前年の単位コストは、2015年にパイロット及び客室乗務員と合意した労働契約に影響を受けた。デルタとユナイテッドも、複数の従業員グループと契約交渉中であり、労働コストの上昇を乗り切る必要がありそうだ。多くの米国エアラインが、コスト削減への努力を無駄にしない、良い契約条件を得ようと力を注ぐ中で、将来のコスト実績の不確実性に直面して居る。そして世界は動いて行く。
The US Big 3 work to preserve their unit cost performance as labour talks heat up
香港航空と香港エクスプレス、難しい棲み分け=香港ー日本間路線で重複する中で
17-Jun-2016
香港航空が東京と大阪への路線を再開する事になり、二重ブランド戦略は、試練を迎えて居る。同社がこれらの市場に短期間就航して居たのは、堅固で急成長中のLCC香港エクスプレスになった事業分野を切り離す前の事だった。東京と大阪は香港エクスプレスの最大の2路線で、双方で全供給席数のほぼ1/3を占める。表向きは、2路線は、異なる客体に焦点を当てて居るが、それぞれの核となるのはともに、レジャー旅客である。
香港航空は、豪州の複数の大都市へのコードシェアや、北米、欧州への自社便運航など、かなりの長距離路線拡大の準備を進めて居る。東京と大阪路線は、同社がどんなプレミアム旅客需要、そして独自の判断で動くプレミアムレジャー旅客を獲得できるか、そしてまた、市場は、香港航空の価値と洗練さを認めるのか、或は高くても伝統のキャセイパシフィックを選ぶのか、安い香港エクスプレスにするのかを示すと思われる。東京、大阪の供給量は、キャセイが43%近くになるのに比べ、香港航空と香港エクスプレスは併せて24%を占める。香港と日本の間のLCC市場は急速に伸びて居り、東京線で23%、大阪線で35%など、ともに5年前にはゼロだったところから、全市場の27%を占めるまでに成長して居る。
Hong Kong Airlines and HK Express - complex segmentation as they overlap on Hong Kong-Japan routes
バージン・オーストラリアの乱気流:勝者が生まれ、変革も=バージンの持ち株リストの回転扉が回って
過去1か月間というものは、バージン・オーストラリアにとっては、興味深いものだった、と中国人は言うかもしれない。中国のHNAと南山集団と言う新しい2つの株主の登場、関係悪化して居た株主1社の退場、今や大がかりなリストラが30分間の予告で、疑いを持たない世界に周知され、(以前の)最大株主エティハドを置き去りにするかの様な変化、これらが皆、煙幕の向こうで起こったのだ。
財務のリストラは、暫くの間、風の中にあったが、2016年6月15日に株式を1対1で発行するという息をのむ発表について、説明する事は少ししか無かった。これは完全に支払いが保証された、8億5,200万豪ドルの資金調達と、先に発表されたHNAの刷新費用に充てられる1億5,900万豪ドルの提案が含まれ、合計総額は僅かに10億豪ドルを上回る。
これは、すかんぴん状態のバージン・オーストラリアには良い知らせの様に響くが、ほとぼりが冷めた後に勝者と敗者を見極めるまでには更なる問題が待って居る。
Turbulence at Virgin Australia: Some winners, some changes. Virgin's share register revolving door
エチオピア航空、西アフリカで拡大=トーゴの737-800、子会社ASKYそしてローム-ニューアーク線開設で
16-Jun-2016
エチオピア航空は、トーゴを本拠地とする子会社ASKYと、ロームからニューヨーク、サンパウロへの新たな長距離路線の拡大を通じて、西アフリカでの事業を構築しようとして居る。ASKYは、保有機としては最大の航空機となる、2機の737-800を受領して、19の目的地の幾つかに、供給を増強しようとして居る。
ASKYは、2016年6月始めに、最初の737-800を受領したが、これで、同社の保有機は、3機の737-700、4機のボンバルディア ダッシュ8Q400など全8機となる。ASKYは、2016年末迄に、2機目の737-800を受領する予定だが、これは更なる供給増を図るべく、ダッシュ8Q400の1機を更新するのに使う計画だ。
エチオピア航空は、2016年5月、ロームからサンパウロへの便を復活させたが、2016年7月始めには、ロームからニューアークへの路線を開設する計画だ。ASKYはこの両方の長距離路線に重要な送客役割を担うとともに、その拡大により、西アフリカ市場内の占有率を向上させる事が出来る。
Ethiopian Airlines expands in West Africa with 737-800s at Togo affiliate ASKY & Lome-Newark service
北アジアのLCC:低い浸透率が成果を覆い隠す=そして激しい競争を
16-Jun-2016
