CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のトピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
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中国のエアライン、国際線57%の成長の大波=国内線持ちこたえるが、香港、マカオはダウン
30-May-2015
繰り返される疑問は、中国の経済と鈍化する成長について、世界第2の規模を持つ市場である、中国の航空業界には、どの様な影響があるのかというものだ。
良いニュースは、2015年第1四半期に、中国のエアラインの旅客輸送量は13%の成長、そして初めて1億人を超えると言う、快いほど堅固である事だ。国内線はと言うと、中国エアラインは、2015年第1四半期に前年同期に比べて900万人(737に換算すれば毎日656機分)多くの国内線旅客を運び、11%の伸びに留まった。
国際線の成長は巨大な湯気を上げて居り、2015年第1四半期に57%の大波(A380に換算すれば毎日64機分)を迎えて居る。然し、全体としての国際線輸送量は中国のエアラインにとって、全輸送量に比べて、2008年と同レベル、より最近の数年では最高だが占有率7%と言う小規模なものに留まって居る。域内の成長は、香港、マカオが嘗てほど魅力的で無くなり、5%の伸びとペースが落ちて居る。
もっと心配なのは台湾で、多分、よりエキゾティックな日本、韓国、タイなどの他のアジアの目的地に向かって居る模様で、中国人旅行者数に翳りを見せ始めて居る。この3国は2015年夏には、中国のエアラインから最高の伸び率を獲得する事になるだろう。
China airline growth: 57% international surge while domestic holds up and Hong Kong/Macau fall
シアトル・タコマ空港、役割が拡大=ハブ・エアラインの為に施設拡張が必要
シアトル・タコマ国際空港は、デルタの国際線ゲートウェイとなり、またシアトルでは依然最大のエアラインであるアラスカ航空の強力な成長の道具の役目を果たす空港へと変貌し、米国の市場全体の中でも、堅固な旅客数の拡大を達成し、羨むべき立場にある。
エアライン両社は、デルタが、2015年遅くから2016年にシアトル発の新路線を更に幾つか増やす計画を固めるなど、各々シアトルでの拡大計画を推し進めて居る。アラスカ航空も、2015年遅く、3つの新たな市場を開設に向け、力を注いで居る。これらの新路線は、両社が過去数年の間シアトルから成し遂げた拡大のほんの一部である。
シアトルは今や、現有インフラの拡張計画を進める一方で、施設の能力が限界水準に達し始め、アラスカとデルタの拡大をコントロールしつつ、漕ぎ渡らねばならない。同時に、シアトルは、これらの計画の推進にとらわれる一方、同空港に就航して居る全てのエアラインにとって、競争力ある運営コストを維持する事を保証しなくてはならない。
Seattle-Tacoma Airport’s stature grows - and needs facility expansion to support hub airlines
CAPAメンバー限定
米国の大手エアライン、50席ジェットの退役を推進=大型化が業界主流になる中で
米国の世界的な大手エアライン3社は、非効率な50席のジェットを、目下米国の業界で圧倒的な傾向である、より大きな客室仕様の機材に、更新しようとして居る。殆ど全ての大手エアラインは現有機材に何らかの方法で座席の高密度化を図るか、または、より席数の多い機材を入手しようとして居るのだ。
ユナイテッドとデルタは、彼らの50席機材を、新造と、中古の機材の組み合わせで、更新しようと考えて居るし、アメリカンは、50席機材を更新する為に、新造ジェットを増やそうとして居る様だ。
最近の保有機材計画に依れば、アメリカンは、その50席機材の削減には、よりゆっくりとしたペースの様で、デルタの方が、盛んに言及し、また積極的に小型機からの交代を進めて居る。
50席機材を減らす動きが盛んな中で、幾つかの米国大手エアラインは、この種の機材を少数保有して運航して居る地域航空会社との提携契約を進めて居る。幾つかの市場では、燃油価格の低下で、ジェット機の経済性が改善して居るからだ。然し、エアライン業界全体としては、10年前に地域航空の運航の主流だった航空機は更新すべしと言う方向に大行進が起こって居る。
US major airlines continue their push to shed 50-seat jets as upgauging sweeps the industry
香港エクスプレス、2016年に15~20機増強=A321でハイブリッドLCC化とインターライニングを追及
26th May, 2015
香港唯一のLCCである香港エクスプレスは、現在全てA320である保有機に、輸送権や、発着枠の制限にも関わらず、同社の拡大を実現してくれる、A321を加える予定である。同社は、2015年10月でLCCとして発足して2年が経つ。そして2015年中に、輸送旅客200万人超を達成し、年度末には5~10機のA321を含め、15~20機の機材を保有する事になるだろう。
同社は、トラベルスカイからナビテエアに切り替えて、旅程の結合や、付帯サービス収入商品の管理を強化が可能になった。現在付帯サービス収入は同社の総収入の15%近くを占め、CEOのアンドリュー・コーエンはこれを20%にする事を目指して居る。香港エクスプレスの便相互での乗継は姉妹エアラインである香港エアラインとの乗継に拡大し、やがては、香港ハブを利用したい他社とのインターライン乗継へも発展する可能性がある。香港エクスプレスは、2014年12月に黒字化しており、2015年の第1四半期も黒字だった、そして現在、2015年度通年での営業黒字を予想して居る。
HK Express to grow to 15-20 aircraft in 2016, pursuing LCC hybridity with A321s and interlines
インドの航空管制:CAPA独自のレポート=ATMシステムとAAIの計画は統合が必要
インドのATMシステムに関して、インドの航空管制サービスの構造、統制そして運用を見直した、これまでで最も広汎な(170頁)の報告が纏められた。ICAO(国際民間航空機関)が世界の航空管制の為に定めた世界的なビジョンや計画についても、インドの航空管制提供企業(ANSP)や、インド空港局(AAI)への提言として言及されて居る。
年間の供給席数で言えばインドは、現在世界で第9位の航空市場であり、CAPAの予測では、2025年までに、世界第3位の航空市場になると見られる。今日では、インドのおよそ80の空港が国内9社のエアラインの、合わせて約400機の保有機材によって運航される定期便を扱って居る。
ATMの運用手続きと科学技術の進歩が、更に大きな成長を可能にしようとして居る。その大部分は航空管制サービスと、インド全国にある125の空港の運営者の一人二役を担う、AAIにかかって居る。大規模な構造上の組織改革が計画されて居り、2016年度末以前に、AAIのANS部門を民営化する案も含まれて居る。
70以上の外国の旅客および貨物のエアライン事業者もインドの空港に飛んで来て居る。2015年度には、インドの空港が取り扱った旅客総数は1億9,000万人を超えて居る。
India Air Traffic Management. Unique CAPA report: the ATM system and AAI's plans for integration
湾岸-米国エアラインの提携:奇妙な考えだが、進展へ=アメリカンがアブダビへ?
