当分析はCAPAが2022年2月12日に発表した
Niigata - Japan’s next airport for privatisation edges closer to a deal
JAMRが全文翻訳したものです。
2022年2月14日
新潟、日本の次の民営化空港ー交渉が大詰めに
12-Feb-2022 7:22 PM
インフラから始まった日本の空港民営化計画は、完全に停止する事は無いが動きを停滞させたコロナウイルス・パンデミックまで、国交省が10年以上前から慎重に進めて居た。
現在、新潟県と2022年11月にそれを進めるか否か、最終的決断をしようと、再びそのスピードを上げようとして居る。
このプログラムはこれまでの所、成功して来たと判断されて居り、また新潟はほんの24番目の規模の都市であり、航空交通は供給不足である事から、可能性としては、実現する模様だ。
もう一つ同じくらい関心を集めるのは、LCCとその乗客を増やし、観光を振興すると言う、国交省の重大な双子の目標が、新潟で実現出来るかどうかである。
最初の命題は、可能だろうが、観光客数は民営化によって自動的に流れを増す訳では無いだろう。
概要 Summary
新潟空港民営化の決断は2022年11月までになされる予定である
日本の新潟県は、新潟空港の民営化案を検討する委員会を立ち上げた。県庁は、2022年11月までに、空港の民営化をするか否かの結論に達する予定だ。
新潟は日本の最大の島である、本州の港町である。
新潟市は中部地方にある新潟県で最大の人口を持つ都市で、県庁所在地であり、中部地方では名古屋に次いで2番目に大きな都市である。この町の人口は、約80万人である。ここは自由港である。
多くのコンセッションの対象になる、或はそれを指向して居る小規模な空港の一つである新潟は、事実上、インフラ、交通そして観光の異なる需要を一つ屋根の下に結びつける、世界中の何処にも滅多に無い政府の部門である国土交通省(MLIT) の肝煎りで、コンセッションによる空港民営化を求める一群の小規模空港の最新の例である。
同省は、それ以前には僅かな例しか無かった2011年にその業務を開始して以来、「2020年までに、全ての国家管理の空港を民営化する」野望達成には至らなかったものの、多くの空港を民営化する素晴らしい仕事を成し遂げて来た。
19の空港がその様に指名されて居る。
日本の空港は以下の様に分類される:
第3、第4の範疇は現在民営化対象になって居ない。
日本の空港
Source: MLIT.
新潟の位置
Source: Google Maps.
大規模、中規模、そして小規模空港が、地元及び外国の投資家を招いて、全てコンセッションされて居る
これらの空港とは、大都市の大阪とその近郊(関西、伊丹そして神戸);また新潟から100kmにある仙台(民営化第1号);福岡と広島の様な中規模都市空港;またパッケージでコンセッションされた北海道の7空港の様な小規模空港;熊本空港そして静岡富士山空港である。
更に多くが待ち構えて居る。パンデミックは民営化のスケジュールに影響を与えたが、過度にと言うほどでは無く、遅延(例えば広島)は数か月の問題だった。
この過程は、日本では、ヴァンシ・エアポーツ(日本の企業オリックスと連携して運営する大阪の関西空港)などの国際的な重量級企業や、非常に広い範囲の日本の金融機関、系列(産業のコングロマリット)、そして専門知識を生かした全国的/各地方の交通企業やインフラ企業を含んで居る。それは多分、世界で最も多様な範囲の投資家であろう。
国交省の双子の戦略ーLCCと観光を増大させる
何年もの間、避けて来た後に、国交省が民営化の途を進むことを決意した理由は、以前、既に記事になって居るが、もう一度記録して置く価値があるだろう。
彼らが突き詰めた結果は:
日本のインバウンド観光は拡大して居るが、アジア太平洋や欧州の同様な国々から
遥かに遅れたままだ
最初の例は、2019年の外国人観光の来訪者数で、日本は、中国とタイに次いで、アジア太平洋で第3位だったが、世界のランキングではトップ10を外れて高い位置には居ない。
然し、それは460.1億米ドル(2018年対比+8%)と、第7位の規模の国際観光収入を創出して居る。言い換えれば、日本では旅行者がその他の国々で使うより、多くのお金を使うのだ、だからこの消費を更に拡大しようとする事には十分な動機がある。
二つ目の例では、しばしば、どの空港でも、LCCの数が多い事と、その供給席数が、より大きな観光旅行を産み出す方程式が成り立つこと、そして民間分野の空港経営者は、時に収支決算より「イメージ」を気にかける地方自治体の経営者より、LCCを強く追い求める傾向にあるのだ。
好循環
従って、好循環が形成される:即ち、当事者双方に結果として報いるコンセッション形態の民営化→LCCの拡大→観光振興→収益。
確かに、過去数年間と言うもの、日本では低コストエアラインの数の増大が見られ、LCCは現在(2021年1月~11月)国際線供給席数の21%、国内線の24%を占めて居る。国際線供給席数の割合はずっと高かったが、国内線席数の割合はこれまでの最高になって居る。
