CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のトピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
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Premium Analysis
マレーシア・インド間航空座席供給が急増=エアアジア、マリンド、ライオンエアグループが二国間協定を回避して
25-Aug-2017
エアアジアとライオングループはマレーシア=インド間市場で、インドネシアの航空会社として利用可能な第5の自由輸送権を使って、かなりの拡大を目指して居る。マレーシアのエアラインは、現在では二国間航空協定の制限から、インドの大都市には拡大できないのだが、この2つの競合会社は、インドネシアの姉妹エアラインを使って、賢くチャンスを掴んで居る。
エアアジアグループはインドネシアエアアジアXがA330を使って、クアラルンプールからムンバイへの便を再開する事が出来、またA320を使った、インドネシアエアアジアによるクアラルンプール=コルカタ線の追加を計画して居る。ライオンエアグループは、バティックエアを使い、737-900ERによる、クアラルンプール=チェンナイ間市場に便を開設する事が出来た。
エアアジアグループのマレーシア=インド間の供給席数は、マレーシアを本拠地とする、エアアジアとエアアジアXがインドネシアエアアジアとインドネシアエアアジアXの新設便で補完され、20%以上、週間2万席近くに増えて居る。
同時に、ライオンエアグループのマレーシア=インド間供給席数は、マリンドの運航する便をバティックの便で補完するので、30%以上、週間11,000席へと増えて居る。マレーシア=インド間市場で、その他の唯一の競合社であり、矢張り拡大に躍起になって居るマレーシア航空グループは、インドネシアの子会社が無いので、置き去りにされる。
Malaysia-India air capacity surges as AirAsia, Malindo Air/Lion Group circumvent bilateral limits
Premium Analysis
ジェットブルー航空、ボストンの利益率実績を自賛=デルタが市場での競争をかきたてる中で
24-Aug-2017
デルタ航空は、2017年10月に出発便103便で頂点を極め、過去3年間、ボストンでの存在感を築いて来た。同空港から2017年、2018年に10の新市場を加えたことが、デルタの2017年の成長に油を注ぎ、ボストンから同社と提携社の結ぶ目的地を合計46にまで増やした。ボストンは、デルタに、かなり大きな企業の存在感のある大規模だがハブでは無い市場で、企業の存在感を築く力を与え、また大西洋横断共同事業の提携各社の便に送客する様に、長距離路線への需要を育てる事を可能にした。
ボストンで最大のエアラインである、ジェットブルー航空は、デルタの拡大から、同市場で大きく影を薄くして居る様には見えない。ボストンは、このLCCが最も集中した都市であり続け、同社がその2番目に大きな基地から、毎日200便出発と言う目標に突き進む中で、此処での拡大計画も勢いが衰える事なく続いて居る。
ボストンで、デルタがジェットブルーに与える脅威の厳しさの度合いは、依然として不明である。然し、両社はこの市場での商機を活用し、ボストンでの競争を激化させて居る。
JetBlue Airways touts Boston’s margin performance as Delta continues to increase market competition
Premium Analysis
スピリット航空、その戦略への疑問に直面=単位収入が引き続き圧迫される中で
22-Aug-2017
スピリット航空の、2017年第2四半期の単位収入のプラス化は、短命に終わり、お馴染みの敵である供給席数がじわじわと増え、この超LCCの業績としては、2017年第3四半期の数字を悪化させる状況に戻ってしまった。同エアラインの2%から4%減と言う単位収入計画は、全米のエアラインの2017年第3四半期の中では最悪の予測であり、スピリットは、2017年下期の見通しが悪化すると警告して居る。
スピリットの単位収入の弱点の一つは、米国の夏のピーク季に顧客が惧れて予約するのを避ける様に仕向けた、パイロット関係の理由による、便のキャンセルである。これらのフライトキャンセルは、また、スピリットの単位コストを吊り上げ、明らかに市場の懸念を招き、この超LCCの株価に影響して居る。
スピリットは、米国大手エアラインの新たなベーシックエコノミー運賃が、最近取り沙汰されて居る価格設定への圧力の原因であるとは見ておらず、核となる運賃が、大手の割引に負けて居ると考えて居る。
