航空業界2020年~2030年。エアラインのためのCOVIDの現実チェック

当分析はCAPAが2020年11月30日に発表した 


 Aviation 2020 to 2030. A COVID reality check for airlines

をJAMRが全文翻訳したものです。

2020年12月9日

 

航空業界2020年~2030年。エアラインのためのCOVIDの現実チェック

30-Nov-2020

今や、業界と各国政府は、最早、以前の状況を回復する事は、選択肢には無いと言う現実を直視すべき時である。

これは、2020年11月11日版CAPA Liveの序章のプレゼンテーションからの重要な持ち帰り事項であった。

私たちが次の10年を展望するにあたり、今や現実のチェックをする時、恐ろしいCOVID-19大災害が世界を包囲した時からの9カ月間の現実を検証するのだ、そして今度は、次の10年間の為に築く、新たなプラットフォームを検討する番だ。

2021年が手招きする中で、言わば、それは新たなスタート地点である。

将来の拡大の為の新たなプラットフォームとは何だろう?そして業界の収入が2021年には、2019年の半分以上も激減する中で、何が拡大を形成してくれるのだろう?

概要
    ●      2021年のエアライン収入プールは、2019年の半分以下。

      収入の漏斗に突入しようとして居り、エアラインはこの冬、キャッシュ危機に直面するだろう。

      業界が直面する環境問題の空模様は以前より更に厳しいだろう:「エアラインは、その不在がとてつもなく目立った。然し、今度戻ってきたら更に大きく目立つことになるだろう。」

      流通は、極めて大きく阻害されるだろう。

      路線網のプロファイルは、長距離狭胴機の運航を強調したものになるだろう。

      政府の関与は必然的に強まるだろう。

      ビジネス旅行は、60%のビジネス収入が蒸発し、絶滅危惧種になって居る。

      中国の主要国としての台頭は、COVID-19により際立って居る。

      テロリズムの脅威と同様、我々はウイルスとの共存を学ばねばならないだろう。

      ワクチンは特効薬には程遠いものである。

      国際協力はどんなワクチンよりもずっと重要である。

以下は2020年11月11日のCAPA LiveでのCAPA名誉会長のピーター・ハービソンの講話の一部を編集したものである。

今日、次の10年間を、楽観的なゴールを、仔細に見通してみたい、我々は、毎日次の日には何が起こるのかを、本当は知らないのだから。

然し、今はまず、ある種の現実チェックをする時である 

それは、この恐ろしいコロナウイルス大災害が世界を包囲して以来、9カ月間の現実チェックである。そして、今度は次の10年間の為に築く新たなプラットフォームを検討する番だ。

 

言わば、それは新たなスタート地点である。

 

我々は、この年の終わりまで、そして願わくば今年より遥かに良くなるだろう新年の始まりまで、文字通り僅か数週間を残すばかりだ。然し、2021年になったら我々は一体何をするのだろう?新たな状況は一体どんなものなのだろう?

 

言い換えれば、将来の成長のためのプラットフォームは何なのだろう?

 

私は、殆どの人々は、本当に勘違いをして居る人でなければ、次にやって来るのは、構造的に全く異なった業界である事を、今や理解して居ると思う。

 

収入プールの減少は、根源的な変化を意味する

例えば、IATAはつい最近、世界中のエアラインのための収入プールの規模が、2019年の半分になるだろうと計算して居る。これは大きな変化である。

これを本当に理解する事は誠に重要だ。

コストは縮小される必要がある。そしてエアラインは今年ずっと、明らかに、とても重要なやり方でそれをやって来て居る。然し、プロファイルの抜本的な変化無しでは、コストを半分に減らす事は不可能である。

そして、私は、50%の収入下落さえも楽観的であると思う。もし肌理細かく見れば:もし我々が来年、70%の搭乗率で運航したと仮定してみよう、もしイールド(実収単価)が2019年の70%の高さで、供給が昨年のおよそ70%に落ちたとすると、、、これらの一つ一つが、現在我々の置かれた現実から見れば楽観的である。 

「僅か」50%下落でさえ楽観的

この組み合わせで行くと、結果は、今年通年で、2019年の総収入のおよそ1/3となる。そして、我々が今や、欧州の都市封鎖に入ろうとして居る事から、そして米国は多分近い将来に、それに似た何かに直面せざるを得なくなって居る事から、2021年1月1日に飛行再開に飛び出す事はないだろう。

