パイロット戦力の再構築:アジア太平洋のエアライン、採用パイプラインの確保に動く

当分析はCAPAが2022年10月11日に発表した

 

Rebuilding pilot workforces: Asia-Pacific airlines work to ensure recruitment pipeline

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

2022年10月28日

パイロット戦力の再構築:アジア太平洋のエアライン、採用パイプラインの確保に動く

11-Oct-2022

 

アジア太平洋のエアライン各社が、国際線運航を強化する中で、その焦点は、計画する成長のために、パイロットの戦力の再構築と、その採用パイプラインが確保できる事にますます向かって居る。

 

パイロットの供給は、COVID−19前からエアライン業界が直面する重要な長期的な問題の一つだった。パンデミック期間は、成長が失速し、多くの場合、採用の休止が生じた。

 

然し今や、アジア太平洋のエアライン各社はその国際線運航を復旧させようとして居り、パイロットの供給は優先リストのトップに戻りつつある。エアライン各社は、短期及び長期の拡大のために、その採用と訓練に再び全力をあげようとして居る。

 

考慮しなくてはならない、その他の要素が沢山ある中で、彼らが確実にしなくてはならないのは人員配置の水準が彼らの路線網計画を制限することが無い様にすることだ。以下の事例は、幾つかのアジア太平洋のエアラインがこの問題にどの様に取り組んで居るかを示して居る。 

概要 Summary:

  • キャセイ太平洋は、2023年までに700名のパイロットの採用を目指す
  • エアアジアは2023年2月までに全ての一時帰休のパイロットを呼び戻す考えだ
  • シンガポール航空は中断したパイロット訓練生の養成課程を再開する予定だ
  • 豪州のエアライン各社は、再度パイロット訓練校を満員にする予定だ
  • 日本と韓国のエアライン各社はCOVID-19の間中、パイロットの人員数を削減しなかった 

 

回復が加速する中で、キャセイは野心的なパイロット採用目標を持つ

 

キャセイ太平洋は、以前、今年の上半期に退役パイロットが急増して居る事を認めて居り、COVID-19パンデミックの間中、人員不足の恐れを体験したエアラインの一つである。キャセイは、予測されるリバウンドのために必要となる、パイロットと他の要員の採用プロジェクトを開始した。

 

同エアラインは、現在のところ運航のために充分なパイロットは居ると述べて居た。同社は昨年、300人の地元のパイロットを追加するために、採用の手続きを開始した。また2023年までに、700人の、そのうち300人はパイロットに直接投入、400人は訓練校卒業生でセカンドオフィサーとして、採用を目指して居る。

 

これに加えて、キャセイは、2025年までに1,000人以上のパイロット候補を訓練することを目指し、パイロット訓練プログラムを再開して居る。

 

キャセイのパイロットは、香港の厳格なCOVID-19国境規則の所為で、特に厳重な検疫要件の下で運航して居り、これがパイロットの減耗の要素になって居る模様だ。

 

然し、これらの規制策は2022年9月10日に大きく緩和された。

 

多くの国境規制が取り除かれたものの、キャセイは、復帰するパイロットに対する訓練の積み残しがあり、同社全体の回復にはもう数か月かかるだろうと述べて居る。

 

エアアジアとSIAは、路線網回復を支えるパイロットを確保して居る

 

エアアジアは戦力不足には直面して居ないと語る。同グループは、78%の一時帰休パイロットを2022年8月までに復帰させ、2023年1月または2月までに全ての既存のパイロット要員を復活させる事を目指して居る。

 

同エアラインは、多くの一時帰休の運航乗員が、エアアジアのディジタル事業などの他の業務で訓練されて来たと言う。パイロット免許は有効なままで、復帰訓練は維持されて居る。これは、一時帰休のパイロットは必要に応じて再投入可能である事を意味して居る。

  

シンガポール航空(SIA)は、旅行制限が緩和された時の運航の拡大を支えるために、多数のパイロットを2020年と2021年を通じて手元に留保して居たと語る。

 

SIA グループは、コロナウイルス・パンデミックにより、訓練を中断されて居た、シンガポールを本拠とするパイロット訓練生に連絡をとって居る。これらの訓練生はその訓練を2022年10月から順次再開する予定だ。

