ロンドン旅行ガイド
8 滞在中の食事 1 レストラン
幸せであれ。しかし決して満足するな
(中 俳優 ブルースリー)
「ロンドンに美味しいものはない」という言葉をよく耳にします。
私の個人的な意見ですが、確かに中華街のある店で「えっ!」という料理に出会ったこともあります。たしかに「不味いなぁ」と思う店でした。
それでも総じて言えば、ロンドンのレストランでの食事は「ロンドンで美味しいものは高い」という表現のほうがぴったりくるのではないかと思います。
コストをかければ間違いなく美味しい食事に巡り合えるとは思います。 とはいえ、ロンドンは物価も高く、一介の旅行者に高価な料理はなかなか手が届きません。
旅行の目的の一つは日本で味わえない現地の味を知り、楽しむことです。今回は限られた予算内でロンドンの雰囲気や食べ物をいかに楽しむかということに着眼してご説明します。
ロンドンのレストランは高い
イギリスの通貨、ポンドは以前より安くなり、£1(1ポンド)は150円強です。それでも、市内の高級ではない普通のレストランで控えめな食事をして£30~£50/人程度はかかると思います。
レストランの食事が高いか安いかを考える一つの目安として、下に日常的に使う出費のサンプルをロンドンと東京の両都市の物価を比較してみました。ロンドンの物価を感覚的につかむためです。これらの3例の単純平均では東京の1.5倍程度ということになります。
ロンドン(£) | 東京(円) | 倍率 | (東京での店舗) | |
地下鉄初乗り | 2.4 | 170 | 2.2 | 東京メトロ |
ビッグマック | 3.19 | 390 | 1.3 | マクドナルド |
カフェラテ(店内) | 2.05 | 310 | 1.0 | サンマルク |
平均 | £1 = 153円 | - | 1.5 |
レストランでの一般的な食事
標準的なレストランに入ってメニューを見てみます。イギリス料理でも他の国の西洋料理でも同じです。
①スターター:最初に注文する料理。メニューに(Starter)と書いてあることが多いです。前菜(アペタイザー)のこと。一皿のボリューム日本より多く、ワインが進みます。
②メイン:2番目の料理。肉または魚。基本はどちらかのチョイスです。2つ頼んでもいいのですが、同席者とは皿数を合わせる必要があります。
③デザート+コーヒー:お好きなものを。出てきたボリュームの多さを見ると、メインの料理を控えめにしておくんだったと思うかもしれません。
コーヒーのチョイスは男性はエスプレッソの人も多いです。
④ワイン:レストランではお酒はワインが一般的です。
高級レストランでも、年代物の高級ワインを勧められることはないと思います。店がまとめ買いしてあるハウスワインで十分です。
食前酒の定番はシャンパンですが、メニューからお好みで選べばいいと思います。私はよくシェリー酒を頼みます。食後にイタリア産のグラッパなどアルコール度の高い焼酎を飲む人もいます。
高級レストランでは店に入ったら、まずバーに案内されます。係の人が食前酒+アミューズ(小品)の注文を取ります。同席のメンバーが全員揃うまでラウンジでアルコールを飲みながら歓談します。全員揃って店に入るときにはバーはパスしてかまいません。
ここにビールとスコッチが出てこないのは私も不思議ですが。ビールとかスコッチとかは2次会用ですか。
東京との違いはパンは無料ですが、水は有料です。
日本のレストランとここが違う
東京とロンドンはどちらも世界的な大都市で、レストランの状況はよく似ていると思います。世界各国の料理を提供するレストランがあり、たくさんあるので、それぞれグレードもまちまちです。"これがイギリス料理だ"という店はそれほど多くはありません。
安めのレストランは大概インド料理や中国料理だったりします。それで、おそらく日本の居酒屋にあたるパブにイギリス料理の庶民料理があるのでしょう。
ロンドンらしいメニューはなかなか思いつきませんが、何人かのイギリス人の友人がキドニーパイ(牛の腎臓肉のパイ包みシチュー)を頼むのを見ました。
フィッシュ&チップス(北海タラの切り身の衣揚げ)も一般的です。敬虔なキリスト教徒は金曜日に魚を食べるそうです。
また、多くのイギリスがラム(子羊の肉)を好んで食べます。おそらく羊の国だからでしょう。繁殖期の春がシーズンだそうです。
レストランでの食事の雑学
一皿ごとのボリュームがかなりあります。女性は特に、予め料理を同席の人とシェアしたいと言えば、別皿に取り分けてくれます。ハーフポーションの際も皿の数を同席の人と合わせます。
食事を終え、(Check Please)と会計を頼みます。店の人が品目ごとの値段の入った伝票をもって来ます。20%の税込みです。
下に空欄がありますので、サービス料が含まれていなければ、チップの金額(1~2割程度の合計額の数字が切りが良くなる数字)をペンで書いて全体の合計額を支払います。これで釣りはちゃんと返ってきます。電子端末でも料理の金額を確認をしたうえでチップの金額を入力してチップを払います。サービス担当のスタッフはチップが主たる収入という店もあります。
(落ち着いてチップを払うやり方)先輩に教わったのは、”Check Please”と会計を頼むと係の人が計算書を持ってきますが、係の人が立って待っていても、鷹揚に計算書を眺めて何を食べたのか思い出を辿るのだそうです。そうすると、万事自分の間(ま)で物事が進むそうです。
安めのレストランでも食前酒抜きで£50/人は覚悟する必要があります。