多くの四半期に亘る同社の単位収入の実績、そして、2017年第3四半期には赤字化へ逆戻りしてしまった事から、米国での超LCCのビジネスモデルの有効性が再度問われて居る。スピリットは、自社の市場に於ける立場についての将来計画への疑問が投げかけられて居るのを感じて居る。
Spirit Airlines faces questions about its strategy as unit revenue remains under pressure
フィリピン航空の長距離路線戦略 第1部:保有機群拡大を加速、=そしてロンドン線格上げ
21-Aug-2017
フィリピン航空(PAL)は、無効2年間で、8機の長距離用航空機を受領するに伴い、長距離路線の拡大に向け、新たな局面に乗り出して居る。PALは、長距離用機材群の拡大を使って、今年後半に、ロンドン線でかなりの供給増強を行うために使う予定だが、一方で北米への供給は2018年~2019年の間に、50%近く増加しそうだ。
マニラ=ロンドン線には2017年遅くに納入される、2機の追加777-300ERが割り当てられる。2013年遅くにPALは、777-300ERでロンドン線に就航したが、過去3年間は、ロンドン市場には、より小さなA340-300で運航して居る。
PALはまた、2018年にA350-900を4機、そして2019年上期にA350を2機受領する計画をして居る。向こう2年間で追加される10機の広胴機の殆どは、拡大のために使われるが、2019年にPALは現在、長距離と主には中・近距離路線のミックスで使用して居るA340保有機群を退役させる意向である。
Philippine Airlines' long haul strategy Part 1: accelerated fleet growth and London upgrade
Premium Analysis
キャセイパシフィック、32機のA321neoを発注=域内アジアでの拡大への強い決意から
21-Aug-2017
キャセイパシフィックは、次の拡大のうねりを可能にする、32機のA321neo機材をキャセイドラゴンに発注する事でエアバス社とMOUの調印に至った。これらは、拡大した路線網は、同社がリストラを完了し、コスト水準を下げる事に成功しさえすれば、継続可能であると自信を持って居る。
同機材は、古い航空機(キャセイドラゴンの15機は少なくとも12歳以上である)23機のエアバス狭胴機を更新し、効率性を改善するために必要なのである。
発注は可能性として、本質的な拡大のためになされる。拡大はキャセイが新たな路線網とユニークな都市組み合わせを拡大するために必要なものである。A321は、どこも副次的な都市が成長をけん引して居る、北東中国、日本、東南アジア(特にインドネシア)とインドの一部に届く飛行を可能にする。現行の広胴機による便は、キャセイ流のやり方の要である、便数を維持しつつ、実収単価を改善できるように、狭胴機に小型化する事が可能なのだ。
Cathay Pacific to order 32 A321neo aircraft in strong commitment for regional Asia growth
Premium Analysis
キャセイパシフィック、2017年度上期の損失を見るー「わが社は正しい軌道上にある」=然し、市場は回り道を提案
21-Aug-2017
キャセイパシフィックは、2017年度上期も損失を計上し、同社にとっては、史上初の連続年間赤字に直面して居る。ジョンスローサー会長は、この時期を困難な然し、必要な、より強靭な未来への移行期であるとし、「わが社は、正しい軌道上にある。」と語って居る。
不幸にも、先にスローサー氏の開いた、2017年8月16日の取締役会のために、業績発表が4時間半も遅れた。これは、経営陣はリストラの不快な部分は終わり、これからの変化は、進歩と改善のそして全員のためであると言う自信を植え付けねばならない時に、一般大衆とキャセイの従業員たちの不安を駆り立てる事を意味して居た。
市場が戦略的迂回を提案して居る中で、動揺は増幅される、LCC、中国国際航空との共同事業、中国国際の株式所有、新たな経営陣、これらは、明白には存在しない問題には効果の無い解決策をもたらして居る。最悪の時期は過ぎた様子の今は、もっと大っぴらに息継ぎをする余裕があるべきである。然し、どの位、良くなるのかと言う大きな疑問が残る。旅客の実収単価が軌道に乗り、貨物部門の驚きの回復もあり、2017年下期はより強靭になるはずである。
キャセイの燃油ヘッジの損失はいつになったら収まるのか、社内では2019年に向けたカウントダウンをして居る。スローサー氏は、燃油ヘッジの損失問題を通過してきた事を楽観的になる、根拠として居るのだが、まだ難関はこれからやって来る。
Cathay Pacific looks past 1H2017 loss – 'We are on the right track' – but market proposes detours
Premium Analysis
エミレーツのA380更新策は複雑=777を使って、供給削減、便数増?