大きな声では言えないが、デルタとユナイテッドは中東線各便の乗り継ぎでは、湾岸エアラインに大きく依存して居る。それより、大規模な米国=湾岸エアラインの提携はと言えば、エミレーツとジェットブルーそしてアメリカンのエティハド、カタール両社との提携である。最後の2つの提携は些か興味深い。何故なら、アメリカンは湾岸エアラインに対する糾弾に強烈に巻き込まれており、ジェットブルーは逆に、湾岸3社の拡大を大きくサポートして居る。例えば、ジェットブルーは、エミレーツの新しいドバイ=オーランド線からの送客を見込んだオーランド=メキシコシティ線を開設する予定だ。また、エミレーツがシアトルに毎日2便体制を始めようとするのに、同社は地元のアラスカエアとジェットブルーの提携を模範にしようとした可能性がある。
2015年3月、エティハドは、2014年の一年間に180,000人(一日にすれば493人)の、2015年の最初の2ヶ月では50,000人(一日847人)の旅客を米国エアラインに送り込んだ、即ち、エティハドの米国人旅客のおよそ1/5は米国エアラインに乗り継いで居ると言って居る。アメリカン航空はこの旅客の流れを主に受け止めて来た訳だが、自らは置き忘れて居たビジネスチャンスがあった事を理解して居る。エティハドが自身のアブダビ線を週3便しか飛ばして居ない事から、アメリカンが自社便をアブダビに開設し、エティハドとの提携を拡大する可能性もある。湾岸エアラインと更に深い提携関係を持つ事が、アメリカンを助ける事になるが、北米のエアラインの中で、より緊密な繋がりを持つ事で最善の利を得る事が可能になるのは、決して彼等だけでは無い。
Gulf-US airline partnerships: idiosyncratic but the way forward. American Airlines to Abu Dhabi?
タイのノック・スクート、定期便を開始=姉妹エアラインのスクートがバンコクで拡大する中で
23rd May, 2015
長距離低コストエアラインの新規参入社であるノック・スクートは、2015年5月20日、バンコク・ドンムアン空港の基地から合弁相手のスクートの基地であるシンンガポールへの路線を開設し、静かに定期便の運航を開始した。またノック・スクートは、遂に中国の当局から認可を受け、2015年6月、南京への定期便を開始するが、日本、韓国への路線開設には、ICAOが勧告した懸念をタイの政府が、クリアするのを待たねばならない。
然し、姉妹エアラインのスクートは、バンコク=シンガポールの供給増を図る一方で、2015年7月からバンコク=大阪線を開設する計画を明らかにした。スクートはまた、大阪線は台湾の高雄経由の路線とする事を確認して居る。
シンガポールへの定期便の開始と、間もなく始まる南京線で、ノックスクートにとって、一連の航空当局の許認可の遅れから、幾度にもわたって、定期便の就航を遅らせねばならなかった、困難な第1章は終わる事になる。長期的狙いは北アジアであるノックスクートにとってシンガポールは当面の暫定的な目的地である。
Thailand’s NokScoot launches scheduled services as sister Scoot expands in the Bangkok market
ロイヤルエアモロッコとカタール航空、合弁事業開始=RAMがワンワールドへの加盟を狙う間に、更なる合弁を探る
ロイヤルエアモロッコ(RAM)とカタール航空の合弁事業の計画は、比較的に小規模だが、緻密な計画だ。更に重要なのは、それぞれが今後、より多くの提携相手と協働すると言う将来の方向性を示して居る事だ。カタール航空は、期待されるIAGとの例など更なる合弁事業を計画して居る。カタールは現在、キャセイ太平洋との合弁を実施して居る。RAMはイベリアとの合弁を実施中だが、イベリアとカタールは合弁に続いて、ワンワールドに加盟する事になる模様だ。RAMは、ワンワールドがずっと探し求めて来た、アフリカでの広範な存在感を実現して呉れる。
この合弁の下で、RAMは2015年9月9日、カサブランカ=ドーハ線を週3便で開始し、カタールの現行デイリー便の補完をする事になる。カタールはまた、マラケシュ線を開設すると予想されて居る。カタールはRAMのモロッコからのアフリカ路線網へのアクセスを手に入れ、一方RAMはドーハの先のアジアへの乗り継ぎ便を睨んで居る。
カタールのアジア路線網にアクセスする事によって、RAMは自から北京に飛ぶと言うリスクのある計画に、賢く先行する事が出来る。
Royal Air Maroc & Qatar Airways form joint venture. More JVs for each as RAM eyes oneworld alliance
ハワイアン航空、供給競争に直面=貸借対照表の強化に集中する中で
22nd May, 2015
ハワイアン航空は、2015年度第2四半期に、バージンアメリカの2015年度下期の新路線デビューを前に、北米路線で業界各社の供給拡大に身構えて居る。同時に同社の国際線は、燃油サーチャージの廃止と通貨の変動の圧力に直面して居る。
これらの障害はあるが、ハワイアンは、離島間路線市場での支配的立場を梃子に、そして機材の受領と長距離路線拡大に一息入れる事から、貸借対照表の債務縮小の路線に乗り出す事で、2015年の強気の見通しを変更して居ない。
2014年の遅くに、幾つかの資本配分案を検討して居ると発表して以来、ハワイアンは1億ドルの株式買い上げ計画を策定したが、今や、同社に現金の使い道に柔軟性を持たせてくれる、貸借対照表上の、ある一定の目標を達成して居る。
Hawaiian Airlines faces capacity competition while its focuses on building balance sheet strength
ペガサス航空とターキッシュエアライン、2015年第1四半期利益率改善=低い燃油価格のお陰で
21st May, 2015
トルコの2大航空会社が、ともに2015年度第1四半期に対前年同期に比べ、業績と営業利益率の改善を報告して居る。ターキッシュは債務の再評価で、外国為替差益から純利益を計上して居るけれど、両社ともに、季節的には弱いこの四半期には営業損益では損失を出して居る。
よくあるケースだが、通貨の変動は、両社の業績に大きな影響を及ぼす。ペガサスにとっては、単位収入はその機能通貨であるユーロが、トルコリラ、及び米ドルの双方に対し弱くなった事が幸いして居る。
ターキッシュエアラインの方は、単位収入は、機能通貨である米ドルが、同社の収入の過半を占めるユーロとトルコリラの双方に対し力を増した事から、悪影響を受けて居る。全体として、主として燃油価格の低下から、両社とも利益率を改善させる事が出来たのだ。