そして、他の多くの市場が、実に、極めて不安定である。

従って、現実には、我々は、2020年通年で市場全体で1/3から1/2あたりの収入を見込んで居る。

だから、IATAが再び尋ねて居る様に:2021年にはキャッシュ均衡が達成できるのだろうか?これの意味するのは、2021年には更なる損失がほぼ不可避であるだろうと言う事だ。 

 2021年、キャッシュ均衡は「そもそも」有り得るのだろうか?
    単位収入 対 単位コスト

上図両端の青い棒グラフは、2020年と2021年(予測)の単位収入である。そして、収入の点で7.40米国セントと6.98米国セントの間に比較的に緩やかな下降があり、これが、単位コストと単位収入の間に、コストの大規模削減があってさえ、非常に大きな較差へと導いて居る。

言い換えれば、飛んだ収入・キロメートルごとに、金を失うことになる。その結果として、驚くまでも無いが、IATAは幾つかのエアラインは、極めて近い将来、キャッシュが底をつく事になると言いたいのだろう。

そして次のグラフは、実際には2カ月前、感染の第2波が発生する前に作られて居る。

https://www.iata.org/en/iata-repository/publications/economic-reports/cash-may-run-out-for-some-airlines-during-tough-winter-season/

従って、それは多分もっと厳しい事にさえなるだろう。

単なる徐々に起こる変化ではなく-根源的な減少

我々の狙いは、余りにも否定的な面に身を置こうとするものではない。然し、エアライン業界の新たな形はどんなものかを認識するのは大事だと、私は思う。

我々は収入の漏斗に突入しようとして居る 

<収入の漏斗。業界の収入低下=構造に根源的な変化>

Source: CAPA - Centre for Aviation

収入は規模で2019年水準の1/3から1/2の中間の辺りまで縮小しようとして居る。そして、その事が拡大する変化以上の、根源的な減少をもたらそうとして居る。

若し我々が、およそ昨年収入の1/3から1/2の中間辺りへの下落を見ようとして居るのならば、我々は、業界の構造に、ある種の根源的な変化を見いだす必要があるだろう。

      それは単なる徐々に起こる調整ではない。それは根源的な変化だ。

      従って、それを良く噛みしめて、エアライン業界自身は縮小せねばならない。

      多くのエアライン自身が、既に縮小して居る;そして彼らは縮小したまま留まる。

      更に多くの経済的損失が起こるだろう。

      エアラインの撤退とリストラなど、エアラインの統合は避けられず、その鍵となる言葉は、根源的なリストラである。

これの意味するのは、実は我々がこれまでずっと注力してきた、単なるコストの調整では無い。

 

それは、とても痛みを伴うものだったが、未だに次の10年間のために為すべき、取り組み方へのいかなる基本的な調整もなされて居ない;それは、2030年シナリオの中身である。

 

コロナウイルスの衝撃が、次第に鎮まる中で、業界がこの10年間に向き合う事になるだろう、主要な外的な力に目を向けてみよう。

 

「エアライン・リーダー誌」の2020年代の主要な問題

 

昨年の終わりに、CAPAのエアライン・リーダー2019年12月号(もう一つの時代に)は、来るべき10年間に我々が見出す、3つの主要な優先事項を予測した。

 

COVID-19的観点からは、事態が改善し始めた後も、それが無くなってしまう訳では無いので、それらを再検討してみる事はとても大切だ。

1.Intense environmental pressures will persist

環境問題の強い圧力は執拗に続く

最初の予測は、環境問題の圧力は喫緊の問題となる。2019年12月に戻ってみると、2030年までの期間の最大の問題だった。

2. Distribution disruption流通の阻害

 

第2点は、実際に金銭が入って来る、エアラインの流通システムが阻害されそうな事だ。何故ならそれは、単に飛ぶ事とコストについて、では無いからだ。それは収入の問題である。そのシステムは、ずっと長い間、阻害されねばならない状態だった。

 

3. Network transformation路線網の変貌

 

そして、第3の大きな阻害勢力は、長距離、低コスト航空機が市場に導入されるに連れ、国際線路線網の変貌が有りそうな事である。

これらのどれ一つとして、特に議論を招ぶものでは無いが、皆がCOVID-19からの回復に余りにも集中して居るため、多分、容易にこれらの優先事項が有った事、そしてそれが無くなっては居ない事を忘れてしまうので、これらを思い出す事が重要だと、私は考える。

