CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
Premium Analysis
アジア太平洋の長距離LCC:シティリンク、最新の運航会社に
24-Aug-2019
2019年第4四半期、シティリンクは、2機のA330-900neoを受領し、広胴機を運航する12番目のアジア太平洋のLCCとなる予定だ。このガルーダインドネシアの子会社は、ジャカルタからフランクフルトへの便を開設し、東南アジア=欧州間市場に就航する僅か4番目のLCCとなる計画である。
現在80機以上の広胴機がアジア太平洋のLCCにより運航されて居るが、9時間を超える長距離路線に使用して居るのは僅かに少数である。殆ど全てのアジアのLCCの広胴機保有機群は、アジア太平洋域内の4時間から9時間の中距離路線に使われて居る。
アジア太平洋のLCCが、より多くの長距離便を開設する事は避けられないだろう。然し、基本的には、将来的には広胴機と同様に、新世代狭胴機でも運航可能な、6から8時間の路線など、アジア太平洋域内の近・中距離路線に依然焦点は置かれるだろう。
アジアのLCCにこれらの市場でのニッチな商機はあるとしても、欧州と北米は、フルサービスエアラインからの激しい競争があり、依然として比較的魅力的でない状況は続くだろう。
Long haul LCCs, Asia Pacific: Citilink becomes newest operator
Premium Analysis
中欧=米国間の航空事情:アメリカン航空、リーダーLOTポーランド航空の後を追う
24-Aug-2019
2019年8月8日、アメリカン航空は、2020年の夏、シカゴから中欧の目的地に3つの新路線を開設すると発表した。226席の787−8機材で運航し、新路線は2020年5月から10月の間にクラカウとプラハに週5便、ブダペストには週4便を飛ばす。
これで、OAGデータで2019年8月12日の週を見ると、米国と中欧(トルコ、ギリシャ、キプロスとCISを除く)間の路線で、今夏は85便しか無かった市場に週14便が追加される。
現在では、この市場で運航して居るのは5社しかない。供給席数で見ると、LOTポーランド航空が市場のリーダーで、他にはエアセルビアが唯一欧州側に本拠を持つ運航会社である。
米国側では、2019年6月、ユナイテッドがニューヨーク/ニューアーク=プラハ線に参入して以来、デルタ、アメリカンとユナイテッドの3社全てが現在就航して居る。デルタは最古参だが、2018年夏の参入以来、アメリカンが最も積極的に拡大して居る。
2020年夏のアメリカンによる3つの新路線は、新規エアラインの追加という訳では無いが、若し他社の供給が全く変わらないとすれば、米国=中欧間市場に15%の供給を追加する事になる。
Central Europe-US aviation: American Airlines chases leader LOT Polish
サウスウエスト航空のハワイ路線:供給も競争も依然拡大中
23-Aug-2019
2019年3月、サウスウエスト航空は、期待の高い、そして長い間待望されたハワイ市場への参入を果たしたのだが、ハワイへの拡大はボーイング737MAXの運航停止で削減されてしまった。
予定より小規模のハワイ諸島への便の開設にも関わらず、サウスウエストの参入は、追加される供給が運賃を圧迫し続けることから、依然として市場に逆風を巻き起こして居る。現在、サウスウエストは、ハワイへの更なる便の追加に進もうと計画して居り、これは既存運航会社には市場に追加される供給からの圧力を感じ続ける事を意味する。
ハワイアン航空はサウスウエストの大陸からハワイへの、そして諸島間市場への拡大の矢面に立たされて居る。そしてこの圧力は予想できる将来には、弱まる兆しは見えない。
Southwest Airlines in Hawaii: capacity, competition still growing
Premium Analysis
空港の労働組合、通常エアラインとATCの組織化が欠ける
「組合の一部」、それは「私は組合の一部だから捕まえられないぞ」と言うリフレインで有名な1970年代の(英国のストローブというバンドの)歌だ。
英国での厳しい産業改革の最中に書かれ、実際には皮肉な非難なのだが、労働組合に好意的な意味合いに解釈された。当時のエアラインと航空管制部門の労働組合が主導するストライキはその程度の水準だったので、この歌が現代の代表的な歌として蘇って来ないのは驚きである。
然し、空港部門はどうだろう?労働争議についてエアラインとATCに比べたらどうなのだろう?