北東アジアは、屢々、LCCの発展の中ではのろまであると考えられて来た。これまでの所、東南アジアでは56%、西欧では40%であるのに比べて、この地域では、LCCが運航して居るのは、供給席数の11%である。然し、東京/成田で開催されたCAPAの北アジアLCCサミット(2016年6月7日〜8日)の出席者たちは、これらの数字は、特定の市場でかなりの参入があることが覆い隠して居る実態を聞くことになった。すなわちLCCは韓国国内線の供給の40%、日本=韓国線の38%、そして台北/桃園=大阪/関西線の30%を占めて居るのだ。
日本、韓国、中国本土、香港、そして台湾のLCCのCEO達は、彼らの持つ商機について、そして障害となる問題についても語った。限られた発着枠、運送権が最も共通の悩みだが、また、保護主義的政策、緩慢に進化する監督官庁、そして空域の制限も同様だ。
北東アジアのLCCが単独で結成したU-Fly アライアンス、一方、バリューアライアンスは、北東、東南及び豪州のLCCがメンバーである。東南アジアでは、同一ブランドの下、エアラインの共同事業での運航が特徴的だが、北東アジアでは、独立したエアラインがより多い。
中国国内市場で、より大きな市場占有率を獲得しつつあるLCC各社は、この地域の全体の占有率に、今後大きな影響を与えるだろう。アジアのエアラインは中国の成長を取りこむために、戦略を変えて居る。LCCを使う事で、シンガポール航空はキャセイパシフィックより多くの中国国内地点に便を飛ばして居る。
LCCs in North Asia: low average LCC penetration disguises achievements and intense competition
ガルーダ国際航空 第1部:戦略的国際線拡大=そしてジャカルタでの野心的ハブ計画
16-Jun-2016
ガルーダインドネシアは、長期的な戦略としては喫緊の課題として、国際線の拡大に力を注いで居る。同社はガルーダの国際的位置づけを向上させ、ジャカルタを主要な乗継ハブに育てるための戦略の一部として、採算の取れない長距離路線を開設し、維持する事も厭わない考えだ。
ガルーダは2016年3月末に開設し、初期の搭乗率が50%を超えないのを経験した、ロンドン/ヒースローでの実績を向上させようとして居る。
ヒースロー、アムステルダム、そしてこれから考えられる長距離路線の新たな目的地は、ガルーダが国内線で稼いだ利益から喜んで資金を回す長期的な投資なのである。
ガルーダはまた、ASEAN内での同社の位置づけを向上させ、新たな中長距離路線に送客するための、域内国際線網の構築にも意欲的だ。ガルーダの持つ、東南アジア/ASEAN域内で国際線目的地は、現在、わずか3地点である。
Garuda Indonesia Part 1: Strategic international expansion and an ambitious hub plan for Jakarta
中国の航空:活動停止の報道は大きく誇張されて居る=出国旅行者急成長の中で
中国は、中東での不安定な政情、そして健康に対する不安などと並んで、航空業界が直面する障害について書きたいと探って居る人々には、なんでもありの口実になって居る。これらの懸念の中で、ブラジルの経済的脆弱性など、他所の場合は確かに根拠のあるものかも知れないし、深刻な影響を見せて居る。
然しながら、中国の航空業界の見通しは、輝いて居るだけでは無い。それはおそらくこの国の歴史始まって以来、最強のものだ。中国の航空業界は向こう数年間、多分10~15年間続くと予想される発展の黄金時代の一部として、上昇傾向に向かって居る。
国際線の事業は、単なる市場規模から、提携関係や世界的航空アライアンスに影響を与えるなど、膨大な規模の成長と変化を生み出しつつある。国内線市場は引き続き、国有と民間のエアラインにより輪郭が描かれる状況は変わらないだろう。新規起業l組の大量参入も起ころうとして居て、その中には他より優れたビジネスモデルもある。低コスト商品への移行も歩調を合わせて続くだろう。
Chinese
aviation: reports of its demise are greatly exaggerated, as outbound tourism burgeons
ジンエア、拡大し、親会社大韓航空の評価も=次は多分、豪州線
2015年に公開し、暫く、エアアジアより高い、市場資金調達率を記録した、独立系のジェジュエアの成功は、この大韓航空の子会社が韓国最大のLCCとなる様に、更なる成長へとジンエアを元気づけたた。全体としてはチェジュエアが依然大きいままだが、ジンエアは追い上げて居て、2位の地位を確たるものとし、チェジュエアとの差を縮めて居る。
ジンエアの上席副社長マーケティング部長のエミリー・チョーは東京/成田で開催されたCAPAの北アジアLCCサミット(2016年6月7日〜8日)で、ジンエアは2016年7月に、保有機数を22機とすると語った。ジンエアは、他のLCCが成長してこの市場に入って行く様に、ついにソウル=東京の幹線に参入しようとして居る。もしジンエアが韓国のLCCをリードする存在なら、より多くの市場でもイニシアティブを発揮しなくてはならないだろう。
ジンエアは韓国で、そして北東アジアで唯一の広胴機を運航するLCCである。その最初の長距離路線であるホノルル行きは、それまで伸び悩んで居たハワイへの韓国人旅行者の数を刺激する事が出来た。ジンエアは大韓航空とのコードシェアを増やして居り、ジェットスター・グループなどとのインターライニングも確立して居る。これは、韓国豪州間の直航便供給が減少して居るのに、第6の自由運送権による需要が強まって、旅客数が上昇して居る、ソウルから豪州の長距離路線に盗難ん将来就航する事を示唆して居る。