Pegasus Airlines and Turkish Airlines: improved 1Q2015 margins thanks to lower fuel prices
ノックエア、タイ・エアアジア、第1四半期に利益拡大を計上=バンコクでのLCC浸透率が36%に達する中で
21st May, 2015
タイの最大規模の近距離低コストエアラインの2社であるノックエアとタイ・エアアジア(TAA)は2015年度第1四半期に市場環境の改善から、収益性の改善が見られた事を報告して居る。2015年第1四半期、ノック、タイ・エアアジアそしてタイ・ライオンが特に国内線で、全て急速な拡大を追求して居り、バンコク市場に於けるLCCの旅客輸送量は41%も跳ね上がって居る。バンコク(両空港)でLCCの占める割合は、旅客総輸送量に対し2年前の28%から、今や36%になって居る。
バンコク市場の国内線の総輸送量は、2015年第1四半期にLCCの45%上昇に牽引されて、25%上昇した。然し、国内線での利益は引き続き圧力を受けて居り、タイのLCC3社の急速な供給拡大が続く上に、タイ・ベトジェットの就航計画がある事などから、供給過剰の懸念は消える様子が無い。
タイの近距離国際線市場は、需要が、困難な2014年の後に素早い回復を見せ、より健全な需給バランスを示して居る。他のアジア諸国からの訪問者数がうなぎ登りに増えて居ることが、特に、タイの国際LCC市場で他に大きな差をつけて最大のプレイヤーである、エアアジアに恩恵を齎らして居る。TAAは、バランスの取れた国内国際の路線網を持つ、一方で、ノックの利益の伸びは、同社が問題の多い国内線市場にほぼ完全に依存して居る事から、低いスタート水準からより小規模のものに留まって居る。
Nok Air, Thai AirAsia report growth in 1Q profits as Bangkok’s LCC penetration rate reaches 36%
CAPA豪州太平洋航空サミット2015開催=8月3〜5日、企業渡航、空港、エアラインが議題
21st May, 2015
カンタスのCEOアラン・ジョイス、マレーシア航空の新CEOクリストフ・ミューラーがエアライン、空港、そしてその他の航空業界の最高経営幹部とともに、シドニーのシェラトン・オンザパークで開かれる第3回CAPA豪州太平洋航空サミットを主導する。
8月3日〜5日開催の、今年のCAPAサミットでは、2日間のハイレベル航空サミット(8月4日、5日)の前に企業渡航サミットと空港刷新サミット(8月3日)が開催される。
今年の航空サミットの主要な議題には目下巻き起こっている「オープンスカイ」に対する最高経営幹部からの反応に関する討論、燃油価格の下降に伴う主要市場の見通し、そして航空業界の労働生産性についてなどが含まれて居る。
CAPA Australia Pacific Aviation Summit 2015, Sydney, 3-5 Aug: corporate aviation, airports, airlines
四川航空、中国第7番目の保有機材100機超エアラインに=今後10年間に:もう100機
21st May, 2015
四川航空は2015年5月22日、成都を本拠地とする同社にとって100機目となるエアバスA320系機材を受領しようとして居る。四川航空は100機以上の機材を保有する中国では第7番目のエアラインとなる。世界的には、保有機材の数から言って、第50番目の規模のエアラインである。同社はまた、今後の10年間で、更に100機を入手する計画である。
四川の後背地は中国西部、西安と昆明から成都、重慶であるが、中国東部沿岸部にも大きな存在感を示して居る。同社は2014年に殆ど全て国内線で2,000万人弱の旅客を輸送して居る。国際線の運航については2015年5月現在で、同社の供給席数の9%を占めるが、主として北東そして東南アジアで、少数ながら、豪州、モスクワ、バンクーバーへの長距離便も飛ばして居る。
中国の3大エアラインである、中国国際、中国東方、そして中国南方は、直接、或いは間接的に四川航空に出資して居て、ブームを巻き起こしている中国西部での利害の競合が発生しつつある。
Sichuan Airlines becomes China's 7th airline to have 100 aircraft. Next 10 years: another 100
アズール、ブラジル-ブエノスアイレス線は不採算と判断=第5の自由の競合も要因となって
1990年代、米国の大手エアラインはラテンアメリカへのアクセスの改善を求めて居り、ブラジルも、アルゼンチンも少々不本意ながら、説得されてオープンスカイの二国間協定に合意した。こうして環境が自由化されたひとつの結果として、間接的ながら、両国間の第5の自由輸送が開放された。
ブラジル第3の規模を持つアズールは、今や、ブエノスアイレス線は、第3国のエアラインの参入の為に、短中期では採算が取れないとの結論に至った。ブエノスアイレスは、同社の顧客の間にも、高い需要のある市場だが、ブラジル=アルゼンチンへの第5の自由輸送便を運航する第3国のエアラインも含め、供給がふんだんにあり過ぎて、問題にならない。
ブエノスアイレス線が、採算性無しとすると、アズールは、エアバスA350の受領が始まる2017年迄は、更なる国際線の拡大は、米国に絞る様だ。
アズールは、また現存するユナイテッドとの提携を強化する事と、アズールの米国市場で強烈な存在感を持つジェットブルーとの協力体制を開始する事を熱心に願って居る。然し、これらの願望には、アズールが、湾岸のエアラインとの提携を検討すると言った可能性は除外されて居る様だ。
Azul believes Brazil-Buenos Aires service is unviable, partially driven by fifth freedom competition
タイ航空、タイの観光産業が回復して2015年第1四半期利益を計上=然し、黒字転換は未完
20th May, 2015
タイ航空は、エアライングループ全体で、タイの観光産業の快復と、燃油価格 の下落の好影響を受け、2015年第1四半期に利益を計上した。タイ航空が、効率と生産性の向上に進展を遂げた事を示し、労働コストもまた低下して居る。
然し、タイ航空が2014年第2四半期に開始し、2015年に引き続くリストラが、成功して居ると見なすのはまだ早過ぎる。第1四半期は明らかに需要の強い時期であり、タイ航空の、2015年第1四半期の利益は、2013年第1四半期の水準には、未だ遠く及ばないのだ。
2015年第1四半期、旅客実収単価は、既に低い水準から更に下落した。
タイ航空の欧州線は、特に苦戦して居り、もう一段の供給カットが必要かも知れない。
