2022年1月23日
2021年、世界の繁忙空港トップ10のうち7つが中国に
14-Jan-2022
CAPAは2020年の、トップ50空港をリストに積み上げ、現時点で入手できる2021年通年の、或は一部は2021年1月から11月までの様な部分的なデータと比べて見た。
中国が、国内的には概ねCOVID-19を水際で封じ込め、世界の空港が種々雑多な結果を見せる中で、その空港は一見して、重大事態を遅らせて居た。
2021年の世界の最繁忙空港トップ10のうち、7つは中国にあった。トップ10の残りの3つは、ほぼ100万人の米国国民がこのウイルスで死んだとはいえ、強力な国内線の復活に乗じた、米国の空港だった。
今回のレポートは地区別に、トップ50空港の業績を検証する。
2021年の世界の主要空港の「公式な」旅客数統計が、多くの場合、未だに公表されて居ない一方で、CAPAには2020年対比での成長率について、実質的に妥当な評価をするに足る充分なデータが入手可能になって居る。
世界の幾つかの地区では、2021年のこれらのトップ空港(例えば欧州と北米の)が正に強力に成長するのを目のあたりにして居るのだが、アジア太平洋地区は、幾つかの空港では、順調な成長を体験して居るが、その他はどんどん堕ちて行く統計数値の、核の冬の中に嵌まり込んで居て、互いに矛盾するデータのごった煮の状態が続いて居る。確かに、彼らの以前の状況に戻るのに、もし出来たとしても、何年もかかる空港も幾つかある。
また、統計は、異なる国々、或は国内の、州、県や地域に、強制される、パンデミック対策にも影響され続け、それに従って統計数値が時に大きくぶれるのも明らかである。
概要 Summary
民間航空にとって、1945年以来最悪の2年間
毎年1月の始めまでに、前年の旅客交通量統計が各空港で計算され、前年(この場合は2021年)との比較をすることが可能である。
戦時中は別として、少なくとも現時点まで、2020年と2021年は民間航空業界にとっては、たまたま最悪の2年間となってしまった。
然し、多くの場合、各空港は2020年の状況から回復を始めて居たし、幾つかの例では、回復は劇的なものだった。(当然の帰結として、その他はそうでなかった)。
この調査のスタートは、2020年の世界のトップ50空港の年末の旅客数実績値、そして、この年の減少率の大きさ(どの空港も減少して居る)。その後に、これらの数値が判明して居る所では、2021年の旅客数と比べられる。幾つかの例では、統計はまだ1月~11月、或は1月~10月の様に短い期間しか得られて居ない。
最終的に、旅客数の増加率が得られる(少数の例では、更に減少した所があり、その場合は文中で述べられて居る)。
表の理解を容易にするために、トップ50空港は、欧州;北米;ラテンアメリカ;アジア太平洋、中東の地区ごとに分けられて居る。トップ50にアフリカの空港が入って居ないので表中にアフリカは無い。
各地区内の表では、2020年のランキング順にリストされて居る。
欧州 Europe
Source: CAPA Airport Profiles.