Jin Air expanding and receiving greater recognition from parent Korean Air. Maybe Australia next
エアアジアの子会社全7社、2016年度第1四半期に業績改善=東南アジアのエアライン収益50%増加
東南アジアのエアライン分野は、低い燃油価格と域内の殆どの主要市場での好調な状況に後押しされ、2016年第1四半期に、更なる収益改善を経験して居る。然しながら、東南アジアでの収益性は幾つかの市場での激しい競争と、供給過剰の所為で、他のどの地域に比べても低い水準に留まって居る。
東南アジアのエアライン20社のサンプリングを見ると、エアアジア・ブランドの全7社など、14社が対前年で、改善して居る事を報告して居る。
2016年第1四半期の収益の増加は、7億ドルに近く、2015年の大きな改善に続いて居る。この同じ20社の東南アジアのエアラインのグループは、市場が著しく厳しかった2014年の、累積赤字8億ドルから、2015年には12億ドルを超える利益へと大きく振れて居る。2016年第1四半期の利益は2015年通年の利益の半分以上の水準になって居り、2016年通年の見通しは、今や比較的明るいものになって居る。
All 7 AirAsia affiliates improve in 1Q2016: Southeast Asian airlines' profits increase 50%
エアマルタ:長年の赤字会社、台頭するLCCの競合に苦闘=アリタリアが投資を考慮
12-Jun-2016
2016年4月27日、アリタリアはマルタ政府とエアマルタの49%までの買収の可能性に関する覚書に署名した。両エアラインはマルタとイタリアの地理的な近さ、文化的、商業的な結びつきで繋がって居る。然しながら、双方とも長年の赤字会社で、アリタリアは、エティハドの投資を受けて以来、18か月ほど、自身の黒字転換の為に集中して来た。このイタリアの国営航空は、エアマルタが、戦略的発展を補完する事が出来ると同時に、自身のリストラ計画の中で、妥協する事が無いと自信が持てた時に初めて手続きを進める予定だ。
エアマルタは、現在、欧州だけを飛ぶエアラインである。2015年11月の3カ年計画の下、2016年、事業全体で、供給削減を行い、北アフリカ線を廃止した。CAPAが最後にエアマルタの詳細な分析を行った2013年に比べ、同社の今夏の供給席数は、9%減少して居り、保有機数は2機減って、8機となって居る。エアマルタの、極めて季節変動が大きく、レジャー需要の強い路線網は、激しくなるLCCとの競争に直面して居る。同社はこれまで、他社と差別化出来る余地の殆ど無い、近距離で、プレミアムの無い、単純地点間連絡ばかりの商品で、悪戦苦闘して来たのだ。
Air Malta: perennial loss-maker struggles with rising LCC competition. Alitalia considers investing.
アジアLCCバリュー・アライアンス、新たな方向性を築く=乗継の新技術基盤を駆使して
10-Jun-2016
アジアのLCCの分野は、提携関係と新たな緩やかな形のアライアンスを手にして更に進化して居る。新たに結成されたバリュー・アライアンスと、より小規模で中国を本拠とするU-FLYアライアンスが2016年早くに、同じ技術基盤を使ってスタートし、アジアの各主導的LCCグループに対する、新たな対抗手段を示して居る。
提携関係は、比較的混み合った、ますます競争の激化するアジアの市場で成長への新局面を切り開くためには、極めて大切な要素である。これがこの地域の3大グループであるエアアジア、ジェットスターそしてライオンに属さない、独立系LCC各社には特に重要である。バリューとU-FLYのメンバーは、併せて、アジア太平洋地区のLCC全供給席数の19%を占めるが、これに対して、エアアジア/エアアジアXは16%、ライオンは11%、ジェットスターは9%である。
アジア太平洋に本拠を置くLCC全53社のうち、9社がバリュー・アライアンス、4社がU-FLYのメンバーとなった。エアアジア/エアアジアXは現在8社の子会社または関連会社を持ち、9社目が2016年末までに営業開始予定である。ライオン・グループはLCC3社で構成され、一方、ジェットスター・グループは4社の子会社または関連会社を持って居る。
Asian LCC Value Alliance establishes a new direction, using a new connectivity technology platform
南アフリカ航空、域内拡大と新提携先を探究=然し展望は厳しい(アップデート)
南アフリカ航空(SAA)は、再び、新たな提携先と路線網の拡大を追求して居る。SAAは上手く行かなかった最初の提携の試みに次いでエティハドと再度結ぼうとしており、2016年第4四半期に2機のA330-300を受領した後に、新規路線の開設を熱心に検討して居る。
然し、如何なる拡大もSAAが、長期に懸案となって居る障害に対決するまでは、収益を上げるのは難しいと思われる。同社は未だに以前の黒字転換計画を全面的に開始して居ないし、なおも緊急に資本注入を必要として居る。