Thai Airways posts 1Q2015 profit as Thailand tourism recovers - but the turnaround is not complete
豪州企業渡航の展望=不安定な市場動向、焦点はコストだけでは無い
19-May-2015 12:14 PM
豪州の渡航マネージャーとバイヤーは、現在、経済の先行き不安定な事から、組織が渡航費用の削減を余儀なくされる中で、ますます拡大する問題に直面して居る。多くは、これに対応するに、業務渡航方針を厳しくし、より強く遵守させる事に力を入れて居る。その他の人々は、業務渡航の隅から隅までを見直し、効率を上げて節約を試みようとして居る。ちょうど、2015年8月3日〜5日、シドニーで開催される「豪州太平洋航空サミット2015」の中で開かれるCAPAの「企業渡航刷新サミット」のゲストライターであるアラン・リーボウィッツが会議の前口上で説明して居る様に。
この圧力に、今加えられるのが、配慮の義務の必要性が拡大して居ることで、組織は出張中の全ての人々の安全を確保する法とモラルの規定に縛られて居る。旅行マネージメント会社(TMC)の報告によれば、多くの顧客は、何らかの形の旅行者への配慮義務のシステムを持って居るが、最も多い選択肢としては、旅行者追跡サービスである。大手のTMCは、自ら所有する解決策を持っていて、しばしば、彼らのサービス品揃えの中に組み込まれて居るが、多くの企業、組織もまた、第3者のサービスを利用して渡航前情報、現場での支援、そして危機遭遇時の避難手段などを提供している。
Australian Corporate Travel Outlook: A vibrant marketplace - and the focus is not just on cos
シンガポール航空、収益、利益率が改善して、見通し好転=新たな乗り継ぎ戦略が台頭
シンガポール航空グループ(SIA)は、2015年3月に終わる四半期と年度(2015年度)に、利益率の回復に牽引され、収益の改善を報告して居る。SIAの本体、フルサービス域内子会社のシルクエア、そしてSIAカーゴが、全て、2015年度の営業実績で、SIAカーゴは依然赤字ではあるが、改善を記録して居る。
SIAグループは部分的には燃油価格の低減から、2016年度にも更なる収益性の向上を見込めるだろう。然し、市場環境は比較的問題の多いままで、収益は世界経済危機以前の水準に戻るのは難しい。
本体の供給は2016年度もほぼ現状維持だが、親会社ではプレミアムエコノミーが導入される事から、利益率を更に改善する機会がある筈だ。だが、グループではシルクエアと長距離LCC子会社のスクートで、供給拡大を加速させて居り、これが、幾つかの市場では利益率と搭乗率に圧力をかける可能性がある。
Singapore Airlines outlook brightens as profits, yields improve. New connectivity strategies emerge
エアベルリン、燃油費低下、収入拡大で、第1四半期損失縮小=第2四半期は期待を下回る
18-May-2015 3:40 PM
エアベルリンは、2015年度第1四半期、単位収入の伸びが、対前年でほぼ変わらなかった単位コストの伸びを上回り、営業損失が2014年度第1四半期に比べて縮小した。単位収入は、路線網の変化と、新たな収入管理システム(また、通貨の動きも)が幸いして居る様だ。然し、比較的、統制の効いた単位コストの推移は、低下した燃油価格に負うところが大で、これが無ければ、営業損失は増えて居ただろう。
更に、このエアラインは、イースターの様な季節的な要素もこの業績に良い効果を齎したと言って居る。
エアベルリンはこの収益の改善が、2014年の大きな損失以来、注目すべき2015年の儲けに繋がるか否か、まだ待たねばなら無い。然し、同社はまた「現在、予測できる第2四半期の業績の行方は、今のところ、期待を充して居無い。」とも言って居る。同社は黒字回復までに、まだ可なりの問題に直面し続けて居る。
Airberlin: narrower 1Q loss helped by lower fuel prices, revenue growth as 2Q below "expectations"
大韓航空 第2部:デルタ航空、困難だが合弁の可能性=米国、ラテンアメリカへの拡大を一旦休止
18-May-2015 1:26 PM
今回は大韓航空の最大の長距離線市場である北米市場に関するレポートの第2部。大韓航空は、過去の10年間太平洋を横断して拡大して来たが、比較的に成熟を迎えて居る。今や、競争相手が成長し、その市場に落ち着くまでに時間がかかるが、大韓航空は、他社ががそこまで達するのはまだ後になるので、収益性を高める事に狙いを定めようとして居る。大韓航空の収益は上昇して居り、米州地区副社長のジョン・ジャクソンはCAPAの米州航空サミットで、「我々は(太平洋横断路線の)安売りエアラインでは無い。」と言って居る。
新たなプレミアム用の商品は多分もう期限が過ぎて居ただろう、そして大韓航空の初の通路隣接型ビジネスクラス座席は市場に歓迎される筈だ。米国=ラテンアメリカ間、特にロサンゼルス=リマ線の第5の自由輸送の商機については、同社が、保守的な気運の時期にあり、開始され無いだろう。現行のロサンゼルス=サンパウロ線はアメリカンとの競争に直面して居る。この市場は多分、両社には小さ過ぎるだろう。この事には、半ば味方であり、半ば敵であるデルタ航空との合弁事業の可能性が大きく影を落として居る。ジャクソン氏はデルタとの関係は、縁組の可能性に向けて改善して居ると見て居るが、「余りにも多くの賭けがあり、理解すべき事がある」。これには大韓航空の規模が力になるだろう、そしてジャクソン氏は「何も、最初の提案を受け入れねばなら無いという事は無い。」と語って居る。
Korean Air Part 2: Delta Air Lines difficult but potential JV partner. Pause on US-LatAm growth
フィリピンの航空業界 第5部:フィリピン航空、業績見通し改善=2014年度~2015年度第1四半期 黒字計上に次いで
フィリピンの市場環境の改善に従い、機材の調達延期と燃油価格の低い事から、フィリピン航空(PAL) の業績見通しが、大きく改善して居る。このフィリピンのフラッグキャリアーは、2014年度に、小規模ながら、黒字を回復し、第1四半期の黒字に続いて、2015年度には、より大きな利益を出せるだろう。
2014年度と2015年度第1四半期に黒字を回復して居るのは、主として燃油価格の低下と統合や、フィリピン航空業界のより抑制された供給に牽引された市場環境の改善が原因だろう。
然し、2014年10月末にルチオ・タンがフィリピン航空と姉妹会社、地域航空会社PALエクスプレスの経営に返り咲いて以来、PALグループは、また、戦略的そして供給の調整を行って居る。