複数の組合による、多くの異なる役割があり、そこには交渉力や必要な時にストライキという行動がうまく調整されないと言う、かなりの組織化の欠如がある様だ。
然し、異なる組合が共闘することを決意し、組合員に職場を放棄させれば、旅行者に与える影響は、パイロットや客室乗務員そして航空管制官が行動を起こすのと、どの点から見ても問題となる事に変わりは無い。
空港の労組は、特に、コンセッション契約に困惑して居るが、彼らは時に、あり得ない戦法を採って来る。
Premium Analysis
フィンエアのSWOT分析:北東アジアへの焦点、長距離路線のプロフィールを拡大
21-Aug-2019
フィンエアは2019年夏の始めにヘルシンキ=ロサンゼルス線を開設し、この冬、広州が通年の目的地になる時に、北京首都線に北京大興空港を加える予定である。同社は、また2020年夏に韓国の釜山に便を開設する計画だ。
これらの路線を追加することは、同社の長距離路線網についての焦点は、そこと欧州を同社のヘルシンキハブ経由で結ぶ乗継戦略の上に築き上げ、依然北東アジアにある事を強調して居る。それに加えて、同社の米国路線網は、基礎が小さい数字だが、伸びて居て、これが同社の東西乗継の流れに追加的な勢いを与えようとして居る。
フィンエアの拡大基調は、同社の主要市場に動きの鈍化があると認めた中で起こって来て居る。同社の2019年上半期の決算報告書は、2019年度の営業利益率は、収入の伸びが供給の伸びより鈍い事から、目標値の6.0%を下回りそうである事を示して居る。
今回のレポートはフィンエアの強味(strength)、弱味(weakness)、好機(opportunities)、そして脅威(threats)について考える。
Premium Analysis
英国ーロシア間航空事情:ウイズエア、供給不足の市場に参入
20-Aug-2019
英国=ロシア間市場は、両国の各々の市場価値の重要度に対するその規模から判断すると、大きく未達成の状態である。
現在、飛んで居るのはアエロフロートと英国航空の2社だけで、欧州最大国家の両国の間で、僅か4つの空港組合わせと、2つの都市組合わせ(ロンドン=モスクワ、ロンドン=サンクトペテルブルク)で、週間便数は70便に過ぎない。
この供給不足の市場は、新規参入組の関心を集めて居りる。
超LCCのウイズエアは、2019年10月1日に、英国からロシアへ2つの新路線を開設する計画で、ウイズエアの英国子会社の運航するロンドン/ルートン空港から、モスクワ/ブヌコボとサンクトペテルブルクの便である。2019年10月27日には、ウラル航空が、ロンドン/スタンステッドから、モスクワ/ジューコフスキー線を開設する予定だ。
それでも、この冬季、英国=ロシア間には計6つの空港組合わせと言うのは依然として、ささやかな数字で、週間供給席数は、かつて2014年の水準に戻るに過ぎない。それ以来、イージージェットは、赤字続きのこの市場につぎ込んだ3年間の馬鹿騒ぎを放棄して居えい、アエロフロートのLCC子会社ポベーダは、就航したもののたった1冬のシーズンで去って居る。英国=ロシアは、長い事、新規参入組には難しい市場と見られて来た。
中東欧のエアラインの英国子会社である、ウイズエアUK、がそれを変えるかも知れない。
Premium Analysis
スピリット航空のSWOT分析:短期的な不調が強固な基盤に影を落とす
20-Aug-2019
スピリット航空は米州で最大の超LCCで、常に良い意味とは限らないが、このビジネスモデルを有名にした功労者として大きく貢献して居る。
スピリット航空と超LCCモデルの両方がある程度の成熟度に近付くに連れ、このエアラインは内部では自分の事を超低コストエアラインではなく、むしろ「高い価値の提供者」と考えて居る様だ。
スピリットの長期的な基盤は堅固なままなのだが、同社は短期的なコスト圧力と、夏季繁忙期に向かって行った種々の変更が、改善しつつある事業実績に影を落とし、それを修正する段階で課題に直面して居る。
今回レポートはスピリットの強味(strength)、弱味(weakness)、好機(opportunities)、そして脅威(threats)について考える。
Spirit Airlines SWOT: short term hiccups cloud solid fundamentals
Premium Analysis
アルゼンチンのLCC各社、保護主義への方針修正が脅威?