(エアライン・リーダー2019年12月号では、10年間で第4の重大な予測は、長い事置き去りにされて居る、国家の所有規則の腐食の問題である。これは、以下の理由からCOVID-19の犠牲となった様だ。

2020年に追加された新たなシナリオの中身

1930年代に逆戻り

そして、今年出現した幾つか主要な新しいシナリオの中身がある:

  1.まず第一に、以前、2020年10月のCAPA Liveで話した様に、「1930年代へ
    
の逆戻り」である。国境は閉鎖され、旅客は飛行の安全に懸念を抱いて居た1930
    
年代と同様の状態。

  2.第二には、パンデミックの第2波、第3波が欧州と米国を激しく叩いて居る中で、

    そして、ことによったら更なる波が来ると言う中で、我々は、もう一つの不確かな
      
回復の時期に踏み込んで居る事。多くのエアラインの破綻があるだろうし、幾つか
      統合さえもあるだろう。
 

国際線航空便は、実のところ、長い期間にわたって、安定しないだろう。これら最初の2つの問題は、予測可能な国境の開放が回復され、旅客の信頼が取り戻される迄、少なくとももう一年は、国際線航空便の進歩を決定づけるだろう。

負債が大量に山積し、収入がその規模に追いつけない中で、統合と市場撤退はこの環境下では不可避である。

先月お話しした様に、コストは実に王様となろうとして居る。

多くのエアラインが、今やその政府による投資を受けて居るのだから、政府の介入は不可避的に増大する。

ビジネス旅行は、60%のビジネス収入が蒸発して居り、絶滅危惧種になりつつある。そして長距離モデルは変化しなければならない。

ビジネス収入の損失と、国境の閉鎖と開放を巡る不確実性から、とりわけ長距離航空便は絶滅に瀕して居る。航空業の開始以来、ビジネスそしてプレミアム旅行は、長距離航空便を支えて来た。フルサービスモデルは、極めて大きく、実収単価の高い需要に依存して居る(長距離LCCの経験は、その進化とともにこれを実証して居る)。

衆目の一致するところでは、2021年通年で、ビジネス旅行は2019年の40%にさえ戻りそうにない。これはビジネス収入の60%と言う大規模な損失で、ビジネスからの実収が運航する多くの路線を支えて居るのだ。

言い換えれば、ビジネス需要の喪失は、完全に長距離モデルを危うくする。

旅行のシステムに対する不信(旅行全体を通じて)、予算の意識と家からのリモートワークもビジネス旅行にとって障害となる。

更には、最近の調査(勿論、他にも多くの調査があるが)は、頻繁な旅行者のおよそ2/3は、未だに、彼らのビジネス旅行中、エアラインシステムやホテルが彼らをウイルスから充分に守ってくれると信じて居ない事を示して居る。これは本当に心配な事だと思う。

これに加え、我々には企業からの支出を減らすためのコスト削減の圧力が掛って来る。そして3番目には、このヴァーチャルイベントで我々が今日行って居る、ビジネスをオンラインで行う事;オンライン会議が代替手段を提供することは、誰もがかつて予想して居たより遥かに大きな影響がある。

更なる、しばしば見落とされる関連要素は「家から仕事をすること(WFH)」の複合した影響で、これもまた長く将来も続くと予測されて居る。もし、しばしば言われる様に、WFHが将来、平均的勤め人の週間労働のほぼ40%を占める事になるとしたら、より大きなヴァーチャルな繋がりの便利さは、更に確立されたものになるだろう。

ZOOMで会議することは、この10年間の最初の2~3年は、確実に、ビジネス旅行に大きくとって代わる事だろう。ビジネス旅行が回復するに連れ、ヴァーチャルな事業運営は次第に薄れて行くだろうが、新たな、オンラインでする事業モデルは定着するだろう。ある見方を指標としてみると、アマゾンは2020年の旅行に関して10億米ドルを節減して居る。

そしてアマゾンは、旅行は回復するが「遅くなる」だろう、また同社は「過去と同じ水準」ほど、金をかけないだろうと語って居る。これらは、極めて不吉な言葉である。また、環境問題への責任にはよく馴染むだろう。

北大西洋は、ビジネス旅行の喪失に最も影響を受ける

 

北大西洋はビジネス旅行の喪失に、恐らく最も敏感だろう。そこは、非常に高い比率のビジネス需要で、世界で最も価値ある国際線市場と特徴づけられて来た。

 