20-Aug-2017
A380は96機のA380、即ち全世界のA380の45%を運航するエミレーツのほぼ代名詞である。エミレーツは、更に46機を発注済みで、ほかにANA、カタール、そしてSIAが10機を;後の発注は実現しないかも知れない。あまり思い出されないのが、エミレーツがA380にとって重要であると同様に、このスーパージャンボはエミレーツにとっても深く関わって居る。殆どのエアラインはA380を数機保有し、展示品の様に数少ない便を運航して居る。
エミレーツにとって、A380は馬車馬であり毎日172便が47空港に飛ばして居る。エアバスは、A380neoのアップデートを進めそうになく、エミレーツは、より小さくならざるを得ない機材で、その商品モデルを再構築するのかと言う難しい疑問に直面する:供給カットに耐えるか、便数増か。
747-8も、やはり消えて行こうとして居ることから、次に大きな航空機は777-9で、エミレーツは115機を発注して居る。777-9でA380を1対1で更新する事は、25%の供給カットの可能性を意味する。
もしエミレーツが、例えばロンドン・ヒースロー線の供給を維持したいと思えば、6機のA380を8機の777-9で更新しなければならない事になる。もし追加する便のコストが受け入れられ、人員の手当てもついたとしても、発着枠(ロンドン・ヒースロー)、ハブの混雑(ドバイ)そして乗入れ権(シドニー)が増便を難しくするかも知れない。
Emirates' options on an A380 replacement are complex. Use 777s, cut capacity, grow frequencies?
Premium Analysis
バージン・アトランティック:エアフランス-KLM/デルタの共同事業に加盟、ライバル達に歓迎される=AF-KLMが31%の所有を計画する中で
18-Aug-2017
デルタの主導する北大西洋の2つの共同事業の競合するエアライン幹部達が2つを統合する計画を歓迎して居る。その計画は実質的に、バージン・アトランティックをデルタ、エアフランス-KLMそしてアリタリアのスカイチームを中心とした共同事業に引き入れる事になる(然しバージンはスカイチームには加盟しない)。・
これは、スターとワンワールドのメンバーを中心とする、その他の2つの共同事業に対するこのJVの立場を強くする。にも関わらず、IAGのCEOとルフトハンザのCEOは共に、この動きを肯定的に語って居る。これはこの利益の上がる路線を持つ地域内で、急速に伸びる、より規模の小さな競争相手たちへの懸念を反映したものかも知れない。
このデルタ/バージンのJVが統合合併するのに加えて、一連の資金面での協力関係が計画されて居る。
2017年7月、エアフランス-KLMはバージン・アトランティックの31%をリチャードブランソン卿のバージン・グループからから買い取ると発表した。加えてデルタ(バージン・アトランティックの49%を所有する)と中国東方はエアフランス-KLMに、それぞれが10%を取得すると言う、新たな投資をする予定である。2017年9月4日、エアフランス-KLMの株主たちは承認を求められるだろう。
バージン・アトランティックをエアフランス、KLM、アリタリアそしてデルタの共同事業に引き入れる事は、賢明であり、そして予期されない動きでは無かったが、エアフランス-KLMがバージン・アトランティックを買い進む事は驚きであった。
Virgin Atlantic: entry into Air France-KLM/Delta JV welcomed by rivals as AF-KLM plans 31% stake
ブルースワン・デイリー.com、今週EMEAに新たな鳥が飛び立つ=世界の出来事を毎日読み取る
18-Aug-2017
CAPA-航空センターは、現在CAPA会員以外にもご覧頂けるものに比べ、遥かに大きな規模の世界のヘッドラインニュースと分析を載せた、我らの娘にあたるニュースレターの発信開始を謹んでお知らせしたい。
新たな日刊ニュースは航空に限らず、大きな視野で見た旅行(企業の業務渡航も含め)、観光の分野をも網羅して居る。またこのニュースレターは、親紙の様な深い分析とニュースレポートは無く、より生真面目な親紙に比べ、少々型破りな仕方で報じる予定である。
南太平洋版は既に数か月、南半球を飛び交って居る。今度は、欧州、中東そしてアフリカを網羅する日刊ニュースレターとして入手できる。今後数週間でl白鳥はアメリカとアジアにも羽を広げる予定である。
CAPAは引き続き、CAPAニュースアプリを通じて、保有機群やMROのデータベースから、財務、旅客データ、数千の業界人について、毎日400本を超えるニュースを起草し、会員にお届けする。
*EMEA=Europe, the Middle East and Africa
BlueSwanDaily.com - there's a new bird in EMEA skies this week. A daily look at global events