19-Aug-2019
アルゼンチンに於けるLCCの拡大は、低コスト運航社が2019年7月までの7か月間、この国の国内線便の31%近くを占め、フルスピードで驀進を続けて居る。
然し、現職の大統領マウリジオ・マクリが再選される可能性がますます小さくなる間に、アルゼンチンの低コスト運航会社の将来については、不確実性が大きくなりつつある。マクリ氏の政府は低コスト運航会社にとってアルゼンチンで存在感を確立する好機を生み出した、規制緩和政策を進めて来た責任者である。
クリスティーナ・キルチネルの支援する候補者が、次の大統領選を制しそうな様子で、アルゼンチンのペソは一週間でその価値を20%近くも落として居る。アルゼンチン国内で政治的な風向きが変遷する中にあっても、この国の新規起業の低コストエアラインは、未だ拡大モードであり、国内の需要刺激の好機をつかもうと動いて居る。
セブパシフィック航空:大型化が混雑空港マニラで40%の拡大を牽引
16-Aug-2019
セブパシフィックは、31機のエアバス航空機の追加をコミットしたのに次いで、大型化戦略を加速する中で、向こう5年間で、マニラでの供給を40%以上伸ばそうとして居る。このフィリピン最大のエアライングループは、混雑の影響から発着枠に制限のあるマニラに便を増やせるとは期待して居ないが、出発便あたりの平均供給席数は、現在の195席から、平均280席近くに増やせる筈だ。
セブパシフィックにとって、高密度化を拡大する事は、同社の主要ハブでの貴重な発着枠を最大限活用する一方で、価格に敏感な市場に於いて非常に低い運賃の維持を可能にしてくれる、コスト削減に結びつける妥当な戦略である。次の数年間で、セブパシフィックは、マニラでのターボプロップの運航を
向こう数年間の内にセブパシフィックはマニラでのターボプロップの運航をやめ、広胴機保有機群の規模を倍に増やし、マニラ基地の狭胴機の殆どの便をA320からA321に移行する。
セブパシフィックはA330-900向けの新たな460席の高密度客室仕様の最初の顧客であり、2021年~2024年の間にその新型機を16機、受領する予定である。同社はまた、A320neoの新しい194席の客室仕様の最初の顧客で、2020年にはA321neoの240席の最大客室仕様で受領を開始する計画である。
同エアライングループの全体の座席供給量は、プラット&ホイットニーのエンジン問題で遅れてしまった、新世代航空機の納入を待って居た為に、過去3年半の間、僅かな伸びしかなかった。セブパシフィックは、2019年下期には、2桁の供給伸び率を取り戻し、2020年から2024年の間、年間10%から11%の座席供給伸び率を予測して居る。
Cebu Pacific Air: upgauging drives 40% growth at congested Manila
エアマルタの黒字転換計画:保有機群刷新と路線網の統合
16-Aug-2019
エアマルタは、2019年8月に、A320neoを2機導入して、保有機群の刷新を加速しようとして居る。この政府所有のフラッグキャリア-は2018年に最初のA320neoを入手し、向こう数年間で、8機のA320ceo系列機が退役する中で、全てA320neoの保有機群に移行する計画である。
A320neoはコストで17%の削減をし、全機がwifiを備えて居り、エアマルタのサービス商品の改良を可能にする。同エアラインはまた、可変型のビジネスクラス客室と中間席のブロックを続けて居るけれど、最近、改善したビジネスクラスサービスを導入した。
エアマルタは2018年3月までの会計年度に、ほぼ20年間の損失計上の後、初めての利益を出し、CAPAの2018年エアライン今年の黒字転換賞を受賞して居る。同社は2019年3月期には赤字に戻ってしまったが、保有機群の刷新が継続可能な収益性を引っ張ってくれる事を願って居る。
新規の目的地よりむしろ、既存路線の拡大に絞った、新たな路線網の統合も、収益性の改善を助ける筈だ。エアマルタは、2018年に、驚異的な28路線を開設したが、LCC殿「競争も激化し、収益性に悪影響を与える事になった。
Air Malta turnaround attempt: fleet renewal and network consolidation
世界の経済に何が起こっているのか?そして航空界はどこに向かうのか?