全面的で、深いリストラが必要なのだが、現在の政治的環境下では無理の様に見える。繰り返し行われる政府からの口出しでSAAは極めて難しい状況に追い込まれて居るのだ。同社は非常に困難な状況にあり、その将来展望は依然として厳しい。
South African Airways seeks regional growth and new partnerships, but outlook remains bleak. UPDATE
中国のエアラインの長距離路線拡大でアジアの力の均衡が変化=東南アジアが縮小する中で
アジアのエアラインは、今や自ら一生に一度の事だと見る様な長距離路線拡大に乗り出して居る。2014年以来、新たな長距離目的地の開設が加速して居るのだ。中国本土を除く北東アジアで、2014年以前の7年間に開設され、2016年にも続いて居る目的地は19地点である。ところが、2014年以来3年間で、彼らが開設した、または開設を予定して居るのは24市場である。ANAとキャセイパシフィックはそれぞれ9地点を開設して最大の拡大を示した。
中国本土のエアラインは2006年以来75地点の長距離市場を開設し、更にもっと高い記録を達成しようとして居る。中国国際航空が17市場、次いで海南航空が16市場である。75の目的地の内、51地点は2014年以降に開設されたばかりである。東南アジアは、収縮の物語である。かつてマレーシア航空はアジア以外の目的地にとって、世界第3位のエアラインだったが、今では四川航空がマレーシアと並んで居る。フィリピン航空とシンガポール航空(SIA)は市場を増やしたが、SIAにとっては僅かな純増にしかなって居ない。
Chinese airlines' long haul growth tilts the balance of power in Asia, as southeast Asia shrinks
バージン・オーストラリア、2017年に北京・香港線を開設=HNAとの提携の下で、発着枠が許せば
2017年、バージン・オーストラリアの長距離路線網は、アブダビ、ロサンゼルスへの路線が開始されるとともに、2017年6月1日に未発表の豪州都市から、毎日運航を開始する計画の北京、香港線が加わって、倍増する予定だ。A330-200による、この路線が、豪州国内市場から広胴機を国外に引き出すのを助ける事になる。北京・香港線はバージンの19.99%までの買収を予定し、まず13%の持ち株投資を発表した、中国本土のHNAグループとの連携の一部である。
北京はHNAの旗艦である海南航空の本拠地であり、香港はHNAの香港航空の本拠地である。中国での規制、そして香港での2国間協定の制限から、HNAグループのエアラインは基幹路線は飛べない。バージン・オーストラリアは海南航空が中国で直面するこれらの規制の対象にならず、豪州エアラインとして余って居る香港線の便数枠を使う事が出来る(香港を本拠地とするエアラインは割り当て枠を使い切って居る)。
然し、バージン・オーストラリアはそこで不透明な、特に北京での発着枠を確保する必要がある。提携相手がこの発着枠の獲得を助けてくれる、或は分けて呉れることさえ考えられるが、競争相手の自己防衛的な行動も見くびる事は出来ない。焦点は商業的取り決めとそれがバージンにとって利になるかと言う点に移る。香港は豪州発の需要をいくらか創出するだろうが、路線はどちらかと言えば、HNAとその連携社、旅行会社で大いに売られる事になるだろう。この香港便は香港航空の中国本土の、特に北京よりも香港の方が乗継に便利な路線網に食い込んで行く可能性がある。
Virgin Australia to commence Beijing and Hong Kong services in 2017 under HNA deal, if slots allow
キャセイ-ルフトハンザ、航空貨物共同事業=拡大する湾岸エアラインの役割への対抗手段の一例
7-Jun-2016
長引く航空貨物市場の低迷の問題の中に、湾岸エアラインが欧州アジア間の貨物を輸送する役割と言うのがある。湾岸のエアライン各社は、既に、多くの市場間を人々を移動させる事に長けて居る事を証明して居る(全く儲けなしにと言う向きもある)、貨物での役割は、ずっと静かだが、影響が出ないわけでは無い。
湾岸のエアラインは、貨物のハブ空港から、自分の本拠地まで貨物専用便を提供し、そこで、より低コストな旅客便の貨物スペースに積み替える。欧州とアジアのエアラインの典型的な例は、全旅程を貨物専用機で、それもより高コストで飛ばす。結果として、アジア、欧州間の貨物便は大きく減少してしまった。湾岸のエアラインは、2010年以来、欧州、アジア間の旅客便を倍増させ、貨物に潤沢なベリースペースを創り出したのに加え、2012年以来、貨物専用機を増やして来た。
これに対抗するのは、ルフトハンザ-ANA、IAG-カタールなどの、未だに小数だが、増大する、共同事業の数だ。この二つは、スター及びワンワールドと言うアライアンスのグループ内で座りが良いが、最近のスターのルフトハンザとワンワールドのキャセイのJV形成は、低迷する貨物市場への解決策は、より深い対策が必要な事を示して居る。
Cathay-Lufthansa air freight JV an example of responses to the growing role of Gulf airlines