Premium Analysis
ベトナム航空とバンコク航空、提携で答える=急速なタイ-ベトナム間LCCの拡大に対し
18-Aug-2017
バンコク航空とベトナム航空は、急速に拡大し、競争の激しいタイ=ベトナム間市場で、両社の立場を大きく後押しする、新たなコードシェア提携を計画して居る。両エアラインは、バンコク航空がベトナムでニッチな副次的路線に集中して居り、一方ベトナム航空は核となるハノイ、ホーチミンからのバンコク線だけに便を飛ばして居る事から、理想的な提携関係である。
タイ=ベトナム間市場の供給量はLCCの拡大に牽引されて、昨年来、30%近くも増加し、過去5年間ではほぼ倍増して居る。タイ=ベトナム間市場には5年前にはたった1社だったLCCグループが、現在は5社も就航して居る。タイ=ベトナムは東南アジアの中で、LCCが5社競合して居る、最初にして唯一の国の組合せである。
ベトジェットは特に、タイの子会社を使って、新たなタイ=ベトナム路線を開設し、バンコク以遠の都市へ国内線乗り継ぎを提供し、強力な競合社としてのし上がって来て居る。ライバルであるベトナム航空は、新たなバンコク航空との提携により、旅客に同様の乗り継ぎサービスを提供できると同時に、バンコク航空の、拡大するニッチなタイ=ベトナム間路線網を使った直航商品も提供出来る様になるだろう。
Vietnam Airlines & Bangkok Airways respond to rapid Thailand-Vietnam LCC growth with new partnership
ラテンアメリカの航空業界に投資する=LCCの拡大とデジタル革命の影響
17-Aug-2017
ラテンアメリカの航空業界に対する投資、LCCの拡大、デジタル革命は、2017年9月11日、12日に開催のCAPAラテンアメリカ航空サミットの主要な議題になる。
少なくとも12人のCEOが既に出席を確定し、会議は、2017年ラテンアメリカの航空業界のリーダー達にとって、主要な会合の場になるのは間違いないだろう。殆どの経済が最近の落ち込みから回復し始め、新たな参入者、特にLCCがエアラインの事業を大きく変貌させ始めた現在、この市場にアピールするには恰好のタイミングである。
その他の議題としては、アルゼンチンの航空自由化初期段階の影響、難しいインフラの障害について、この市場への投資について、そして、乗継ぎ可能性などがある。この地域には、経済的後退の暗い日々は、過去に消え去り、プラスの兆しが大きく育って居る。
Investing in Latin America aviation, the expansion of LCCs and the impact of the digital revolution
Premium Analysis
セブパシフィックエア、新世代広胴機の購入延期=北米線開設も
16-Aug-2017
セブパシフィックエアは、新世代広胴機の評価と、北米直航便の開設計画を棚上げにした。フィリピン=北米間市場に於ける競争は昨年来、激化し、このフィリピンのLCCの広胴機保有戦略を再考させる事になった。
また、セブパシフィックは、フィリピン=中東間市場での理不尽な競争により、中東への4路線の内3路線を休止する事にもなった。同社は、主として、8機のA330を使って、近距離路線を運航し、長距離路線の状況が改善する迄、東アジアの4時間未満の路線に集中すると言う現行の広胴機戦略を維持するだろう。
このフィリピンのLCCは、依然として、やがては北米市場に路線を開設しようと考えて居るが、それには、A350か787の様な広胴機が必要である。然し、北米への乗り入れ、そして、新型の広胴機については、短期的にはもはや考慮されることはないだろう。
Cebu Pacific Air delays acquisition of new generation widebody aircraft, and North America flights
Premium Analysis
エアベルリン、破産申請、ルフトハンザが事業の中からつまみ食い=イージージェットも検討
16-Aug-2017
エアベルリンとニキの親会社である、エアベルリンPLCは、ベルリン・シャーロッテンブルグの裁判所に予備的破産手続き申請を届け出た(ニキは含まれず)。ルフトハンザは、ドイツ政府と共に、エアベルリンのリストラを支援し、その事業の一部を引き継ぐ交渉を行なって居ると語った。
ルフトハンザグループは、既にエアベルリンから、エアバス狭胴機のウエットリースをして居り、政府は、管理下に置かれる間、運航を継続出来る様に、エアベルリンに対し1億5千万ユーロのローンを供与する。政府筋から聞こえる雑音からすると、ドイツの2大エアライングループ間のより強い連携については、管理当局の精査が行われることは無さそうである。エティハドは、この破産申請について、2011年遅くに、エアベルリンPLCの資本の29%を投資して以来、「広範な支援」を与えて来た事から、「極めて失望させるものだ。」と語って居る。それはまた、2017年6月にアリタリアが管理下に入った正に直後の事で、エティハドには極めて高価なものとなった。