ルチオ・タンはPALの保有機数や路線網の拡大のペースを落とさせた。本来2015年に受領が計画されて居た10機のA320のうち5機を延期し、2015年下期に国内線と域内国際線がまたもや供給過剰に陥る可能性を回避する事を可能にした。
Philippines Aviation Part 5: Philippine Airlines' outlook improves following 2014 and 1Q2015 profits
ヨルダンの航空市場、大刷新へ=エアアラビア・ヨルダンの参入で
15-May-2015 8:28 PM
ヨルダンの比較的に静かな航空市場は2015年5月18日から、アンマンからエアアラビア・ヨルダンが運航を開始することにより、待望の大刷新の時を迎えようとして居る。
エアアラビア・グループの国境を越えた最新の合弁会社は、丁度、フラッグキャリアーのロイヤル・ヨルダン航空が、2年連続の大きな赤字から抜け出すために、2014年に始めた大規模リストラを経て、財務状況の改善を記録した時期にやって来た。
ヨルダンの旅行業界自身がアラブの春による大降下と、それに続く地域全体の不安定な状況から未だに回復途上にあり、低コストエアラインの参入と、君臨する地元エアラインの再建が、この地域でも比較的に安定した国の一つであるヨルダンの市場に大刷新を加えようとして居る。
Jordan’s aviation market is set for a major shake-up as Air Arabia Jordan enters
大韓航空、第1部:収益向上の為、太平洋横断路線拡大は無視=将来は747-8と787-9での運航
アジアと北米間の太平洋横断市場は、何年もの間、限られた成長しか無かった時代を経て、2014年、2015年ともに、供給席数が約10%の伸びを見せ、拡大の大波を体験して居るところだ。これには、利益率への圧力が伴って居るが、殆どのエアラインは、市場占有率拡大の為の長期的な施策として、今の業績を犠牲にする事を厭わない様だ。
太平洋横断路線で、明らかに、アジア最大であり、世界全体でもユナイテッドに次いで2番目のエアラインである大韓航空の場合は、これとは違う。2015年、キャセイパシフィックとデルタが、これを追い抜く。大韓航空は、既に、規模は達成して居るので、今や、供給拡大では無く、財務実績に的を絞ろうとして居るのだ。大韓航空の米州副社長である、ジョン・ジャクソンはラスベガスで開催されたCAPA米州航空サミットで、北米に13の目的地を持つ大韓航空は、直ちに新地点を計画する積りは無く、時間をかけて、選りすぐった地点に増便をして行く計画だと言って居る。
大韓航空は、全ての路線をデイリー化する事は考えて居ないし、毎日複数の777を飛ばし、便数をどんどん増やすと言った手法は取らず、その代わり、ロサンゼルスやニューヨークには、A380で毎日2便を運航する。また、間も無く、747−8と787−9を保有機材に加える予定だ。大韓航空の北米からの旅客のうち、約50%はソウル以遠に乗継をする。その中では、中国が最大のチャンスを持ち、次いで、タイ、シンガポールそしてベトナムなど、東南アジアの核となる国々、そしてカンボジアやミャンマーなどのより小さな「ブティック」(小規模専門店的な)市場となって居る。
Korean Air Part 1:Ignores trans-Pacific expansion to lift profits. Future service with 747-8 & 787-9
エミレーツとカタール航空、新規米国線を発表=戦略的にとともに営業的に
14-May-2015 1:44 PM
2014年、湾岸の路線エアラインである、エミレーツ、エティハド、そしてカタール各社は、米国路線に、国民の反感を買うようなことは殆ど無く、270万席を供給して居た。ところが、今や米国対湾岸エアライン間の議論は喧しい話題になって居る。
突然の注目が、湾岸エアラインに集まった事で、彼らの判断を鈍らせる事があるのだろうか?最近の数週間で、エミレーツとカタール航空が、米国路線の拡大を発表して居る。即ち、エミレーツはオーランドを新目的地に加え、ボストン、シアトル両路線の増便を、一方、カタールはアトランタ、ボストン、そしてロサンゼルスを開設、A350の投入など、ニューヨーク/JFK線を拡大しようとして居る。
米国エアラインの枢軸各社は、湾岸のエアライン各社は、「今、出来る間に」とどんどん拡大しようと、または米国エアラインに敵対するために供給を増やして居るとして湾岸エラインの供給を凍結するよう求めて居る。大西洋線は確かに良い市場だろうが、カタールが14カ月も前に便の開設を発表する事は、デルタの羽を逆立たせて居る。2015年5月13日、この時期にカタールがアトランタ線を開設するのは、「多分単なる偶然だろう。」とアクバル・アル・べーカーCEOは語って居る。過去の成長率を見てみると、湾岸エアラインは、明らかにペースを上げて居る。これは確かに、市場のビジネスチャンスの進展を示して居るのだと言えない事は無い。湾岸エアラインは、これまで米国では過小評価されて来た。それが、今、他の長距離市場が通貨問題や、二国間協定の問題に悩んでいる間に、経済力の強さを見せつけ始めて居る。
Emirates and Qatar Airways announce new US services - for commercial as well as strategic reasons
スピリット航空、単位収入の問題継続を予想=然し、依然として堅固な収入を計上
スピリット航空は、2015年はじめに、クリーブランド路線を加えたのに続いて、第2四半期に新たに24路線の開設を計画して居る。第2四半期、最大の躍進は、同社がラテンアメリカに7地点など、8つの新たな直航目的地を開設しようとしている、ヒューストン・インターコンチネンタル空港からだ。
この急速な路線拡大は、スピリットにとって路線網の可なりの部分が、開発途上と言う結果をもたらし、他の市場で長引いて居る価格問題と相俟って、スピリットの単位収入に圧力をかける事になる。2015年第2四半期の単位収入は、同社の予測では、第1四半期に記録した約10%の下落より大きな、14〜15%の低下となる。
スピリットは、同社の有力市場の一つであるダラスに、依然、大きな圧力が掛かって居る事から、2015年度の営業利益率の目標を、未だ健全な24〜27%へと調整して居る。然し、同社は依然として、全米一の低コストを生み出しており、これが、現下の激しい競争状態を漕ぎ渡るある意味での梃子になってくれるだろう。
Spirit Airlines foresees continued unit revenue pressure, but still delivers strong topline results