これに従い、(民営化された)大阪関西空港、(公団化されたが民営化の予定はない)名古屋のセントレア中部空港、そして沖縄那覇空港(民営化の計画対象)のターミナルなど、低コスト空港とターミナル(LCAT)が増加して来た。
東京首都圏で、東京から80km北東の小美玉市の近くにある茨城空港2010年11月に軍事基地から変更された。ここは特に低コスト空港(LCA)としてデザインされて居る。
茨城は成功例である:初年度に42%拡大し、2011年から2019年の間に旅客数が減ったのは1年だけだった。2018年と2019年の両年には+12%の拡大を達成して居る。
LCCとLCATの増加は、実際には、民営化推進の以前に遡る
これは全てつい最近の話だった訳ではない。
北九州空港が開港した2006年、この海上空港は、24時間運用を武器にLCCを誘致することに打って出て、確かに2008年、韓国の格安航空会社ジェジュエアを誘致できた。
然し、地元日本のLCC各社の増加、そして日本の空港を使う外国のLCC各社の増加は、それらの空港の民営化と協同した事例であることは間違いない。
更なる情報は、2022年2月7日の:「2022年CAPA低コスト空港とターミナル」レポート第3部及び要約を参照されたい。
新潟には、より多くのLCCを誘致する、現実的な可能性がある。。。
従って、疑問は以下に違い無い:新潟は、低コストエアラインの拡大とそれに伴う観光振興と言う国交省の「体制」にどれくらい嵌まり込みたいのか?
コロナウイルス・パンデミックの前に、新潟は、正に強固な旅客数増加、2018年(+10.5%)、2019年(+6.9%)を経験して居る;これは、以前の何年間より遥かに良い結果だった。
新潟空港:年間旅客数/成長率、2015年~2021年
Source: CAPA - Centre for Aviation and Japan MLIT.
この成長は、実際には格安エアラインの分野から生まれて来て居る訳では無い。
現在のところ(2022年2月7日の週)、LCCは全供給席数の、それはまた全て国内線だが、僅か11.5%を占めるに過ぎない。
これは日本全体の国内線の2021年供給席数比率の半分に満たない。
新潟空港、ビジネスモデル別供給席数、2022年2月7日の週
Source: CAPA - Centre for Aviation and Japan MLIT.
それはまた、初めてコンセッションされた仙台空港の、LCC供給席数比率(26.2%)の半分にも満たない。
もう一つの見方では、2021年5月にCAPAが同空港を最後に調べた際のLCC供給席数比率では、新潟は更に低い6.1%だった。
従って、進歩があったと言う事だ。日本をひどく傷めつけた、そして、殆どの基準から未だに傷め続けて居るパンデミックに、一体どの位これが支配されて居るのかは未だに判断できない。
。。。然し、そこは観光地では無い
新潟は確かに観光リゾート地では無い。
それは経済的に強固な都市であって、農業分野がそのGDPを牽引して居る。お米が主たる生産物で、米の生産高では日本の全ての県の中で、新潟は北海道に次ぐ第2位であり、もう一つ人気のある生産物が花である。工業生産物の分野では、新潟は米国のピッツバーグ、カナダのハミルトン、英国のシェフィールド、そしてドイツのエッセンに匹敵する金属製品の産地である。
「アルプス」のスキー、沖合の佐渡ヶ島への旅、そしていずれこの国の何処へ行ってもある、伝統的な「ホットスパー」即ち温泉を訪ねる事の他には、観光の楽しみは少ない。
従って、ゆっくりだが堅実にLCCの運航を増加させると言う、国交省の要求項目の一部は満たされるが、観光の方は無さそうである。
大きな違いは、計画を押し進めて居るのが、国交省でなく、県の方である事だ
然し、ここにある違いは、この構想を牽引して居るのは、国交省と同様に地元の県である事だ。県は、恐らくパンデミックが収束して居ることが期待される、今年遅くまで待って構想の開始を決断するのだが、日本中の空港に於けるこれらのコンセッションのプラスの効果をずっと観察して来た。
更に多くの県がその行程を追いかける事になりそうだ。
カードの裏側に「ワクワクする商機」があるが、地元投資家たちの方がそれを探し出しそうだ
国交省の方は、パンデミック前にインバウンド旅行客市場が拡大を開始して居て、LCC市場が日本に順調に根付き始めて居たことから、地元及び外国からの投資家が、今年の民営化と言う計画をワクワクする商機と捉えて欲しいと願って居る。
同時に、日本の社会を、特に幾つかの空港のある、排他的な地方都市に、経験ある世界的な運営会社・投資家を連れて来る価値を納得させるには、まだ長い道のりがあると認めて居る。
少なくとも新潟の例では、これら投資家たちは、海外からよりも日本の業界や金融界から出て来そうである。
地元企業が、彼らのそれぞれ独自の専門的知識を生かし、そして相応の対価を得たいと願って、コンソーシアムに参加する可能性が高い。
以上