エアベルリンの長い損失の経歴から、予備的破産申請は、特にエティハドの辛抱と支援資金が、底をつきつつあり、驚く事では無かった。ルフトハンザは、何年もの間、賢く、待ちを決め込み、今や、赤字垂れ流しエアライン全体を買収する事無く、自社に最適な事業の一部をつまみ食い出来る良い立場に着いた。イージージェットも、エアベルリンの資産に興味を持って居ると報じられて居る。ルフトハンザの優先順位としては、まず、ライアンエア排除を維持する事である。ドイツ連邦カルテル事務局とEU委員会は、重大な関心を払っ居る。
Airberlin files for insolvency. Lufthansa to cherry pick from its operation; easyJet also looking
中華航空、欧州ー豪州間カンガルールートを狙う=エバーの北米戦略に対抗して
16-Aug-2017
台湾の中華航空は、欧州=豪州間のカンガルールートの増加する乗継ぎ需要を狙う戦略で、ここ数年の戦略的な展開を統合しようとして居る。この第6の自由需要に照準を合わせる事は、中華航空がバンコク=欧州線を直航化し、商品をかなり改善し、777-300ERとA350を受領する中で、明らかな最終ゴールでは無かった。新たな焦点へ向かわせる原因となったのは、同社がロンドンへの便を復活する事を考え、需要の弱い市場を支える送客力が必要だったことである。
欧州=豪州線に焦点を当てる事で、中華航空は、台湾のライバルであり、民間企業で、北米=東南アジア乗り継ぎ市場に急速な伸びを示す、エバー航空との差別化を図る事が出来る。中華航空は、エバーの北米集中は供給過剰を招くが、欧州=豪州間路線も、まず収益を守る路線にはならない事も重々承知して居る。北米路線の方が長い目で見て安全かも知れない。
中華航空は、ロンドン以外の欧州各都市への乗り継ぎを支えるべく、シドニー線に毎日2便目を追加しようとして居るが、中華航空全体としては、目的地、便数などの品揃えは、貧弱である。市場の認知度にも欠けて居る。中華航空は、確かに増加する需要を取り込めるだろうが、同社は、送客戦略であるべきところに、過剰な増便をすることには注意する必要があるだろう。
China Airlines targets Europe-Australia Kangaroo Route traffic to counter EVA's N America strategy
Premium Analysis
バンコク航空のSWOT 第2部=競争激化、高い単位コスト、空港の制限が課題
バンコク航空が、過去数年、成長、そして収益性向上を出来たことは、東南アジアに、域内フルサービスエアラインの存在する余地がある事を実証して居る。然し、同社は、特にLCCからの競争の激化と言う障害に直面して居る。
バンコク航空は、比較的に高い単位コスト体質だが、このまま実収単価が下落し続けるならば、これを下げる必要がある。また、同社は、寄港するバンコク/スバンナプミ、チェンマイ、プーケットそしてサムイの4空港の全てでインフラの限界に直面して居る。
これは、バンコク航空のSWOT分析2部構成の後半である。第1部では、同社の複数の強みについて見て来た。このエアラインの弱さ、好機そして脅威をこの2部で分析する。
*SWOT=Strengths,Weaknesses,Opportunities,Threats強み、弱み、好機、脅威による分析手法
Bangkok Airways SWOT Pt 2: intensifying competition, high CASK & airport constraints are challenges
ジェットスマート、チリでデビュー=ラテンアメリカでLCCの持久力のテストケース
LCCのスペシャリストであるインディゴパートナーズは、ジェットスマートと言う、チリに本拠地を置く超低コストエアラインを立ち上げる事で、ラテンアメリカにより深く食指を伸ばして居る。ジェットスマートは、ラテンアメリカの経済が回復に向かって落ち着こうとする中で、この地域の商機の刺激策として活用する事を狙う、多くの新規低コストエアラインの一つである。ラテンアメリカの多くの国々で、一人当たりの旅行の頻度は、より成熟した市場のそれに比べまだ低いままで、特にチリは、国の体制が、比較的自由化の進んだ市場の一つであるなど、インディゴが魅力的だと感じたに違いない、独特の性格を持って居る。
ジェットスマートは、ラテンアメリカの最大の航空コングロマリットLATAMエアライングループが、現存の、そしてこれから生まれようとして居るLCC各社に、より効果的に対抗出来る、新たな運賃体系を世に出そうとし始めて居るまさにその最中に具体化しようとして居る。これは、刺激的な価格設定により拡大する旅客需要の応分の分け前を勝ち取ろうとする動きである。LATAMの動きは、LATAMが圧倒的な大手エアラインとして支配するチリの市場で、ジェットスマートが直面する大きな流れを変えるものである。