フィンエア、長距離路線拡大を加速=欧州-アジアのニッチな立場を基礎に、A350と労組合意のお陰で
2016年5月25日、フィンエアの2016年資本市場デーは、CEOペッカ・バウラモの同社における、最初の3年間の業績を記録する好機だった。2013年6月1日に彼が就任して以来、フィンエアはワンワールド大西洋横断共同事業、JAL-BA共同事業への参入を完成させ、労働組合との再交渉などで、コスト削減計画を開始、エアバスA350の初号機を受領した。2014年に損失を出した後、2015年には黒字を回復し、2016年第1四半期実績は、バウラモの中期利益率目標には達しないものの、更なる進展を見せて居る。
フィンエアは今や、欧州=アジア間をつなぐニッチな立場を基盤に、長距離路線の拡大計画を更に活性化、加速させて居る。2010年のアジア線のASKを2020年までに倍増する目標は、2018年に先送りされて居り、小規模の追加投資で達成できそうである。再調整された営業的な戦略で、フィンエアは単位収入の弱い環境にあって、市場のRASK水準を上回る業績を継続したいと考えて居る。また、拡大、保有機のアップグレード、そして労働生産性の改善を通じて、フィンエアはCASKも大きく低減させたい考えだ。フィンエアの経営陣は確かに過去3年間のどの時期に比べても、将来の展望について、より大きな自信を持って居る様だ。
Finnair accelerates long haul growth based on Europe-Asia niche, thanks to A350 and labour deals
アビアンカ、レバレッジ目標の達成に努力=2019年までのCAPEXを削って
6-Jun-2016
ラテンアメリカのエアライングループである、アビアンカホールディングズは域内の競合他社と同様に、長引く域内の低調な経済に耐える体質を作るために、債務の削減への段階的な対策を取ろうとして居る。2016年、アビアンカがやろうとして居る最も大切な変更は、エアバス社との発注計画書を再検討して、2017年~2019年の間の機材受領を削る事で、これがアビアンカがレバレッジ目標を達成するのに極めて重要な要素となる。
この地域の経済は、2016年には2期連続で下降すると予測されて居り、昨年はほぼ、全てのラテンアメリカのエアライングループが、保有機数の拡大を緩める為の種々の対策を講じて居る。アビアンカの実収単価の下降は2015年第4四半期から2016年第1四半期へと改善(減った)したが、第2四半期はエアラインにとって典型的に低調な時期であり、実収単価の実績も、2016年度下半期に僅かな改善を見せる前に、滑り落ちてしまう可能性がある。
この厳しい環境にも関わらず、アビアンカは保有機材発注の再検討と、コスト削減の努力をして居る事から、比較的に楽観的な展望を描いて居る。アビアンカは未だに2016年に供給を拡大する計画のままであるが、その伸びは同社が2015年に達成した8%の増率をかなり下回る事になるだろう。
*CAPEX:capital expenditure設備投資のために支出する金額
Avianca works to attain its leverage leverage goals by slashing its capex commitments through 2019
アフリカの展望:エチオピア航空とエアモーリシャス拡大=他は逆風に直面
3-Jun-2016
アフリカは、何十年間も言われて居る様に、巨大な商機に恵まれた地域であるが、障害は更に大きい。アフリカのエアラインは、ずっと苦戦を続けて居り、他のどの地域も今日の好況の中で利益を出して居るのに対し、全体として赤字のままである。
アフリカの各国政府の構造的な変革と、新しい考え方が、何としても必要とされて居る。
エアラインに対する政治的な介入、そして政府の口出し、保護主義と、不必要に高い税金が、どこにも共通する問題である。
このレポートでCAPAは、南アフリカ航空の長引く苦戦の模様と、ともに新たな乗継ハブの開発に熱心な、エアモーリシャスとTAAGが追求する新たなビジネスモデルについて検証する。エチオピアの急速な拡大と、特筆すべき成功例が、正しい戦略さえあればものに出来る、アフリカに於ける商機と言うものを浮き彫りにして居る。
Africa Outlook: Ethiopian Airlines and Air Mauritius grow, but others face strong headwinds
CAPA豪州太平洋航空サミット:CAPA、これまでで最大のイベントの議題と出席者を発表
3-Jun-2016
CAPA豪州太平洋サミット2016の、国内外のエアライン、空港のCEO達や、業界の監督官庁から、技術専門家、そして産業界のリーダーなどを始めとする主要な講演者と議題の第1弾がベールを脱いだ。サミットは8月3日〜5日の日程で、ブリスベーン・コンベンション&展示センターにて開催されるが、ブリスベーン・マーケティング&ファウンデーション・パートナー、ブリスベーン空港会社が自信をもって主催する。
今年、最大の航空と旅行戦略のサミットは、5つのイベントを一つに纏めて行う。
l 訓練&安全サミット 8月3日