そのメリットは、3大グローバルアライアンス:ワンワールド、スカイチーム、スターからなる、3大*メタルニュートラル、独禁法適用除外、共同事業に集中して居る。その市場は、またハブからハブへの運航、また、殆どで広胴機が使用されて居る事で特徴づけられて居る。

 

*メタルニュートラル=提携したエアライン間で運航する会社(機材(metal)、乗員などを提供)に関わらず平等に供給、価格設定、販売、収入決済などを共同で企画管理する状態

 

これらの特徴は、将来は同様ではなくなるだろう。2021年、ビジネス交通量が40%、50%或は60%下落する事で、高い実収単価と言うプロフィールも極く急速に消え去ろうとして居る。

 

共同事業は、多分、より大きな政府支援を得て、必ず継続するだろう、何故なら、これらの運航が維持できる事を確保すると言う、公共サービスの必要性が出て来るだろうからだが、これはある程度、市場を歪める事になるだろう。

 

然し、我々が見る事になりそうなのは、そして、これは先月のアメリカン航空CEOのダグ・パーカーとの議論の中でも補強されたが、北大西洋市場の両側で、狭胴機を使用した、比較的小規模なゲートウエイが高い割合で台頭する事だ。2021年とは限らないが、それより先にますます増加するだろう。

これにより、市場が変貌して、空港にも大きな影響を与える事を、まさに目の当たりにする事になるだろう。 

欧州のフルサービスエアラインは、最も危険な状態である

Source: CAPA - Centre for Aviation

欧州のエアラインは、この大路線に最も大きく依存して居て、どこも米国のエアラインが頼れる様な国内線市場の類を持って居ない。

北大西洋を飛ぶ欧州エアラインの総収入の、ほぼ1/4は実質的に北大西洋市場から来て居る。そして、もしそれが蒸発してしまったら、明らかに激しく彼らの価値は下がるだろう。

更には、COVID-19の衝撃で、北大西洋市場は、欧州からのひとつの路線地区を除く何処よりもひどく痛手を受けて居る。

バックトゥザフューチャー。第1の大問題:気候変動と継続可能性

 

「エアラインはその不在が恐ろしく目立って居る。然し、戻って来ると、もっと大きく目立つことになるだろう。」

 

これらの新しい、COVID-関連の要素は不可避的に、世界のエアラインの構造に大規模な変化を余儀なくさせるだろう。然し、それらは、我々が2030年代に予想して居る、以前ヘッドラインを飾った重要問題である環境問題の圧力の影響の代替物では無く、それを更に上回るものを形成するのだ。

エアラインは、COVID-19の間、その不在が恐ろしく目立った。これは誰もが認めざるを得ないと思う。然し今度、それが空に戻ってきたら、環境問題のコーラスが前よりずっと甲高いものになるだろう。

 

航空業界が全面的に回復する事に、今にも抵抗しようとする環境保護の勢力は大勢居る。そして、新たな基準点は限りなくゼロに近い。仮に政府によってで無ければ、人々の圧力によって、その水準までリセットされるだろう。これは勿論、誇張だけれども、期待される基準値は下げられ、エアラインの拡大に対する寛容の度合は下がることを意味して居る。

圧力は、企業から来るだろうし、また投資家の圧力、例えば、気候変動に責任ある立場を取って居るアマゾンから、我らの友人たちにかかり、そしてビジネス旅行やあらゆる形の旅行についての、気候に対する公約からもかかって来る。

また、欧州でずっと昔の2019年に、とても強力だった「飛び恥」も去っては居ない。排ガス税は、拡大し続けるだろう。。。。

特に、代替交通手段が存在する欧州では、近距離での地上交通による代替が強力に宣伝されるだろう。

英国では、昨年、飛ぶ事への課税、或は旅行をけし掛けると言う理由で常顧客プログラムの禁止が取り沙汰された。

米国では、新しいバイデン政権が代替燃料の必要性を加速させ、その政策は、実際に、鉄道路線網を建設して、航空交通の代替手段を提供する事を試みると言って居る。これは米国で以前からしきりに議論されて来た事なのだが、それが、新大統領の交通政策の中心部分である。

そして、一般的には、多分、昨年からの18カ月にわたって、日常生活に影響を及ぼして来た大規模な気候に関連した出来事、即ち火事、洪水、サイクロンそしてハリケーンなどの気候変動により、改めて感じられた懸念だと私は考える。