ジェットスマートが長生きするために肝要なのは、高い税金と、空港コストが特徴であるラテンアメリカの難しい環境の中で、旅客需要を刺激出来るコスト構造を維持する事である。同社の後ろ盾は超低コスト運用への微調整にも熟練した面々であるが、ラテンアメリカには新規起業のLCCが乗り越えなくてはならない独特の障害がいくつも待ち構えて居る。
JetSMART’s debut in Chile offers a test case for LCC staying power in Latin Americ
バンコク航空のSWOT 第1部=提携、路線網そしてサムイ空港所有は大きな力
バンコク航空は、全ての予想を裏切って、益々LCCに支配されつつあるこの地域に、近距離フルサービスエアラインが、まだ存在する余地がある事を実証し、素晴らしい成功物語となった様に見える。同社は、急速に拡大し、東南アジアで、最高の利益率を誇るエアラインの一つになった。
堅実な提携エアラインのリストと、独特の路線網の組み合わせが、バンコク航空にとって、競合他社との差別化を、そして生き残る事を可能にした。人気のリゾート島サムイの空港を始めとする、自ら所有する空港のリストがあるのももう一つの重要な強みである。
このSWOT分析の第1部では、CAPAは、バンコク航空の強みを詳細に検証する。
同社の弱み、好機、そして脅威については、第2部で分析する。
*SWOT=Strengths,Weaknesses,Opportunities,Threats強み、弱み、好機、脅威による分析手法
Bangkok Airways SWOT Part 1: partnerships, network and Samui Airport ownership are big strengths
空港投資:CAPAの空港投資データベーストップ10
CAPA世界空港投資データベース(GAID)の修正作業は漸く完了した。それは800の個別プロフィールを定義づけし、それを大規模世界的投資家、活動的投資家、可能性としての投資家、休眠中の投資家と言う4つのカテゴリーに振り分けて居る。
今回の短い記事は、これらの大規模投資家や空港運用者は、実際にはどの様な人々か、国外での投資の数で計って検証する。これは、彼らの過去の履歴の詳細を追うよりも、将来的に何が彼等を待って居るかを調べてみる。
GAIDに登録されたプロフィールの内、53件は、「大規模世界的投資家」で、少なくとも5つの空港に投資して居る。同率1位は、ユティリコエマージング市場と、チルドレンズ・インベストメント・ファンドである。
最初にCAPAがデータベースを立ち上げた2011年には、リストに登録されたのは250件にもならなかったが、現在では800件を超えて居る。存在する数少ない同種のデータベースと違うのは、一度、プロフィールが登録されると、永久にそこに残る事だ。
Airport investment: the top 10 investors from CAPA's Global Airport Investors Database
中国でのA350/787:エアバスとボーイング、更なる受注=四川航空が最初のA350運航社に
過去15ヶ月間に発注数が伸びたことにより、エアバス社のA350は中国本土のエアラインに対し、ボーイング社の787との格差を縮めつつある。然し、787は依然として2:1近い割合で、A350より売れて居る。即ち、787は就航済、発注済を合わせて136機(他にオプション5機)に対し、A350は71機である。幾つかのこれまで広胴機の経験を持たない小規模エアラインが次世代の広胴機を発注して居るので、実現に至らない可能性も、また、エアラインは合併統合され、発注数が統合される可能性もある。
唯一、中国国際航空、中国東方、中国南方の、全て国営の3社だけが、A350と787の双方を発注して居る。
新しい航空機の初号機は、通常、国営エアライン、しばしば、中国国際に行くことが多いのだが、A350を中国本土で最初に受領するのは、四川航空の様だ。
海南航空との競合となるかも知れないが、A350は四川航空が、北米への直航便を飛ばす事を可能にする。
同時に、中国東方は、A350と787の輻湊する保有機群をどの様に割り振るかを決めようとして居る。
A350/787 in China: Airbus and Boeing book more orders, Sichuan Airlines to be first A350 operator
CAPAエアライン収益展望=利益率は滑り落ちる、コスト削減熱意が陰り=自己規制が必要
07-Aug-2017
「CAPA世界のエアライン産業の営業利益率モデル」、至近の6か月アップデート版によれば、2017年1月のそれに比べ、2018年への予測が上昇して居る。2016年は多分、実績循環のピークだったと思われるが、往々にして直前のピークの後には急速な下降が見られるにも関わらず、現在の見通しは6%と言う前回の利益率を軽々と超えて安定した期間になると見て居る。