15-Aug-2019
2019年8月14日の債券の利率の逆転曲線が米国と英国で発生する中で、ウオール街は急速に南へ向かった。その他の国は既に少し前からこの逆転現象を経験して居たのだ。そして世界第4位の規模の経済を持つドイツで、2019年第2四半期はGDP伸び率がマイナスとなるに至った。
これは景気後退がやって来る事を意味するのか?或はもっと緊急な事態なのだろうか?
航空貨物の数量は一年近く、ずっと、確実に落ちて居る。それは、これまで世界の経済がどこに向かって居るのかを示す良い前触れの指標だったのだが、近年はそうでも無い。旅客需要の伸びも、昨年明らかに鈍化して居る。
世界の貿易摩擦は、不確実性を生み出し、航空界は、その中に捕まってしまった。
果たして我々はトラブルに遭遇しようとして居るのだろうか?もしそうなら、いつ?
What’s going on in the world economy? And where is aviation heading?
Premium Analysis
エアラインのストライキ:収益性との相関関係は?CAPAの研究
15-Aug-2019
CAPAは過去10年に亘り、自社のウエブサイト上で「ストライキ」という言葉を述べる多くのニュース記事を追跡してきた。CAPAは年間およそ12万の世界のニュース、そして720万語の30以上の言語から翻訳された、毎日のレポートを作り出して居ることから、統計はかなり全体を表して居る。
この「ストライキ」の指標は、大まかに言ってエアラインの過去の収益性サイクルに従って居るが、労働側は通常、収益性サイクルが頂点にある時にはより要求が多くなるので、これは驚くべきことでは無い。
最近は欧州のエアラインとの関連の中で、ある注意すべき「ストライキ」という言葉の記述があった。SASは2019年4月と5月にパイロットのストがあり、英国航空、ユーロウイングズ、イージージェットそしてライアンエアは、この夏、ストライキという脅しに結び付けられるエアラインの仲間入りをして居る。今年は、欧州の空港、ATC組織でもストがあった。
然し、2016年をピークに年間のスト関連記事は下降の途を辿って居る。また世界のエアライン産業の年間営業利益率も同様である。2019年上期には、その数は1/3を超えて落ちて居る。もしこの減少の率が通年で続くとすると、2019年は2009年以来、この種の記事の数が最も少ない年になりそうだ。
労働争議の数が減るのは歓迎すべきことだが、もしそれがエアラインの収益性サイクルの更なる下降の印であるなら、それほど歓迎できない。
欧州のエアラインの労使関係:複数組合は課題
15-Aug-2019
欧州エアライン経営者の課題の一つは、間違いなく、北米と比べ、例えば労働組合が複数あることだ。
これが、労働法の細切れの状態と相まって、2カ国以上を運航するエアラインにとって、労使交渉を非常に複雑にする可能性がある。また、これが、エアライン経営者に対し、コストが最も低く、労働慣行が最も柔軟な労働者の市場を探る好機をもたらすことにもなる。
然し、欧州中のパイロットや民間航空労の働者を代表する組合は一緒になって、「どん底に向かう競争」と名付けて、そんな動きとは、逆行する傾向にある。
世界中のパイロットの供給が厳しくなって居る事で、ライアンエアが、複数組合に対して団体交渉に応じた事に示される様に、パイロットの交渉力は増大した。そんな中で、フランスの産業労使関係の文化を反映して、歴史的にエアフランスでは、パイロットの力は、常に強かった。
欧州のエアラインでは、使用者と労働者との間の関係の性格は、絶え間なく変わって居る。それでも、殊に安全性の様な彼らの長期にわたる利害については、歩調を合わせる様だ。
European airline labour relations: multiple unions are a challenge
日本の北九州空港:民営化、改善がやって来る
14-Aug-2019
日本の北九州空港は、政府の調査によれば民営化に適して居るとされて来た。同空港は日本の中では最も韓国に近く(わずか200kmの距離)、より多くの低コスト国際線旅行が、この北九州の様な新たな玄関口を通じて展開されるべきだという意図である。