欧州、北米から唯一のトップ50入り、ヒースロー空港は、2年連続で旅客数を落とす
この表で、幾つかの特筆すべき結果は着目すべきである。
2020年と2021年(▲12.3%)の両年とも旅客数を減らした、ロンドン・ヒースロー空港は、欧州、北米の空港から唯一トップ50に入った。その最終合計は、2019年に見たパンデミック前の水準の1/4にも満たない数字だった。
繰り返すが、その12.3%減少は2020年に対してであって、2019年対比ではない。最初の数か月が悪かった様に、12月は、英国政府がその月の早い時期に、コロナウイルス、オミクロン株の蔓延に対応するため、英国入国旅行客は殆どの国からの到着便搭乗前に、COVID-19陰性の検査結果を持って居なければならない、そして、更に、48時間以内にと言うもう一つの規制を導入し;これで旅行の手配(とコスト)をこれまで以上に複雑化したため、如何なる前向きの違いを見せない予想だった。2022年1月12日に、60万人の旅客がヒースロー空港から12月に出発する予定をキャンセルしたと報じられた。
英国は、航空業界の規制の課せられ方で、殆どの国々よりも痛手を受けた。これはヒースローの旅客数統計から見て明らかであり、これは、中でもマンチェスター・エアポーツ・グループ(MAG)CEOチャーリー・コーニッシュ、エディンバラ空港CEOゴードン・デューアーが最も声高で、空港のコミュニティに騒ぎを引き起こす事になった。(ヒースロー空港のジョン・ホランド-ケイは控えめな傾向だった;多分、ヒースローが2021年に、主たるライバルであるパリCDG、アムステルダム、そしてフランクフルトの「FLAP」空港、そしてマドリードの下に滑り落ちた事を理解すれば、彼もそうは行かないだろう。)
確かに、MAGは、2021年早い時期に、感染者数に従ってその国発着の旅行に影響を及ぼしたが、非常に速く変更となった、英国政府の「交通信号」システムに法的措置を講じた(敗訴だったが)ライアンエアなどの、航空輸送組織の「コンソーシアム」の一つだった。
欧州の表の中にイスタンブールの2つの空港が入って居るのは興味深いが、主たるイスタンブール空港が、2020年この大陸で最も繁忙であり、2021年に最大の増加率を記録して居る。もう一つのイスタンブールの空港、サビハ・ギョクチェンも、地理的にはアジアにあるが、2021年に大きな増加を見せた。
イスタンブールとモスクワが双方とも欧州の表の中に、2つの空港を持ち、目立って居るが、パリの小さな伸びが厳しい体制を強調する
多くのCAPAの記事が指摘した通り、トルコの航空交通量の強力な伸びは、主に国内線旅行に、そしてコロナウイルス・パンデミックに関する、より緩やかな入国体制に拠ると言えるものである。
同様のことが、特に国内線旅行に関しては、ロシアにも言えて、モスクワもまた2つの主要空港の数値が表中にあり、両方とも2021年対比で50%以上の増加である。
ヒースロー空港の旅客数減少とは別に、2021年に最小の旅客数増だったのは、僅か7.5%のパリ・シャルルドゴールだった。これもまた、厳しく、フランス政府によって課せられた、オランダと豪州にしか匹敵するものはないロックダウンなど、時に過酷な規制を表わして居る。
2020年トップ50には、北米の15空港が入って居るが、カナダは全く目立たない
北米に目を転ずると、2020年トップ50に15空港が入って居て、その全てが米国である。
ロックダウンと、国際線はおろか域内旅行に厳しい規制を課すと悪い評判が広がったもう一つの国カナダは、トロントのピアソン空港が2019年に32番目の位置に居るにも拘わらず、勝ち目がない。(カナダは2020年に74%、そして2021年はじめの数か月に更なる90%の旅客を失った。)
米国の空港での2021年の大きな増加、然し各州がCOVID規制を遅れて適用した或は何もしなかったため、統一性は僅か
執筆時に通年の統計は無かったが、殆どの場合、2021年11月末まで計算されて居る。
米国で注目すべきは、2021年の全国での旅客数増加の規模である。最小の増加でも29%と50%で、動きを規制するのに厳格な姿勢で臨んだカリフォルニアで記録され、これに同様の姿勢だったニューヨークが続いて居る。最大の増加は、州の政治家たちが、より自由な線を選んだフロリダとテキサスだったが、勿論、多くの観光アトラクションのあるフロリダで、その多くが2021年に営業を再開して居る事も、勘定に入れ無くてはならない。
Source: CAPA Airport Profiles.