カタール航空、シンガポールでの急速拡大を目指す=最初のA350のチャンギ就航後に
カタール航空は、A350の就航する世界でもまだ第3番目の空港としてシンガポール・チャンギに飛び始めた後に、この市場での急速な拡大を追求する計画だ。
カタールは、2015年5月11日、A350をドーハ=シンガポール線に就航させたが、2015年8月迄に最初の5機のA350の内3機をこの路線に投入する。
カタールはまた、シンガポール線にのデイリー3便目を開始しようとして居る。
この新たな3便目の追加と現行の2便の787-8からA350-900への大型化の組み合わせで、シンガポールの極めて競争の激しい市場で供給席数は67%増加する事になる。
カタールがシンガポールの法人市場での占有率を上げることを目指して居ることから、プレミアム席数は、145%増加する。この追加供給席で、シンガポール=欧州間の占有率を拡大し続ける事が可能になるだろうが、一方で、また新たな第3のデイリー便のスケジュールが北米からの乗継時間を改善することから、シンガポール=北米間市場でも、有力な競争相手にのし上がる事を可能にするだろう。
Qatar Airways pursues rapid expansion in Singapore after the first A350 lands at Changi
アメリカン航空、ダラス-北京線開設=米国エアラインの日本より中国優先の再認識を加速
11-May-2015 1:02 PM
アメリカン航空が2015年5月7日、ダラス=北京線を毎日一便で開設する事で、ダラス/フォートワース空港は、ほんの一年程の間に、大中国圏の3大拠点である北京、香港、上海を目的地として持つ事になった。ダラスはこの3都市に定期便を持つ、北米で10番目の空港になる。ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、バンクーバーの4空港が、更に他の中国都市への便を持ち、サンフランシスコが、大中国圏に6都市で最多である。
ダラス=北京便の就航は、2015年、アメリカン航空のアジア路線網の中で、米国のエアラインにとって歴史的にアジア戦略の焦点である日本より、中国大陸の方が大きくなると言う、方針転換を更に固めることになる。アメリカンは2015年、日本より、中国大陸に供給座席数が22%多くなる。ユナイテッドも2015年に、中国大陸に日本より11%多く供給する。デルタは日本に中国への2倍の直航席数を持ち、その差は縮まりつつあるものの、まだ腰を落ち着けたままだ。
American Airlines launches Dallas-Beijing, accelerating US airlines' refocus on China over Japan
シンガポールのLCC業界 第2部:タイガーエア13路線で供給削減=ジェットスターが静かに拡大する間に
9-May-2015 10:35 AM
シンガポールを拠点とする、LCCであるタイガーエアは、その路線網リストラの一環として、13路線で供給を削減し、7路線を完全に休止した。削減はシンガポールに於けるLCCの浸透率を下げ、ずっとこれまで、そして今もある程度続いて居る供給過剰に悩まされて来た市場に、より良い需給バランスを齎して居る。
然し、タイガーエアのこの削減が競合他社に好機を創り出しても居る。シンガポールのLCC業界の他の大手2社のうち、エアアジアは矢張り、厳しい市場環境に対応して、供給削減をして居るのだが、一方、ジェットスターは静かに拡大を続けて居る。
ジェットスターは昨年1年間、タイガーエアと競合する13路線のうち、9路線で供給を拡大したが。その殆どでタイガーエアは削減して居るのだ。
The Singapore LCC sector Part 2: Tigerair cuts capacity on 13 routes while Jetstar quietly expands
シンガポールのLCC業界 第1部:2015年度タイガーエアの損失、供給削減で解消へ
7-May-2015 12:56 PM
タイガーエアの汎アジア構想は、目下一時停止して居る。シンガポールを本拠とする、このLCCは、四半期と2015年3月末までの1年度に更なる損失を計上して居る。同社のグループは、これで4年連続の赤字となり、累積損失は5億米ドルに達する。
然し、タイガーエアの2015年4月1日に始まる会計年度(2016年度)の見通しは、グループが、2015年度内に、極めて不採算な海外の合弁事業を売却したり、閉鎖し、シンガポールでの事業運営をリストラした為に、明るくなって居る。同グループはまた、痛みを伴うものの、必要な措置として、2015年度内にサブリースや発注取消などで、保有機材の規模の縮小も行って居る。タイガーエアは、2016年度に、稼働機数を23機に絞るべく、更に2機のA320の売却を計画して居る。
タイガーエア・グループのシンガポールでの供給席数は、他のLCCが飛んで居ない新路線を開設し、供給削減は殆ど全て競合路線で行い、現在、2014年5月対比で、約16%減となって居る。シンガポールでのLCC全社の総供給席数も、減少して居るため、タイガーエアを始め、エアライン各社は、搭乗率と利益率を上げる事が可能となって居る。然し、タイガーエアは、シンガポール市場での供給過剰と、熾烈な競争に注意を払い続けて居り、これが、業績を回復し、2016年度に黒字転換出来るか否かに影響するだろう。
今回は、CAPAのシンガポールLCC業界の分析、第1部である。
The Singapore LCC sector Part 1: Tigerair's losses in FY2015 should reverse as capacity is cut
モントリオール、アジアから初の定期便を迎える=中国国際航空の北京線で、他社がこれに続くのを期待
5-May-2015 7:01 PM
カナダ第4の規模を誇るモントリオール空港は、2015年9月に中国国際航空が、北京ハブから週3便の就航を計画して居る事から、遂にアジアから初の定期便を迎えようとして居る。次いでこの便は、中国政府にとって戦略的に重要なハバナまで飛び、中国国際は、フラッグキャリアーとして、政府の狙いを満足させる計画である。現地摘み取り権はまだ無いので、モントリオール=ハバナ間には、大きな運航コストの重荷がのしかかり、第5の自由運送権を使っても、この区間の採算性には大きな障害があるだろう。中国国際の北京=モントリオール便は、懸案となって居る、同社とエアカナダとの合弁事業の一部になる予定だ。
モントリオールとしては、中国国際が、ボストンで起こった様なドミノ効果(そこではアジアの便が1便乗り入れた事をきっかけに、次第に便が増えている)をもたらしてくれるのを期待して居る。現在の力関係はボストンとは異なるが、時とともに、新規乗り入れの現れる可能性もあるだろう。未就航のO&D(発着地)交通量のデータによれば、明らかに上海、香港が狙いだろう。エアカナダはとてもやりそうに無いので、モントリオールとしては外国社に頼るしか無い。