北九州は、日本で民営化された、或はこれからされる多くの空港の末端の方にあるが、最小という訳ではない。同空港は日本で合計5つある浮体構造の(海上の)空港の一つで、年365日/週7日/一日24時間の運用をしている日本では数少ない空港の一つである。
県庁では、貨物機を含む長距離国際線の便に必要な、より大きな機材が乗り入れられる様、北九州空港の滑走路を2500mから3000mに延伸するための資金を確保するよう提案して居る。
北九州における旅客需要は、2016年以来、着実に向上し、2019年は全国の旅客の伸びの傾向値を5.3ポイントも上回って居る。空港での座席供給のうち、17.5%は低コストエアラインである。空港は建設以来ずっとLCCに的を絞って来て居り、この国全体での供給席数比率もLCCに好意的に変化して来た。
Japan’s Kitakyushu Airport: privatisation, improvements coming
Premium Analysis
ボストン ローガン空港:デルタ、ジェットブルー、出発便毎日200便に近づく
13-Aug-2019
デルタ航空はこの数年、ボストンに於いての同社の野心を隠すことも無かった。このエアラインは、まずボストンを焦点都市とし、そして同社の乗継需要が、この空港で伸び続けて居る事から、今度はハブとする事を公表して市場に自らの存在感を築く事に努めて来た。
現在、デルタは、向こう数年間でボストンでの事業を毎日200出発便に近づく事が理想的と考え、この空港を同社全体の中でも最高の稼ぎ頭の一つにしようと考えて居る。
供給量で、ボストン最大のエアラインであるジェットブルーもまた、同空港から毎日200出発便に到達しようと努めて居り、デルタのボストンでの積み上げが、同空港に於けるジェットブルーの地位にどの様な影響を与えるかが見えるのは、まだこれからだろう。
現在のところ、デルタは、公に市場占有率でボストンのトップエアラインになる必要は無いと明言して居る;その代わり、市場で最も収益を上げる事が最重要であると考えて居る。
Boston Logan airport: Delta, JetBlue approach 200 daily departures
Premium Analysis
大西洋横断の航空事情:依然不安定、夏場に盛り返した後で
13-Aug-2019
米国の3大グローバルエアラインは2019年第2四半期に、大西洋横断路線の業績で、連続的に儲けを出したが、この実績は、主に2019年6月に夏場のピークの開始を記録した、米国の店頭需要がけん引したものである。
アメリカン、デルタ、そしてユナイテッドの大西洋横断地域の2019年残りの期間の見通しは幾らか陰って居る;然し、アメリカンは2019年第4四半期に市場の供給の合理化をすると言及して居り、これは冬場に向けてエコノミークラスの実収単価に良い兆候となる筈である。
勿論、英国のEUから離脱する最終的青写真が現実のものとなるまで、BREXITが依然ワイルドカードであり続ける。然し、今のところ、米国のエアラインは、世界最大の旅行市場における需要に、いかなる変化も見出して居ないのだ。
Trans Atlantic aviation: still instability after summer rebound
Premium Analysis
CAPAエアライン収益見通し:下降して軟着陸へ
CAPAの世界エアライン業界エアライン営業利益率モデルの7月29日付のアップデートは、2019年と2020年への営業利益率予想を下げる。業界は、2016年の利益率のピーク時から循環的下降を続けて居ると言う見方を繰り返して居る。
今回のレポートは、CAPAのこのモデルの6か月間アップデートとしては、以前の4回のアップデートに続いて、連続3回目の利益率下降予想となる。
これはいつも、マクロ経済学と地政学的警告に晒されるもではあるのだが、原油価格の予想は、2014年~2018年期間に比べて、安定して来た様だ。これは供給と需要のバランスがエアライン利益率の要となる牽引車である。
世界の経済的成長を鈍化させ、旅客需要(及び貨物の輸送量の減少を加え)が軟化する事は、需要の伸びが減衰する事を示して居る。供給はCAPAモデルでは保有機群の拡大で示され、現状では737MAXの運航停止問題で、より複雑化して居る。保有機群の拡大の現在の傾向は、需要の伸び程には急速でないけれど、上向きの模様だ。