ロサンゼルス・LAX、サンフランシスコそしてニューヨーク・JFKの3つを除く、全ての例で、2021年の旅客増加の割合は、2020年の旅客数減少の割合を上回り、一方でニューアーク・リバティ空港での割合は、ほぼ同じだった。
マイアミでは2021年の増加は、2020年の減少を30パーセンテージ・ポイント越えて居る。これが物語るのは、異なる各州のコロナウイルス・パンデミックの大きさを扱うやり方である。
2021年ラテンアメリカ最大の2空港での成長率の違いが、各地でのパンデミックへの対応の変化を強調する
ラテンアメリカでの例では、2020年トップ50に、2つの最大都市(世界でも最大級に入る)にある、2つの最繁忙空港だけが入って居る。
ラテンアメリカは、COVIDの影響を、特にこれら人口密集する都市では、もろに感じて居る。2021年に、幾つかの国では、他国では出来なかったが、何とかそれをかわす事に成功した。2020年の同じ様な数字の損失の率と比べた、2021年の二つの成長率の間の差異が、これを証明して居る。
Source: CAPA Airport Profiles.
アジア太平洋は2020年トップ50空港の殆ど半分を占めた
COVID-19の厳しい衝撃にも拘わらず、アジア太平洋は、2020年のトップ50空港の中で最大の割合を占める地区である。
全部で23が入った。これは殆ど驚くにあたらない。
2013年に初めて計算された、ヴァレリーピエリス・サークルに依れば、世界の人口の半分は、南シナ海(後年の計算ではミャンマーに変更された)を中心とする半径2,500マイルの円内に住んで居る。
ヴァレリーピエリス・サークル Valeriepieris Circle
Source: By NASA - https://www.reddit.com/r/MapPorn/comments/1dqh7d/after_seeing_a_recent_post_about_the_population/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=98756377
Source: CAPA Airport Profiles.
中国ーウイルスの変異株で、国の幾つかの地域は、他より強く打撃を受けたため、旅客交通量に明らかなパターンは無い
23空港の内、最初の8つは全て、合わせて17空港が占める、中国にある。
中国の統計は、読み応えがある。2019年には11位にランクされて居て、突然の事では無かったけれど、広州白雲空港が2020年、アトランタから王座を奪って、世界最繁忙空港になったのは、今では良く知られて居る。
この位置づけは間違って居て、広州が巨大な「空港都市」に囲まれて、国中に影響する物流の活動を担って居るとともに、多分中国のこの地域がCOVIDで他所よりひどい影響を受けなかった事によるのだろう。
更には、これは一過性の現象で、アトランタは、70%近い旅客数増加により、疑う余地なく2021年には世界一の座を取り戻して居る(一方、広州は更なる8%の減少だった)。
北京の新しい大興空港、トップ50で唯一2020年に伸び、2021年に伸びを続けた空港
北京首都の旅客交通量は、2021年にも5.4%の減少を続けたが、この空港はパンデミックだけでなく、2019年半ばに開港した、北京大興の登場にも影響を受けた。それは、トップ50の中で、2020年に兎も角、成長した(+413%、然し、勿論非常に低い足許からだ。)唯一の空港で、2021年にも+155%の成長を記録し、伸び続けた;繰り返すがトップ50空港中で最高の成長率である。
その他には、中国は、比較的に遅いコロナウイルス・デルタ株の、次いで極めて急速なオミクロン株(これには地元製のワクチンは効果が無いと報道されて居る)の襲来に悩まされて居る。
西安の苦境は、2020年初期型都市封鎖に戻る、ある地域の兆候を示して居る
中国の幾つかの地域は、この記事執筆中に完全に都市封鎖されて居る。
西安の町は、その例である。そこに居る人々は、今や2週間に亘り、隔離され、恰も「兵馬俑」である。下の図は、西安が首都である陝西省のもので、感染者数の急激な上昇を示して居る。