エアライン産業の利益率が向上する最も基本的な理由は、より高い供給稼働率である。搭乗率は新たな記録に向かって上昇を続け、日常機材稼働率と、現役として稼働する世界のエアライン保有機数の割合は共に、既に10年近くも改善を続けて居る。これに加えて、2013年以来、燃油価格の低い事が旅客需要と業界全体の利益率を押し上げて居る。
然しながら、エアライン産業は自己満足して居る訳には行かない。IMFは2017年7月にアップデートされた世界経済展望の中で、GDP予測は依然として危機前の平均値を下回り、中期的リスクは悪化の方向へ向かって居ると指摘して居る。CAPAの利益率予測は、2017年1月のアップデート版に比べ、緩和されつつあるが、2017年と2018年には、燃油価格と、保有機数の上昇から、緩慢に後退するというものだ。
CAPA airline profit outlook: margins slipping as cost reduction intensity dims. Discipline needed
ルクセンブンルグ・フィンデル空港=この地域の低コスト代替空港になる
05-Aug-2017
ルクセンブンルグのフィンデル空港は、ベルギー、フランスそしてドイツの国境地帯にある、金融産業と政治を中心とした、小規模だが富裕なコミュニティが利用する空港である。ルックスエアとカーゴラックスと言う、2つが何年もの間主要なエアラインだったが、ライアンエアの様な低コストエアラインの到着で、確実に変化が起きつつある。
ユーロ圏の景気回復で、2016年と2017年の現在まで、旅客も貨物も共に、堅調な成長を見せて居る。他のエアラインにとって、過去の一時期、欧州=北米間の格安エアラインの運航の最先端にあった施設を有効活用するチャンスは明らかに存在する。
今回のレポートは、フィンデル空港を、いくつかの指標の組み合わせで、地元のライバルとなる
空港との比較で、そして建設活動、所有関係を通じて検証する。
Luxembourg Findel Airport - – poised to become a low cost alternative in its region
Premium Analysis
中国-韓国間航空事情:政治に振り回されるエアライン=HNAはアシアナ航空の持ち株買増しを検討
政治的論争が、再び航空界、観光業界を揺れ動かして居る。今回は中国=韓国間と言う、アジア最大の国際線市場である。
韓国の米国軍事兵器の装備を巡った議論の結果、中国は、旅行代理店に、その拡大する出国旅客市場に対して、韓国を売るのを止める様勧奨した。
この意味する所は、中国人観光客が2016年で全来訪客の47%をなす韓国にとって強烈である。中国人観光客は、MERS(中東呼吸器症候群)蔓延の最中の2015年の水準まで落ちてしまった。2017年夏には、直航便の供給席数が29%下落した。アシアナ航空と大韓航空が、韓国=中国間の最大の運航会社だが、同時に、その世界路線網は、かなりの部分、中国に露出して居る。
一度、この問題が、過去のものとなれば、韓国は、中国のHNAグループに、アシアナ航空の所有者であるクンホーに対する、更なる投資を許すのか、決断しなければならないだろう。
China-Korea aviation: airlines impacted by politics; HNA weighs larger Asiana Airlines stake
コロンビアのLCCウインゴ=ラテンアメリカのエアライングループ最初の複数ブランドモデルを試す
03-Aug-2017
パナマを本拠地とするエアライングループ、コパ・ホールディングズは、2016年遅くに開業し、現在17の近距離路線を運航して居るLCCブランドであるウインゴを使って、複数看板のビジネスモデルを試そうとして居る。ウインゴはグループの地元市場であるコロンビアとパナマでの供給席数で、すでに2%の占有率を獲得して居る。
コパは、これまでフルサービスのコパ・コロンビアと言うブランドで運航していた不採算路線をウインゴに移管し、また、新たに通常の2クラスフルサービス商品では採算の取れない、地点間レジャー路線を開設して、典型的な複数ブランドの戦略を採ろうとして居る。
然し乍ら、コパは新たなエアラインをゼロから立ち上げる、典型的な複数ブランド戦略を採ろうとしては居ない。即ち、ウインゴはコパ・コロンビアの運航者証明をそのまま使い、スケールメリットを出しながら、リスクを最小化する、然し、可能性として利益は限定しようと言うのだ。
フルサービスエアライングループの傘下のラテンアメリカ最初のLCCとして、ウインゴは多くの点で実験をする事となる。仮に最初の4機のモノクラス737−700を使った試みが上手く行った場合、コパは、コロンビアとパナマでの拡大にウインゴを使う可能性があり、その他のラテンアメリカ市場でも同様だ。一方で、他のフルサービスエアライングループも自社のLCCブランドか子会社を立ち上げねばならないと考える事になるかも知れない。
Colombian LCC Wingo: Copa becomes first Latin American airline group to test out multi-brand model