CAPA Australia Pacific Aviation Summit: CAPA launches topics and line-ups for biggest ever event
インドの航空市場20%の急上昇=経済成長と低燃油価格で
3-Jun-2016
インドの航空業界は、何年もの間、将来を嘱望されてきた後、漸く、期待を実現し始めた様だ。現在の所、世界の主要航空市場の中でも最速の成長を示して居る。約7.5%と言う強固なGDP成長率をもって、インドは経済成長レースで中国を凌いで居る。
一方、燃油価格の低下が、より低い運賃を支え、国内旅行者数で、対前年20%を超える成長を牽引して居る。インドのエアラインは、ついに儲けの計上さえし始めて居る。
創業してまだ、ほんの10年にも成らない、LCCインディゴは、既に国内業界を支配する存在になって居る。インドの会計年度の終わる2016年3月31日には、インディゴは、旅客占有38.4%を占め、国内市場で最大のエアラインとなり、次いで20.2%でジェットエアウエイズが続いた。LCC各社は、国内旅客の61.7%を占めて居る。
India’s aviation market surges 20% on economic growth and low fuel prices
中国が唯一では無い=アジアの成長する航空市場は他にも
3-Jun-2016
中国は市場の成長可能性については、常にトップニュースの座を勝ち取り、人々の想像を掻き立てるが、それは確かにその通りで、この10年間の終わりまでに、毎年1億人の旅行者を生みだすと予想されて居る。然し東南アジアには大きな可能性と、注目すべき、将来への成長の好機が約束された他の市場が存在する。
この何年か、大規模な航空機発注リストがこの地域の頭上に浮かんで居ることが、世界の業界から大きな関心を集めて居る。このリストの多くは、新しいLCCが拡大し、域内交易が発展するのに伴い、近距離市場に向けられたものである。成長率は鈍化して居るけれども、この航空機発注リストは、東南アジアでのLCCの拡大が、ある時点で、再度加速する事を示唆して居る。東南アジアのLCC各社は現在、ほぼ90機の広胴機を含む、1,100を超える機材を発注して居る。LCC各社の現役機材数は東南アジアのエアライン全体の33%を占めるに過ぎないが、発注機数は約75%を占めて居る。機材更新の要素を考慮しても、LCCの保有機材の規模は次の10年間で、2倍以上に拡大する筈だ。
3つの東南アジアの市場が、2015年に旅客数で2桁成長を記録して居る。タイ、ベトナムそしてカンボジアである。一方、もう3つの市場は、1桁後半の成長を体験して居る。フィリピン、ラオス、そしてミャンマーである。インドネシアとマレーシアは最近、苦戦して居るが、中長期的には、再び、より速い成長を見せる筈だ。インドネシアは2億人の人口を擁し、多分、静かに中期的な拡大を示すだろう。タイとベトナムは、目下東南アジアで最も熱い市場であり続ける。ミャンマーもまた、興味をそそるが、ずっと小規模である。
China is not the only game in town: Asia’s other aviation growth markets
米国のULCC、ハイブリッドエアライン=真のLCCが絶滅危惧種に見えて来る
3-Jun-2016
2000年代中頃に、低コストエアラインが、より洗練されて来るにつれ、ハイブリッド・ビジネスモデルという言葉が北米の地元航空業界に入って来て、彼らの戦略に、サウスウエストが先鞭をつけた、伝統的な低コストという青写真の境界を越えた要素を加える事になった。場面を2016年に早送りすると、北米の低コストエアライン各社が、フルサービスエアラインのものだとされるサービス商品の多くを取り入れた事から、また各社が多くの低コストの要素と織り交ぜたことから、ハイブリッドと言う言葉は既に時代遅れとなりつつある。
北米のエアラインは今や4つのビジネスモデルに区分けする事が出来る。即ち、フルサービスエアライン、高付加価値の低コストエアライン、超低コストエアライン、そして未だに低コストの典型を追求し、より高級層向けの低コストエアライン商品は提供しないサウスウエストである。ジェットブルーは、完全フラットのビジネスクラス席を呼び物に成功したミントの経験から、低コスト商品の進化の境界を押し上げたけれども、北米のどの低コストエアラインも(まだ)これに続く決断はして居ない。カナダの低コストモデルであるウエストジェットはハイブリッド化して居り、ウエストジェット・アンコールに域内機材を追加して、主な国内線の競合社に対抗して競争力のある戦力の帯域を広げ、大西洋の長距離路線へと進んで居る。
未だ成熟度の低いラテンアメリカの航空市場では、低コストエアラインモデルは、3社のLCCとフルサービスエアライン1社が旅客をバス旅行から奪おうと戦って居るメキシコを除き、依然として進化を続けて居る。ブラジルとコロンビアにもまた、低コストエアラインが現れて居るが、このビジネスモデルは、特に新規参入者が計画を実現しようとすると直面する、厄介な管理上の規制の障壁がある事から、概して南米では、低調である。
ULCCs, hybrid airlines in the Americas. True LCCs start to look like a vanishing species
米国の事前入国審査制度=ダブリン空港の急速な成長、米国へのアクセス拡大に支えられる