Source: https://github.com/CSSEGISandData/COVID-19
西安空港は、2021年に10%の旅客数増加を見たが、都市封鎖が数週間続く事で、2020年の領域に引き戻されるだろう(▲30%かそれ以上)。
これらの統計だけでも、中国の回復が如何にまちまちで、2022年を通じて、パンデミックに影響され続けると予想される国である事を示して居る。
インドのデリー空港は、2020年に失った旅客の1/4を取り戻した
インドもまた、変異株の間にあって、デルタ株は最初に此処で見つかったが、この国は、感染者数は2022年1月に2021年半ばと同じくらいに跳ね上がったけれども(毎日50万人と報じられて居る)、まだ同じ程度までオミクロン株で苦しめられて居ない。
インドの空港で2020年に唯一トップ50入りしたのは(これはこの国が、人口でそしてパンデミックか否かでも極めて似た中国に、未だに遥かに遅れて居るかを示して居る。)、2,850人の旅客のデリー(16位)である。デリーは2020年に、ほぼその60%を失ったが、デルタ株にも拘わらず、2021年に25%を何とか回復させた。
バンコクのスワンナプーム空港は、2年続く落下の最中で、観光産業は大量殺戮にあって居る
タイの衝撃的な状況は、同国の主たる国際線ゲートウエイであるバンコクのスワンナプーム空港で2020年に旅客数が74%、次いで2021年に72%減少した事で強調される。
併せて、これは50空港全体の累計旅客数統計の中で、遥かに最悪の組み合わせである。
これはタイが、その観光客の楽園と言う地位を一体取り戻せるのかと言う疑問を呼び起こして居る。その全ての文化の魅力で、「楽しい」デスティネーションとして、そのアトラクションは、特にパタヤの様な町では、最大の吸引力である。然し、殆どのその「楽しい」夜の淑女たち、紳士たちは(パタヤには27,000人居た)、北部の彼らの故郷に、或はもと来たラオスやカンボジアに帰ってしまい、ホームレスの問題が悩みの種になって居る。観光局は、中国から、そしてアジア太平洋の他の国、ロシア、豪州、或は欧州からの外国人旅行者呼び戻し、10年計画の使命に直面して居る。
ソウルの仁川空港は、アメリア・イアハートより上手く、消える芝居を演じた
2つの韓国の空港の実績が表中にある:首都の国内線空港であるソウル金浦空港と主要な観光リゾートにある済州空港だ。2020年、両空港とも1/3近くの旅客を失ったが、2021年に1/4以上を回復した。
然し、多分、全体で最も面白い統計は、その表に登場すらせず、2019年には7,120万人の旅客数で、14位にランクされた一つの空港に関連するものだろう、ソウル仁川である。この国の遥か最上級のゲートウエイであるこの空港は、2020年に83%の、更に2021年に73.5%の旅客を失い、残されたのは、僅か2年前に取り扱った旅客数の4.5%に相当する320万人だけになってしまった。
かくして強者は地に落ちた。
ドバイの大きな旅客交通量消失は、第2空港の必要性に更なる疑問を生起
最後に、中東からは唯一つ、ドバイ国際の形で登場するが、同空港は、エアバスA380(2020年代の「マリー・セレステ号」)を満席にする需要を必要としながらも、2020年に19位で、何とかこの表に留まる事に成功して居る。
その年、同空港は70%の、更に2021年には40%の旅客を失い、1,060万人(2021年上期、入手可能な最新の数値)となって居る。
公認されたドバイ・ワールド・セントラル(アル・マクトゥーム)空港の必要性については今や、疑問に曝されて居る。この空港に関する統計は無いが、2019年の取り扱いは僅か160万人だった。同空港は1億6,000万人を取り扱う様に設計されて居る。
中東 Middle East
Source: CAPA Airport Profiles.
ドバイ・ワールド・セントラル空港の最大の競争相手で、カタール航空をも含む柔軟で動きの速い組織の一部であるドーハ・ハマド国際空港は、より上手く行って居るかも知れない。
ハマドは2020年のトップ50に登場して居ないが、過去にはしたことがある。残念ながら、同空港の旅客統計は、3,880万人を取り扱った2019年以来提供されて居ない。
以上