これらの環境下に於いては、一度、エアラインの活動が、例えば以前の水準の半分まで戻って来て、再びそれが広く知れ渡るようになれば、反対論は激しく強力になる事は、大いにあり得る事だ。

第2の大問題:エアライン流通システムの阻害

これは、変化にとって、興味深く、重要な領域である。大きなGDSは、彼らの収入は単位取引手数料から来るのだから、明らかに需要の下落に大きく影響を受けた。彼らは、既に、NDC(New Distribution Capability)の登場と、エアライン.com経由の直販による、システムへの大がかりな挑戦による、重大な阻害の過程を進んで居た。

重要なのは、現在、早く回復が始まる市場は、ブランドの認知が強く、エアラインは必ずしもGDSを頻繁に使う必要が無く、地元市場で直販する事が容易な、国内線である。

GDSをバイパスするには、実に理想的な状況である。今や、科学技術は、国内市場で代理店によるオンライン販売、即ちAPIセールスを充実させて来た。従って、この状況で良い位置に居るエアラインは、変化と阻害の最前線に居る事になるだろう。

国際線もその通りで、それは依然として、地方の直販網の類以上のものを通じた流通を可能にするために重要であり続ける。

然し、路線網が骨抜きにされて居るので、路線網を回復するためには、共同事業が、不可避的に、ずっとより重要になる。共同事業は、販売の過程に影響を与えるのに、更に重要になる。

そして、私は、より多くの大手エアラインによる長距路線の共同事業を、極めて強く期待したい。

主要な長距離路線の接続可能性を回復するのは難しい事になるだろうから、各国政府は、路線網の再構築のために競争の原理を犠牲にしそうである。これらの共同事業は、多分、メタルニュートラルであり、競争当局から認められて居て、それは、どんな路線でもその両端には、直接に販売できる国内線市場を持ったエアラインが存在することを意味する。そして、共同事業がメタルニュートラルであるお陰で、地元エアラインは外国のパートナーに代わって、各々の地元市場に喜んで公平な販売を行う。

デジタル・トランスフォーメーションは、未来への順応に欠かせない部分

これら全ての環境下で、デジタル化はますます重要になる。然しまず、資源を認識し、個々の領域に配分する事が肝要である。最近のマッキンゼーの研究は、新たな環境に適応する為に、優先順位を付け直す事の重要性を強調して居る。

彼らのケーススタディの中で、多くの企業がWFH(在宅勤務)への移行を試して来て居る。彼のインタビューした殆どの企業が、以前には、移行には1年くらいはかかると予想して居た。

実際には、彼らの言うところの、使える解決策を開始するのにかかったのは、凡そ11日間だった。それを以前に生産性の理由からやって来なかった企業は、単に、この変更に優先順位がついて居なかったからだった。

今日、この優先順位は、物差しを駆け上がり、そして、ゴールを達成する事が驚くほど簡単になった。

デジタル刷新は、ゲームチェンジャーとなり得る。流動性があって、幾らかの資金を持ち、実際にその資金をデジタル化に使えるエアラインは、その好機を活用するためのずっと良い位置に居るだろう。

このゴールを達成するために、KLMのCEOであるピーター・エルバースは、経済的な圧力がKLMを、「より多くの資源を持った、より知識の豊かな、より有能な科学技術の企業」との提携へと追い立てて居ると考えて居る。

エルバース氏は、科学技術の提携相手は、KLMの投資ファンドへの繋がりを増やしてくれるだけでなく、刷新をする際に、一方で「自分の得意分野は何だ、それは、エアラインの経営だ。。。に固執させてくれ、歩調を合わせてくれる。エアラインとして、我々は自社の航空機を建造したりはしない」、「それなのに、何故我々の科学技術を自分で構築しなくてはならないのか?」と彼は言う。

関連記事参照:CAPA Live: KLMのCEO、航空業界の乱高下する回復を覚悟 19-Nov-2020

そして同じ優先順位は、より高いコスト効率を生み出すために、同時に販売と流通に、そして現在の環境下で、とても、とても役立つ様になって居る常顧客プログラムの様な活動を活用する事へと流れて居る。

第3の大問題:路線網の変貌が加速する

先進的な路線網改革は、来たるべき次の10年間を検証した「エアライン・リーダー」の第3のポイントであった。極めて多数の長距離狭胴機が発注済みとなって居て、MAXが運航に戻って来れば、即座にその数字は更に伸びるだろう。