 

SIAはまた、直接投入のファースト及びセカンド・オフィサーとともに、新しい訓練生の採用を再開して居る。

 

カンタスは、短期的なパイロット不足の状況は過ぎたと自信を示す

 

カンタスとバージン・オーストラリアは、パイロット戦力をパンデミックの早い時期に削減した。両社はこの地区の多くの他のエアラインに影響を及ぼして居る、高い水準の病欠のために、当面のパイロット不足に直面して居る。

 

然し、両エアラインは、現在のパイロット数は路線網維持には充分であると強調して居る。

  

カンタスは、ずっとパイロットの欠員への多くの応募者を受け付けて居ると、グループの関連エアラインとサービス担当の重役であるジョン・ギッシングは語って居る。2022年9月14日のCAPA豪州太平洋航空サミットで、ギッシング氏は、カンタスが新型機を含む大量の航空機を発注した事で、関心が高まって居ると語った。

 

同グループは、パンデミックの襲来直前に、クイーンズランドのトゥーンバに新たなパイロット訓練校を設立した。国境が閉鎖されて居る間は外国の訓練生は呼べなかったが、同校はずっと大変忙しい状態だとギッシング氏は言う。同校には現在150人の訓練生が居て、その21%が女性である。

 

ギッシング氏は、同エアラインは、大人数のパイロットが他社に就職するために辞めるという事態には直面して居ないと語った:「それは一つの問題として、未だ残るだろう。然し、我々には、幾つかの事業単位に、強力な(パイロットの)パイプラインがある。」

 

訓練校は、他の地域エアラインに比べ、レックスをより自給自足可能にして居る

 

豪州のリージョナル・エクスプレス・ホールディングスは、厳しいパイロットの減耗を経験してから、2008年にパイロット訓練プログラムを立ち上げた。その時に、同エアラインは、カンタスの様に同社も外国からのパイロットを訓練して居るが、自分自身でパイロットの供給源を持つ必要がある事を理解した。

 

上述の様に、この訓練校は、国境が再開されて以来、ベトナムとシンガポールからのパイロットを訓練して居ると、レックスの執行役員クリス・ハインが述べて居る。

 

訓練校は、中国など5つの関係当局からの認証を得て居る。ハイン氏は、国境が再開された時には、同社は、中国市場に再び参入して行く事に、特に大きな商機を思い描いて居ると語る。

 

北アジアのエアラインは人員カットをしなかったが、これは回復期に役立つだろう

 

多くのアジア太平洋のエアラインがパイロットの数を削減した中で、日本の大手エアラインはそのパイロットたちを比較的手付かずに維持した。

 

JALの社員の何人かは国内で需要のある業界に、一時働くよう派遣されたが、ANAとJALはパンデミックを理由に人員カットをしなかった。ANAは、パンデミックの期間中、パイロットの採用を維持したと言って居る。

 

日本では、国境の全面再開は他に比べて遅かったが、これらのエアラインは幾つかの他のエアラインに比べ、パイロットの供給問題は少なかった筈だ。

 

大韓航空も、従業員を余剰とはしなかったが、暫時有給休暇は必要だった。同社は、路線を回復する為の充分な数のパイロットは居ると言う。同社はまた、中長期の需要拡大に対応するに充分であると予測して居る。

 

保有機群の再構築、そして拡大には、新たなそして復帰するパイロットが必要となるだろう

 

戦力不足は、パンデミックからの回復の局面で、既に幅広く航空業界全体にとって頭痛の種になって居る。

 

これは、これまでのところ、他の労働者グループ内の方が、より大きな問題の様に見えるが、パイロット市場が厳しくなりつつある兆しも確かにある。現在のところ、アジア太平洋の広胴機保有機群の内、およそ62%の機材しかまだラインに戻って居ない。

 

従って、パイロット人員の水準の本当の試練は、より多くの便が復活し、より多くの広胴機が再稼働する2023年にやって来る可能性がある。

 

航空機を購入する事はパズルのほんの一片に過ぎないけれど、より多くのエアラインは、またパンデミックで中断させられた、保有機群の拡大計画に立ち戻ろうとして居る。 

以上