2-Jun-2016
IATA2016年AGM及び世界航空交通サミットがダブリンで開催され、米国の事前入国審査が好適な議題となった。まずシャノンそしてダブリン空港という早期に事前入国審査制度を導入した
空港が大きな成功を納めたからだ。彼らの成長には他の要因もあるけれど、例えば地理的な好条件、利用者に優しい税制などアイルランドからの米国への乗継を最適なものにするために、事前審査制度が追い風になって居る。
米国の事前入国審査制度は、アメリカ合衆国税関・国境警備局によって組織され、第1期計画として世界の15空港に導入し、現在これを拡大する過程にある。
9カ国の10空港が選ばれ(25の申請の中から)、目下、地元政府と運用開始について交渉が行われて居る。
US immigration pre-clearance: Dublin Airport's rapid growth has been supported by enhanced US access
東南アジアのLCCモデル、進化する=展望は依然明るいが、成長が鈍化して
東南アジアのLCC分野は過去10年間に亘り、爆発的な成長を遂げた後、新たな局面に入りつつある。近距離路線における供給拡大率は鈍化し、域内のLCC浸透率を小規模ながら下降させて居る。収益性もまた、懸念されたままで、2015年通年で殆どの市場では、すこぶる状況が良かったにも拘らず、域内の半数以上のLCCが赤字だった。
然し、成長は、より浸透率の低い、中距離分野で加速して居る。特に世界第2位だが、最も発展性のあるLCC連盟であり、地域を網羅するメンバーが集まり、共同販売の基盤を持ったバリューアライアンスを頂点として、LCCがこれまでの地点間モデル以外に新たな拡大の好機を求めて、提携を模索する活動が増えて居る。
提携関係は、エアアジアとライオングループに属さないLCCにとっては特に重要である。エアアジアとライオンは東南アジアのLCC市場の、それぞれ、30%を占め、約900機に上る、膨大な機材発注書を持って居る。
LCC models in Southeast Asia evolve as growth slows, though outlook remains bright
HNA/海南航空、バージン・オーストラリアに持ち株、これまでで最も意味ある買い物=そしてバージンの賢い動き
1-Jun-2016
HNA/海南航空が、バージン・オーストラリアの13%の持ち株を、1億1,400万米ドルで取得することでHNAの中国本土外での拡大をエティハドが出資するより2社多く、5大陸にエアライン9社までに伸ばした。HNAが、バージン・オーストラリアの持ち分を想定通り19.99%まで伸ばすと、HNAにとっては、出資額やパーセンテージで最大では無いものの、これまでの中では重要で戦略的に意義のあるものとなる。またこれには、政府認可待ちではあるが、バージン・オーストラリアが、中国本土と香港に飛べる戦略的な提携を伴って来る。
HNAの過去の投資は当初想定された様な、戦略的な対価が得られない(アイグルアズール)か、HNAの便が無いために、近い将来重要性を持つことにはなりそうに無いエアライン(アフリカワールド、コムエア)である。HNAのバージンへの投資はこれとは違って、豪州が米国に次いで中国の最大の長距離アウトバウンド目的地でありながら、海南の存在感は限られたものだったのだ。海南はこれまで米国市場に集中して来たのに対して、監督上の規制があって(中国本土、香港両方に)、そして提携相手の居ない事から拡大は限られたものだった。
HNA/Hainan stake in Virgin Australia its most significant acquisition yet; & a smart move by Virgin
白書の後、和解の時が来た=米国大手エアラインと湾岸のエアラインに
1-Jun-2016
米国のグローバルネットワークエアラインである、アメリカンとデルタは、2015年を通じて、航空業界の最大の懸案となって居た、3大エアライン対湾岸3社の揉め事の議論を蒸し返して居るが、アメリカン、デルタ、そしてユナイテッドが、エミレーツ、エティハド、そしてカタールの拡大を阻止しようとする努力は、成功には程遠い状況と考えて良いだろう。何にも増して、湾岸エアラインに敵対する彼らの行軍は、世界のエアライン業界の自由化の未来に深刻な疑問を呼び起こし、そしておそらく、オープンスカイ協定を標榜する世界のリーダーとしての米国の立場を傷つけて居るだろう。
3大エアライン による補助金糾弾の副産物の中には、ジェットブルー、ハワイアンなどが団結して、3大エアラインのやって居る事は、米国が既に世界中の100以上の国と結んで来たオープンスカイ協定を危険に曝すものだと主張して、補助金議論に激しく反対するグループを形成するなどの、米国エアライン内の分裂がある。これら3大エアラインは、アメリカン、デルタ、そしてユナイテッドが、航空連盟の提携社と創って来た独禁法適用除外の共同事業は、高い運賃と、消費者の選択の幅を小さくする結果を招いて居るとの反論で応え、米国政府にこれらの提携関係による、旅客への利点について再検証する様に求めた。敵対する双方が身構える中で、デルタは、米国の主要ロビーグループである、エアラインフォーアメリカ(AFA)を脱退することにした。殆どこれと軌を一にして、ノーウエジアン・エアシャトルが大西洋横断の低コスト便を開設しようとする申請が、一年もの間、棚ざらしの憂き目にあって居るのは、湾岸論争が同時にもたらした遅れである。