Premium Analysis
スクート 第2部:路線網拡大の新たな局面が始まる=5つの新路線と、乗継旅客への集中で
02-Aug-2017
シンガポール航空(SIA)のLCC子会社である、スクートは2017年第4四半期に5つの新路線を開設して、路線網拡大の新たな局面を開始しようとして居る。スクートはまた、既に2018年に開設として1つの目的地を発表して居り、そして向こう数カ月の間に更に幾つかを発表する予定だ。
スクートは、新路線、フルサービス姉妹エアラインからの移管路線、そして、既存路線の増便、機材大型化を通じた追加供給などを総合して拡大を図って居る。
スクートの次の2つの新路線である、シンガポール=クアンタン、シンガポール=パレンバンは、フルサービス姉妹エアラインであるシルクエアから移管されたものだ。ハルビン、ホノルル、そしてクアンタンは、2017年遅くか、2018年の早い時期に、SIAグループにとって初の目的地になる予定だ。
今回は2017年7月25日にタイガーエアとの統合を完了した、スクートの戦略を検証する分析の第2部である。第1部では、保有機群を拡大するスクートの計画について見たが、今回第2部では、路線網拡大と、乗継旅客の比率が増える中で、既存路線での供給を拡大する商機について焦点を当てて見たい。
Scoot Part 2: new phase of network expansion begins with five new routes, focus on transit traffic
ユナイテッド航空、杭州を撤退=上海の拡大とともに中国の副次的な便が重複し始めて
31-Jul-2017
ユナイテッド航空は、2017年第2四半期の太平洋横断路線の実績が予想を下回る結果となった事について、中国と香港での需要が軟化した所為であるとした後、2017年10月14日以降、中国の副次的都市である広州への便を休止し、計画Aに戻ることとした。ユナイテッドは、サンフランシスコ=上海浦東の第2便目の発着枠が確保出来なかった2016年7月に、787による週3便のサンフランシスコ=杭州線を開設した。杭州は高速鉄道で45分の、上海の需要領域の一部で、大規模な電子産業の企業が本拠地を置いて居る事から、上海で発着を阻まれた場合の代替としては充分相応しいと思われた。
然し、杭州を開設した後に、ユナイテッドは、上海の発着枠を貰い、2016年10月にサンフランシスコ=上海の毎日2便目を開設した。杭州の実績は予想を下回り、搭乗率がユナイテッドの平均を下回り、通常の副次的な都市への長距離便より低いという結果を招いてしまった。
ユナイテッドの上海線の実績も明らかに供給過剰から悪化してしまった。杭州を終わらせることで、供給の過剰は緩和される筈である。中国の副次的な長距離路線は注目を集め、BAの成都撤退に次ぐユナイテッドの杭州休止にも関わらず、市場の基盤は変わることは無い。違うのは主要都市での商機と、経営が副次的な都市での商機をどの様に変えて行くかである。
United Airlines exits Hangzhou: secondary China service became redundant with Shanghai growth
Premium Analysis
日本航空、ベトジェットと提携=東南アジアから太平洋横断路線への送客を押し上げる為に
31-Jul-2017
不釣り合いなカップルが、実利本位で提携し、JALとベトジェット航空が、歩調を合わせて、コードシェア提携へと進んで居る。
アジアの最も名高いエアラインの一つが、ビキニの制服で、限界を押し拡げつつ、急速にベトナム市場での占有率を拡大して居る、アジアで最も若いエアラインのひとつとチームを組もうとして居るのだ。その通り、この2社は互いに相応しくない様に見える一方、両社が、それぞれのライバル、ANAとベトナム航空の間に現存する提携関係に影響されて居ることは間違い無い。
JALとベトジェットは、日本=ベトナム間路線と国内線でコードシェアする計画だ。JALが東南アジアに更に入り込んで行くのに、ベトジェットを提携相手に使う事は、かなりの注目を集めて居るが、 ベトジェットの東南アジア版図には限界がある。ベトジェットは、やがてはJALの北米路線網にアクセスしたいと考えて居るだろうし、JALは、東南アジアの主要市場から、JALの北米路線便に送客してくれる、低コストな提携先を必要として居る。国内線では、ベトジェットは殆どベトナム航空と同規模である。然し国際線では、ベトナム航空の方がずっと大きく、国を代表するエアラインの地位を享受して居る。JALは規制の軛を解かれ、自由な時代に入った。ベトジェットとの提携は、利益をもたらすかも知れない、そして、JALにもまだ他に追及すべき商機がある。
Japan Airlines partners with VietJet to boost Southeast Asian feed for trans-Pacific network