LCCがこの機材を独占して居る訳では無く、主要市場の一つ一つが大量のA321やMAXなどの長距離狭胴機を受け入れて居る。

その効果は変貌を促すだろう。

これは、既に以前にも発生した事のある進化だ。COVIDはその工程を加速させつつあり、特に、多くの場合、旅客はハブを通過して行くより、地点間を飛ぶことを好むからだ。

先月のCAPA LIiveでも話した様に、世界のLCCの占有率は急速に伸びて居る。路線網の変貌は、LCCについてだけでは無いが、LCCがまた実際には毎月、毎月、伸びて居るから重要なのだ。世界的には、その市場占有率はほぼ4%上がって、市場での全供給席数の35%である。 

世界的にLCCの市場占有率(供給席数)は、2020年に3~5%増加して居る

世界中の低コストエアラインは、殆どが彼らのCOVID-19戦略で、より攻撃的になって居る。彼らは殆どの場合、より潤沢な手元資金を持って居り、フルサービスエアラインは、より多く後退して居る。然しまた、LCCはコストがより低いため、実収単価の低い市場では、ずっと良い業績を上げられる。

 

米国でも、LCCの市場占有率は対前年4.5%の増加となり、欧州でも、既に高い45%の占有率が、今年だけで2%近くも上がって居る。

 

中国の主導的勢力としての台頭が加速して居る

 

これら全ての事が続く一方で、航空業界の勢力としての中国の台頭は、歩調を合わせて続いて居る。国内線エアラインの実績の数字は、2019年水準に戻って居り、場合によってはそれを超えて居る。

このバブルチャートと一緒に、我々がこの中に入れた予言のようなものを、見るととても興味深い。(下の動画) 中国の国内線は、現在、米国の国内線を追い越して居る(注:北米のバブルは米国=カナダ間旅行を含む)。この不釣り合いな状況は2021年遅くから2022年に条件が落ち着くに連れ、修正され始めるだろう。

 

然し、明らかに、中国は未だ拡大し続ける国内線市場を持ち、遥かにより強力な位置に居る。コロナウイルス閉鎖からの回復は、殆ど完了して居るが、一方でその他の大規模市場は低迷を続けて居る(中国の収入は、実収単価が低いままなので、依然として圧迫されて居る事に留意するのは重要だが)。

 

我々は、中国の国内線は向こう10年間、ずっとこの水準(2020年末で、2019年の約100%、米国国内線より50%大きい)から毎年5%の拡大を続けると言う、極めて控えめな仮定をして居る。

 

一方で、新たな感染の波が2021年第1四半期を覆い、更なる下落が有りそうな事から、米国は2021年通年で圧迫され、次いで2022年に復活するだろう。米国国内線が現在の2019年の50%以下と言う足許から回復するには、長い時間がかかるだろう。

 

中国の国際線市場は、急速に拡大するだろう

そして同時に、アジア地区の国際線便を地点間で運航するだろうから、中国の国際線市場も、拡大し始めるだろう。

中国は、その膨大な国内線市場があるので、第3、第4の自由輸送に基づいて運航できる、乗継需要や第6の自由需要を摘み取るのに、地理的に極めて良い位置にある。

中国業界の将来のもう一つの良い点は、エアライン業界がこの危機から立ち上がるのに、他の殆どの国のエアラインと違って、大きな負債を抱えないだろうと言う事だ。

同国の国際線市場は、アウトバウンドが主流であり(或は、これまではそうだった)、これは中国のエアラインがこれらの需要を輸送するのに遥かにより良い位置に居る事を意味して居る。

また、協力的な政府がある(他と同様に)が、中国の政府は取り分け協力的である。

その運航会社は他の国際線エアラインに比べ、コストが低い。そして概して「我々は前進し、国際線を拡大しなくてはならない。」と言う姿勢がある。

2020年~2030年の予想需要の流れ(2020年11月11日CAPA Liveにて提示)

 →CAPA分析記事のページのvimeo動画を参照

Source: CAPA - Centre for Aviation

対照的に、他のエアラインは殆どの場合、国際線便に伴う大きなリスクを取る事に、取り分け、収入がそれほど高くならない所では、遥かにより保守的である。確かに、減少したビジネス旅行と複数市場の再開の複雑さと言う複合的な運航への障害があって、主要な基幹路線を再構築するためには、何らかの形での政府の直接支援に現実的な可能性がある。