米国政府は、いつになったら、UAE、カタールと、それぞれのオープンスカイ協定について、協議するかの決断を下すのか約束して居ないが、近付く大統領選挙の影響も、手続き上、大きな不確定要素を付け加えて居る。然し、先ごろノーウエジアンに新サービスの認可を与えると言う決断をした所を見ると、政府は、時代遅れな保護主義的考え方に陥る事を避けるのかも知れない。
After the White Paper. Time for the US major airlines and Gulf carriers to kiss and make up
イラン、8,000万の知的人口を持つ=大きな航空業界の力になる可能性
2016年1月、イランに対する核開発関連の経済制裁が解除されて、ほぼ40年間の孤立の末、かなりの潜在力を持ったグルーバル航空市場は世界に向かって再び開かれる事になった。
イランは、40年近くも国際社会から孤立し、巨大な抑圧された需要と潜在力を持って居る。孤立にも関わらず、イランの経済は、トルコやスペイン近付いて居る。この国の人口は、平均年齢28歳と若く、(制限にも関わらず)インターネットやソーシャルメディアに熱心で、旅行をして外の世界と触れ合う事に強い願望を抱いて居る。
制裁が解除されて直ぐに、イラン航空は、118機のエアバス、20機のATR機材を確定発注し、更に20機のATRをオプション発注とした。民間エアラインは、今後12カ月の間に、更に100機の発注予約をする事に興味を持って居ると思われる。イランのエアラインが、長い孤立の間も運航をそして拡大を続けて来たと言う事実が、国民の潜在能力と商業的、技術的な技能を証明して居る。
地理的には、イランは、湾岸諸国の航空業界とほぼ同様の利点に恵まれて居るが、類似点は現在のところ、ここまでである。然し、潜在能力については説明を要しない。
Iran, with an educated populace of 80 million, becomes a potentially major aviation force
CASK:欧州のフルサービス・エアラインは世界最高のコスト水準=米国のエアラインは最低
1-Jun-2016
米州地区に於いては、どこよりも、FSCとLCCのCASKの差異が小さい。この事が、特に米国で、この地域の超LCCが発展する余地を生んで来た。欧州はLCCの領域に迫るほどコスト意識の高いFSCがあるにも関わらず、平均的には、世界でも最もコストの高いフルサービスエアラインの故郷である。欧州にも、むしろ米国よりも単位コストの低い超LCCが幾つかある。アジア太平洋及び中東地区はビジネスモデルの広がりと、発展した市場、台頭する市場、双方の組合せがある事を反映して、多分CASK水準では最大の多様性を持って居るだろう。
全てのエアラインと全ての市場にとって、CASKの低減、または、少なくとも、選んだビジネスモデルに於いて、最も効率の良い水準のCASKを持つ事は極めて重要な事である。世界のエアライン業界の長期の歴史は、実質的に単位収入低減の歴史である。この業界が黒字を出すためのこれまで唯一の途は、CASKを下げる事によるしかなかった。経済状況が弱含みのままである中で、これは依然として最重要である事に変わりは無い。
この数年のエアライン経営に於いては、利潤の後に、CASKが致命的な焦点になって居る。世界のエアラインを単位コスト(有効座席キロ当たりのコスト(CASK))で分類すると、競争力比較の上で多くの事が見えて来る。エアラインのビジネスモデル間の、そして主たる地域間の差異に光を当てるのだ。
*CASK:Cost per Available Seat Kilometer=有効座席キロ当たりのコスト
CASK: Europe's Full Service Airlines have the world's highest costs, US airlines the lowest
CAPA世界エアライン財務展望
30-May-2016
2016年、営業利益は史上最高に達する見込みだが、これはまたその先の下降を示して居るかも知れない。CAPAの世界エアライン営業利益モデルは、この業界が過去約50年間に比べ2015年の方がより儲かった事を示して居る。更には、このモデルは世界のエアラインの営業利益は2016年の歴史的な頂点となる水準に比べても更に上昇する事を予告して居る。これらの新たな利益の水準は、主として、世界経済の伸び率が遥かに期待を下回って居るにも関わらず、強い需要の伸びとともに、低い燃油価格の状況のお陰である。
この業界の多くは、比較的に自制の効いた供給の伸びからも利を得て居る。エアラインの収益性に対しては未だ、台頭したばかりではあるが、新たな収入の源泉も手助けして居るかも知れない。
マクロ経済と地政学的背景がこの予想に対し主たるリスクを投げかける。この先、この業界にとって最大の課題は、歴史的にいつもそうだった様に、頂点に達すると続いて下降が始まる事を避け、利益水準の維持に努めねばならないのだ。然し、下降する事は、統合への道をも刺激して、業界の発展に積極的に寄与する役割を演じる事もあり得る。