然し、上海の中国東方は、トロント線で手一杯の模様であり、一方香港のキャセイパシフィックはA350-1000を受領するまで、待ちたいと考えるかも知れない。上海からの長距離便で、北京ハブを補完して居る、海南航空が、将来の競争相手になる可能性がある。
Montreal receives first Asian service with Air China's Beijing flight, and hopes others will follow
第4部:フィリピン・エアアジアとゼスト・エアアジアがIPOに備えて業績回復=但し、問題は残る
5-May-2015 6:22 PM
エアアジアは、フィリピンでの事業運営について、厳しい最初の3年間を終えコーナーを曲がったと楽観的である。フィリピンのエアアジアは、2012年の就航以来、極めて不採算であったが、一方、ゼストもまた、2013年にエアアジアが同社の株式を買収して以来ずっと損失を出し続けて居る。
エアアジアは昨年一杯、路線網の調整、全体としての供給削減、フィリピンを基地とする保有機数の縮小などで、フィリピンでの事業運営をリストラして来た。搭乗率と利益率を併せて改善したことにより、コストは下がり、単位収入が向上して来た。
然し、エアアジアは、未だに、フィリピン市場で採算性を持続可能な形にし、IPOの野望を現実的なものにするために、克服しなければならない問題に直面して居る。エアアジアはそれでも、需要が急激に伸びて居る、人気の観光地、ボラカイ島への玄関口であるカリボで、更なる拡大を計画して居る。但し、このカリボでの事業運営は、ボラカイにずっと近い、カティクランの小さな空港の、滑走路を延長し、空港のグレードを上げる工事が完成する事により、影響を受けるだろう。
Part 4: Philippines AirAsia/Zest AirAsia rallies as it prepares for an IPO, but challenges remain
中国のエアライン、太平洋横断路線で米国社を追い越す=大きなジレンマ:米中オープンスカイ?
4-May-2015 1:02 PM
4月27日、28日の両日ラスベガスで開催された、「CAPA米州航空サミット」には、2つの大きなテーマがあった。先ず第1にいくつかの米国エアラインが、米国とのオープンスカイ協定の下で運航する湾岸のエアラインと競争する上で抱く強烈な懸念である。
第2は、更により長期的に重要な問題、中国のエアラインの国際的な成長にとって、北米大陸、特に米国が如何に重要かと言うものだった。中国国際航空の副社長、北米支配人のDr Zhihang Chi(池志航博士) は中米間の航空路線を「目の前にぶら下がった果実」と呼び、一方、つい最近、殆どを米国線に使用する予定の787-9を30機購入する意思表明をした海南航空のHou Wei(侯伟)副社長は、北米は海南にとって最大の商機であると言って居る。2つのテーマは、別々の様に見えるかも知れないが、互いに入り混じって来て居る。
長年に亘って、米国は、オープンスカイを追求して来たが、一方、中国は、(中国のエアラインは米国のそれより小さい)ずっと段階的な拡大を求めて居た。然し今や、テーブルはぐるりと回って居る。2015年の夏、米国と中国の間の路線で、史上初めて、中国のエアラインが、米国の競争相手より大きくなろうとして居るのだ。事態の急展開と、明らかに更なる拡大が続く見通しから、米国のエアラインは、湾岸エアラインで味わっている経験を連想して居る。
2国間協定の新たな交渉時期が近づくに連れ、米国のエアラインは、もはや中国にオープンスカイを求めず、自由化の魔人には瓶の中に残ってもらい、外国エアラインのこれ以上の乱入を防ぐ事を願って居る。消費者、旅行業界団体、そして米国政府には新たな戦いが迫って居るかも知れない。
Chinese airlines overtake US carriers across the Pacific. The big dilemma: US-China open skies?
CAPA「米州航空サミット於ラスベガス」=湾岸-米国エアライン・トップレベル討論:収録ビデオ
30-Apr-2015 2:05 AM
2015年4月27日〜28日、ラスベガスで開催されたCAPAの「米州航空サミット」では、錚々たるパネリストたちが、ピルズベリー法律事務所、共同創立者兼航空問題主席担当ケネス・P・クインの司会の下、長時間にわたり、米国の3大エアラインが政府に対して提出した「白書」に関わる喫緊の問題に関して議論した。
デルタ、アメリカン、そしてユナイテッドの3エアラインによって取りまとめられた「白書」は湾岸のエアライン各社にそれぞれの政府から、広範囲に亘る補助金が与えられて居り、米国とアラブ首長国連邦およびカタール政府の間の2国間オープンスカイ協定に定められた条件に抵触すると主張して居る。
この最初のレポートは、討議の完全収録版である。出席者は以下の通り;
アメリカン航空、上席副社長政府担当ウイル・リース
米国フェアスカイズ(公平な空)会長リー・モーク
デルタ航空代表取締役副社長、法務担当役員ベン・ハースト
エティハド航空法務顧問兼代表取締役副社長法務担当ジム・キャラハン
フェデックス上席副社長兼法務顧問ラッシュ・オキーフ
全米旅行産業協会会長兼CEOロジャー・ダウ
CAPA Americas Aviation Summit, Las Vegas: A high level Gulf-US airline debate - video
セブパシフィック、国内線見通し良好=タイガーエア・フィリピンが快復し市場占有率が60%に達して
30-Apr-2015 12:36 PM
セブパシフィックは、フィリピンの国内市場の環境がかなり改善した事から恩恵を受けて居る。このLCCグループは、10年前にはまだ30%だった国内市場占有率を、60%という強力な数字まで築き上げた。
セブがタイガーエア・フィリピンを買収した事は、素早くこのエアラインを黒字転換させた事から、これまでのところ成功と言え、一方で同社は別の子会社を使って、市場占有率を更に上げようとして居る。タイガーエア・フィリピンは、2015年には黒字となる予定で、一方、このエアラインがセブパシフィックの100%子会社である事を反映するブランド変更を考え始めて居る。
このレポートはフィリピン市場分析シリーズの第3部である。第1部と第2部では、セブパシフィックの業績と同社のフィリピン=中東、フィリピン=豪州の長距離路線市場の見通しを見て来た。今回は、新規子会社タイガーエア・フィリピンの黒字転換など、同社の国内線の業績と見通しを検証する。