エアラインの収益性についての、弱めの見通しにも拘らず、営業利益率は以前の循環的ピーク時の水準、6%の発注、よりほんの少し低い状態が続き、2019年に比べ2020年は穏やかに伸びると予想されて居る。
然し、マクロ経済学的及び地政学的なリスクが、より急速な下降を突然引き起こす可能性がある。
アジア太平洋のエアラインと労働組合:ストライキは他地域に比べて稀
アジア地区では他に比べ、エアラインのストは概して一般的ではない。然し、エアラインと労働組合の関係は、しばしば、アジアではとげとげしいもので、幾つかのアジアの国ではストは比較的に頻繁である。
台湾では、最近のエヴァ航空での客室乗務員のストは17日間続き、会社には1億米ドル近いコストがかかって居る。このストは、エヴァが桃園客室乗務員組合(TFAU)と合意に達したため、2019年7月6日に終わった。
エヴァはこのストで、2019年6月20日から7月7日までの間に、681便のキャンセルを余儀なくされた。同社は通常週間およそ1200便を運航して居る。
AsiaPac airlines and unions: strikes rarer than other regionss
Premium Analysis
日本北海道の空港民営化、結論に近づく
08-Aug-2019
日本の空港民営化は、離陸するまでに何年も時間がかかったが、今や結論が出たので、毎月の様に、新たな取引や既存のものが成功した例の報告がある。
北の島である北海道の7つの空港(その内、実質的意味のあるのはただ一つ)に於けるコンセッション引き受け組織を探す国交省の危うい挑戦の思惑は、当初提案された時には、困難な企てと見られたのだが、多くの応札者を集める結果になった。
今や、一つのコンソーシャムが優先交渉権を持つものとして選ばれ、全空港に於いてコンセッション引き受け者が配置される事で、取引は、2年の期間内に完了する可能性がある。
一方で、空港民営化の経験を持つ企業とその他未経験の企業で構成された、もう一つのコンソーシャムが、モンゴルの首都ウランバートルでの新空港の運営、開発の商談を成立させて居る。
これは、つい最近まで如何なる空港ビジネスにも縁の無かった日本の企業にとって、国内の市場、そしてアジアの外国市場の両方とも恰好の標的である事を示唆して居る。
Premium Analysis
英国航空界の競争力:IATAの課題に対応する必要あり
08-Aug-2019
2019年7月、IATAは英国に於ける航空輸送の規制制度の競争力に関するレポートを発表した。
旅客の利便性、貨物の利便性、サプライチェーン競争力、インフラ、そして規制制度の環境で英国を評価し、IATAは英国が欧州の平均と同一線上にあるとの結論に至った。
然しながら、IATAは英国の航空業界の競争力に3つの主要な課題を見出して居る:滑走路の低い許容量;高額な旅客税と空港使用料;そして難度の高いビザ発給要件、非効率な入出国手続き。IATAはこれら全ての対策に取り組むよう、常識的な忠告を行って居る。
英国は欧州の最大の航空市場なのだが、CAPAの分析では、その拡大は鈍化しつつある。欧州のトップ20の航空市場の拡大のペースに英国がついていけない事は、少なくともこれらの課題に対策を講じ得ない事が問題の一部なのである。
英国の新たな首相ボリス・ジョンソンはEUを去り、ヒースロー空港拡張に反対するキャンペーン(後者は一部環境問題の観点から)で主要な発言者の一人であった。
この事はIATAの3つの課題に対応せよという忠告は、ジョンソン氏のポピュリストとしての「やる事リスト」の最重要事項では無い事を示唆して居る。
UK aviation competitiveness: need to address IATA's challenges
Premium Analysis
デルタ、アメリカン、ユナイテッド航空、ラテンアメリカの事業が改善
08-Aug-2019
2019年第2四半期、ラテンアメリカは、米国3大グローバルネットワークエアラインにとって最善の業績を上げた地域だった。メキシコとブラジルは対前年比の収入の強固な伸びを見せ傑出した地域になった。