これらの理由から、中国の国際線市場は、回復した北大西洋市場(現在は死にかけて居る)を2024年までに追い抜き、2030年までに、RPKで自国の国内線のライバルにさえなると見て居る。

今や、厳しい現実を受け容れる時だ。テロの脅威と同様に、ウイルスと共に生きることを学ばねばならないだろう

そこで、結論として、この再調整、焦点の合わせ直し、そしてリストラの中で、我々は、2021年に近ずく中で、新たな成長へのプラットフォームについて、幾つかの深刻な事実を理解しなくてはならない。

      このウイルスは、「奇跡の様に」消え去る事はない。          多くの人々は、この事を実際には受け入れて居ない:この新しい、そして強制されたシナリオに、全く新たな姿勢で、順応し直す事がまさに必要である。将来は現状維持は実現可能でなくなるだろう。殆どのこれまでの計画が基本に考えた様に、ウイルスは2020年はおろか、2021年にも無くならないだろう。

      結果として、我々は、かなり小さく、そして競争力の弱くなった、そして生き残った者たちは重い債務を抱えた、そして各国政府はより煩く口出しする様になった、エアライン業界に直面する事になるだろう。顧客の大部分は、依然として、国際線を飛ぶ事に、一定水準の懸念を持ち続けて居るだろう。

      今後数年、若し利益を上げるエアラインがあれば、最初の「鬱積した需要」がひとしきり終わった後に、価格感受性の高い市場(ビジネスもレジャーも)がやって来て、景気後退の状況は2022年まで長引くだろうから、彼らの主たる特徴は低コストの基盤だろう。

私が今日、スタートした地点に戻ると、IATAは2021年の世界中のエアラインの収入プールの規模は2019年のそれの、凡そ半分と計算した。各国政府やどこかのエアラインが、戦略的な見通しにそれを考慮に入れるとするなら、その事実は未だ明白なものでは無い。もう一つのとても大きな靴が落ちて来る筈だ(訳注=まだまだ事は完了して居ない)。

2019年水準の活動は、まだ、数カ月ではなく、数年先の事だろう。それは、特にもし状況がありのままに認識されなければ、岩だらけの険しい道だろう。

ワクチンが、国際線の全面再開を実現させるとしても、非常に遅々としたものだろう

国際線の航空便の回復への途は、ワクチンによって急に解決されることは無いだろう。

それは国家のレベルで、航空業界にとって重要な打開策ではある。

国際線では、異なる。これまで見て来た様に、各国政府は国境を開放する事に今後もとても慎重だろうし、必要となれば直ぐにもまた閉鎖するだろう。

(そして注釈ではあるが、今回はもっとずっと速い事が期待できそうだが、ポリオ絶滅までにワクチン開発から20年間かかって居る。)

ワクチンの流通でさえ、大きなロジスティクス、政治そして経済的ハードルがあり(今日のCAPA Liveの他の場所でも話されて居る様に)、世界的に流通するまでには少なくとも、2年間はかかるだろう。

今や、これを非常に、非常に早く手に入れるポケットがあるだろう。確かに殆どの先進国がそれである。この事が、その国内線市場の再拡大を加速させる。確かに、大きな国内線市場を持つ国々に対して、ワクチンは大きな追い風を送るだろう。

然し、それでもまだ、誰もが皆ワクチンを接種されない限り、国際線市場を開放することは難しい。そして、数十億の人々がワクチン接種を受けられるまで、国境の状況は、引き続き不確実で、最も有りそうな事に、バラバラだろう。

国際協力は、どんなワクチンよりも大切だ

一方で、この過程で、ユニバーサル・テスティング、追跡、標準の共有、そして多国間の協力が、極めて肝要になるだろう。それらが、国境の再開には最重要な基盤となるだろう。この基盤は、未だに築かれて居ないどころか、デザインもされて居ない。

国際協力が鍵となる。そして、今の所、我々はその例を充分に見て居ない。

これが我々の現状である。多分、これが、2030年代を通して成長するための新たな基盤がどこにあるか、予測する新しいアイディアを展開するだろう。

もし我々の評価が悲観的だと思われたら、私は、これがより現実的なのだと言いたい。

問題の診断をせずに、解決の鍵を見つけ得る見込みは無い。

盲目的に2019年の現状を回復しようと試みる事は、泣きを見るだけだろう。

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