Cebu Pacific domestic outlook brightens as Tigerair Philippines recovers & market share reaches 60%
ユナイテッド航空、利益率向上を誓う=2015年第2四半期の単位収入への逆風に立ち向かいながら
28-Apr-2015 4:25 PM
ユナイテッド航空は、2015年第2四半期の間に、内的および外的要素が融合して同社の業績の単位収入の指標を引き下げ、下落幅は一桁半ばにもなろうとする問題に備えて居る。
然しユナイテッドは、単位収入の下落を誘引して居るのが、儲けと累積利益率の双方であって、これが重くのしかかって居るので、最終的には利益率とROIC(投下資本利益率)を最大化するような経営判断をせざるを得なくなると主張して居る。この考えを実証するために、同社は777−200を国内線のハブとハブ間の繁忙路線に投入する、機材変更を実施して居る。
強さを増して行くドルと、供給競争のために同社が感じている圧力をいくらかでも緩和する為に、ユナイテッドは利益率を押し上げ、収益性を保つ事に努めながら、2015年の供給拡大目標を半ポイント削り、現時点では1〜2%の拡大を予測して居る。
United Airlines pledges margin growth as it confronts unit revenue headwinds in 2Q2015
アメリカン、結論に至る=為替と供給の逆風が、未だに強力な需要を覆い隠している
28-Apr-2015 3:30 AM
2015年の第2四半期、アメリカンはユナイテッドの4〜6%とよく似た旅客単位収入の下落を予想して居るが、同社を既に苦しめて居ると同じ、大きな障害を、米国の国際エアライン競合社であるデルタとユナイテッドもアメリカンに対し、創り出して居る。
ユナイテッドと同様に、アメリカンも、殆どの市場で短期的には需給不均衡が、大勢になって居るとして、最近、2015年の供給目標を0.5ppt修正した。そして、ユナイテッド同様に、アメリカンも2015年の旅客単位収入低下の最低点は第2四半期に来るだろうと考えて居る。
目下の所、米国のエアライン各社は、一部には燃油費の減少のお陰で、単位収入の下落にも耐えて居る。然し、ある時点で、エネルギー支出は間違いなく上昇するだろうから、この業界の継続可能な収益性を維持する為には、単位収入の立ち直りが必要と成るだろう。
American concludes currency and capacity headwinds mask still strong underlying demand
デルタ、2015年上期にずれ込んだ為替の逆風=立ち向かう力は備えた
デルタ航空は、2015年第1四半期に、米ドルに対する各国通貨の値下がりで下落した単位収入を支えるために、2015〜16年冬季の国際線の供給を削減する計画だ。同社は、2015年遅くには客況の弱い市場への供給を減らすことで、単位収入を引き上げる力を取り戻す事が出来ると見込んで居る。
同社としては、営業利益率は16~18%と予想して居り、安くなった燃油価格と単位コストの改善が好調に推移して居ることが、為替の逆風を相殺してくれると考えて居る。全体として、強いドルのお陰で生じた障害にも拘わらず、デルタとしては、2015年に、利益率と収益性の向上を予測して居る。
このデルタの為替問題に耐えられると言う強気の理由の一つは、2015年第1四半期に10億ドルの損失を生み出したヘッジ台帳のリストラにあり、この結果、2015年下期には、デルタの燃油費を業界平均並みに出来る予定だ。
Delta believes it is equipped to battle currency headwinds lingering in 1H2015
ANA、スカイマーク航空の20%を取得=独立性の喪失、或いは関心はLCCに移るので無関係か?
27-Apr-2015 2:00 PM
ANAは緊急に国際線への拡大を図り、売り込みのために機体にスターウォーズのR2D2を描いた機材を飛ばしてまでして、国際舞台での認知度向上を目指して居る。然し、ANAは、その国際線戦略からそれて、力尽きた低コスト国内線エアライン、スカイマーク航空の念願の19,9%の株式を取得し、長期に亘る成長の基盤としては、未だにその国内線エアラインだった過去に依存して居る。
これは、ANAがもう一つの国内線専門エアラインであるスターフライヤーの最大株主になった時以来、2度目の戦略逆行である。当時の取引条件は3,000万ドルの投資と、潤沢な現金を持つANAにとっては、断るには美味すぎる話だったが、結局、大きなお荷物も一緒だった。
極めて重要なのは、今回の取引について、日本第3の、そして、独立系としては最大のエアラインであるスカイマークにANAがどの位長く株主として止まれるかについて、発表では何も触れていないことだ。政府当局としては、航空業界を、ANAとJALの実質的な複占状態に後戻りさせたくは無いが、監理監督政策は失敗してしまった、しかし、外資は入れたくない、となると、残された選択肢は僅かしかない。どの位の期間が与えられて居るとしても、ANAはますます複雑化して来ている、自社ブランドのマトリックスの中に、スカイマークを取り込まねばならない。スカイマークはANAグループに連なる第7番目のエアラインブランドになる予定だ。
ANA takes 20% of Skymark Airlines. A loss of independence, or irrelevant as focus shifts to LCCs?
セブパシフィックの長距離運航=第2部 豪州、ハワイへの拡大、A330の稼働率が向上するに連れ
セブパシフィックは、2015年末迄に、ハワイへの、そしてもし、豪州への運送権が追加して確保出来るなら、メルボルンへの便を開設したいと考えて居る。ホノルルとメルボルンは、セブにとって、中東の4地点とシドニーに加えて、それぞれ6番目と7番目の長距離便目的地になる計画だ。
セブパシフィックは、また、A330-300広胴機を香港、台北、東京 路線の一部の便に使って運航して居る。現在は、A330を毎日一便のシンガポール線に投入して居るが、今や既に同社の最大の国際線路線となった、マニラ=シンガポール線の広胴機2便目を追加する計画である。
新たなA330の投入計画で、現在は、LCCの標準から見ると低い、同社の広胴機の稼働率を上げ、ASKを30%も大きく伸ばすことになる。供給の拡大は、セブパシフィックが合計8機とする2機の追加計画を棚上げしたにも関わらず、達成されつつある。
Cebu Pacific long-haul Part 2: Australia and Hawaii expansion as A330 utilisation rates increase