アメリカン、デルタ、そしてユナイテッドはまた、2019年第3四半期のラテンアメリカの部門での強い見通しを維持して居り、これはこの地域での通年の業績の良い兆候である。
これはこれらの運航会社にとって、大部分この地域に於いて供給を削減した事で導かれた業績好転である。ブラジルとメキシコの経済の状況が依然停滞気味なため、この合理化は、まだ続きそうだ。
Delta, American, United Air improve Latin America performance
Premium Analysis
米国-カナダ国境超え:主要エアラインが投資、彼らの計画が見えて来る中で
06-Aug-2019
カナダ=米国間市場は、世界の航空業界の中でも成熟度の高いものの一つなのだが、ウエストジェットとデルタが、今や独禁法適用除外の共同事業を確固たるものへと近付き、またエアカナダとウエストジェットがそれぞれのより低コストな子会社を使って、幾つかの米国レジャー市場に、より良いサービスを提供するなど、変化が生じて居る。
米国の市場は、カナダの2大エアラインの路線網の中では重要な役割を担って居る。
2018年の間、エアカナダは、同社のハブを通過する、第6の自由乗継旅客数を対前年同期比で15%拡大したと計算して居り、同社は幾つかのハブ空港に於いて乗継の手続きを簡素化するように努めて居る。エアカナダはまた、同社の低コスト子会社ルージュの運航する主要路線の便で、米国レジャー路線の商機に投資しようとして居る。
2018年の終わりに、ウエストジェットとデルタは国境越え市場に於ける自らの存在感を20%上昇させ、米国とカナダ間で6つの新市場を追加すると宣言した。この2つのエアラインは、最近カナダの管理当局から、両社の提案する国境超え共同事業の承認を得た;両社は依然として米国当局からの同意を待って居る。
市場の進化が続く中で、市場はエアカナダとユナイテッドがウエストジェットとデルタの共同事業に対して、彼ら自身同様の提携関係で応えるのかどうかを、また超低コストエアラインが国境超え戦略を上手に遂行できるのか否かに注目する事になるだろう。
US-Canada transborder: key airlines capitalise as their plans unfold
Premium Analysis
米国3大エアライン:企業渡航需要が持ちこたえる、産業界の停滞に関わらず
02-Aug-2019
米国の産業部門の弱含みな状況に関わらず、この国の3大グローバルネットワークエアラインは、2019年第3四半期の企業渡航の需要について可なり積極的な予測を立てて居る。
彼らの結論は、2019年第2四半期にアメリカン、デルタとユナイテッドの企業からの収入の伸びが、堅実だった実績に従って居る;然し、2019年第1四半期から、産業界の特定な指標で、連続的な下降が起こって居た。
個人レベルでは、ユナイテッドは、初めての旅行という需要増が見られると言い、デルタは非産業分野の強さが産業界の需要の弱さの逆風を相殺して居ると考えて居るの事。アメリカンは事業運営上の障害に立ち向かい、企業渡航の総量の維持を確かなものにしようと戦って居る。
US Big 3 airlines: Corporate travel holds up despite industrials' lag
ブラジルの航空事情:アビアンカ・ブラジルの発着枠配分を奪い合う
02-Aug-2019
世界中の空港での発着枠配分は、しばしば複雑な手続きであるが、アビアンカブラジルの破綻に伴い同社の発着枠を山分けする手続きは特に迷宮の様である。当初、同社の資産の競売が告示され、LATAM航空グループとGOLが勝者となった後に中止された。
然し、今度はブラジルの政府が競売は無効であると見て居るらしい。これは、競売の手続きに参加するのを拒否したブラジル第3位のエアラインであるアズールの恩恵になり得るのだ。アズールはまた、ソーシャルメディアを使って、ブラジルの全エアラインにとって戦略的に重要なサンパウロ/コンゴーニャス空港の発着枠をも同様のケースだとしようとして居る。
然し、長引く手続きの結果は誰の憶測に対しても、アビアンカブラジルの消滅の後は、ブラジルの国内線市場は、より集中化した状況になると言うものだ。
Brazilian aviation: scramble for Avianca Brazil’s slot allotments
Premium Analysis
春秋航空、中国LCC各社の国際線拡大をリードする 第2部
01-Aug-2019
これは、CAPAの中国LCCの国際線拡大レビューの第2部である。第1部では、中国の比較的小規模なLCC、その殆どはフルサービスエアライングループの完全または部分子会社だが、その国際線拡大について見てきた。
第2部では、中国最初の地元出身LCCである春秋航空の役割に焦点を絞る。
<関連記事参照>春秋航空、中国のLCC各社の国際線拡大をリードする 第1部
独立した春秋航空は、中国で最初で最大の国内LCCだが、既に就航して居る、10地点の東南アジア/北アジア市場への急速な国際線成長を計画して居る。
春秋航空は、また、北アジアから、東南アジア奥深く、或は南アジアや、豪州への新路線開設の為に、A321neoXLRの購入も検討して居る
Spring Airlines leads Chinese LCCs' international expansion Part 2
ベオグラード空港:勝者ヴァンシ・エアポーツ、障害を越えて前進
ウイーン、ブダペスト、やプラハの様な、大規模な主要空港は東欧や東南欧州の主要玄関口と考えられて居るが、ベオグラード/ニコラテスラ空港は、数年前の利用旅客数が大きく伸びた事で初めてその地域で感じられる存在感を示して来た。
セルビア政府は、空港を民営化する事を決定し、入札競争で、2019年2月にヴァンシが、フルクハーフェン・チューリッヒ/エファージュ/メリディアム、GMRインフラストラクチャー/テルナ、そして仁川国際空港コーポレーション/ヤティリムラリベイスウラトゥメ/VTBキャピタルインフラストラクチャーなどの各コンソーシャムを破って、コンセッションを獲得した。
運営のコンセッションは今年発効する。今や、ヴァンシがとても大きく高価なインフラ改善をする約束をして居り、EBRDローンで一部支援はあるものの、ヴァンシのCEOはBEGが将来東南欧州のハブになると言う、野心的な話をして居る。
ヴァンシエアポーツ社長のニコラス・ノーテベルトによれば、運営者は、コンセッション契約期間中に空港の改良に7億3,000万ユーロを投資して、収容能力を年間1,500万人まで増やす計画である。
2015年にCAPAはレポートの中で、ベオグラード空港の潜在能力を見極めて、「この空港は中央そして東南欧州のハブの体制に挑んで居る」と示唆して居る。このレポートは現実の結果に比べれば、若干バラ色の絵を描いたかも知れない、そしてヴァンシは嘗て想像して居た以上に厳しい仕事を手中に掴んでいるのかも知れない。
Belgrade airport: VINCI Airports the winners, challenges ahead
春秋航空、中国のLCC各社の国際線拡大をリードする 第1部
30-Jul-2019
これは中国のLCC各社が、北及び東南アジアに国際線拡大しようとする現状の2部構成のレポートの第1部である。第2部は特にLCC市場のリーダーである春秋航空について取り扱う。
中国の低コストエアラインは、国際線市場での役割を広げ、より激しく競争しようとして居る。外国のLCC各社は、現在まで、中国の急速に伸びる国際線LCC市場を支配し、現在は中国の国際線LCC供給量の75%近くを占めて居る。
エアアジア/エアアジアXが28%の占有率で市場のリーダーである。
中国のLCC8社が、現在、国際線便を運航して居るが、そのうち5社は国際線目的地は3地点未満である。春秋航空は、大きな差を以て市場リーダーであり、今や国際線市場で、1/4以上の供給席数を(そして1/3以上のASKを)有して居る(レポート第2部参照)。
春秋航空が独立した存在なのに対して、殆どの中国のLCCは航空機発注台帳と戦略的な熱望を持ったフルサービスエアライングループの一部である。例えば、中国東方は最近、子会社のチャイナユナイテッド航空で、同エアラインの新たなハブとなる間もなく開港する北京大興空港にて、国際線拡大を加速すると述べて居る。
Spring Airlines leads Chinese LCCs' international expansion Part 1
Premium Analysis