全国一宮 第4回 「丹波国一の宮 出雲大神宮」、「丹後国一の宮 籠(この)神社」(2014年 春)

2015年8月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)


 伊勢神宮より古い伊勢神宮が、出雲大社より古い出雲大社が京都府下にあるってご存知ですか?

 出雲大社の本家はこちらと伝承のある”元出雲”と呼ばれる「丹波国一之宮・出雲大神宮」が、京都市のすぐ北の亀岡市にあります。

 ”元出雲”を訪れると、御神体は後ろの”お山”、奥山の上の社に参ると”磐座(いわくら)”もたくさんあり全くの出雲系アニミズムです。 神聖なるも異世界を感じさせるお宮です。

 更に人口9万人の小都市亀岡なのに、何故か島根県の出雲大社の京都分院なるものが亀岡の別の場所にあるそうです。

 正当性を張り合うため? 亀岡の出雲大神宮を見張るため?・・・全くの謎です。

元出雲(出雲大神宮)鳥居

元出雲(出雲大神宮)本殿



元出雲・磐座(いわくら)

元出雲・上の社



 天橋立のある丹後の宮津市には、伊勢神宮下宮の祭神/豊受大神の故郷故に”元伊勢”と呼ばれる神社、「丹後一宮・籠(この)神社」があります。


 ”3種の神器”は天皇家の正当性を担保するものですが、何故か天皇家と相性が悪く、”鏡”は伊勢神宮、”剣”は熱田神宮にあり、出雲産の”勾玉”のみが皇居にあります。 不思議です。


 第10代・崇神天皇の時代、天照大神(鏡)は天皇と同じ部屋に居たくないと大和を出て諸国を放浪、丹後にも立ち寄り、籠神社祭神・豊受大神と意気投合、一緒に伊勢を安住の地とし鎮座しました。


元伊勢(籠神社)鳥居


 故に今の籠神社は元の祭神が伊勢に去ったため、宮司家/海部氏(あまべ)の祖先神「彦火明命(ヒコホアカリノミコト」を祀っています。 「彦火明命」は天孫した「瓊瓊杵尊(ニニギノミコト」の兄です。

 現宮司は82代目で天皇家や出雲千家氏に匹敵する古い家系で”丹波国造”(当時は丹後はまだ丹波の中に含まれていた)の流れを汲む日本海を押さえた海人族です。

 海部宮司家には日本最古の書写本でない真筆の家系図が現存、また発掘されたものでない”銅鐸”も伝えられています。 驚きです。

 籠神社の狛犬はお尻が上がっています、これは”出雲系神社”の特徴です。 更に「狛龍」も居ます、海部氏が海人族だからでしょう。 龍宮に行った浦島伝説もこの丹後です。

元伊勢(籠神社)本殿

狛龍

お尻を上げた出雲系の狛犬



 丹波・福知山市の大江町の山奥に、ここにも”元伊勢”と呼ばれる「元伊勢内宮皇大神社」があります。

 

 写真は、北丹後鉄道の電車の窓から撮った福知山市の”元伊勢内宮皇大神社”の鳥居です。
・・・・・どうしてこんな奥深い山中に?

 天照大神が諸国を放浪し、丹後の豊受大神と出会った頃、住んでいた場所と理解すれば納得です。

 

 近くに酒呑童子の大江山があるだけに”神秘さ”が際立ちます。
 謎だらけで、そしてどこまでも神秘的で、さすが”京都”です。

元伊勢内宮皇大神社鳥居

福知山“元伊勢”の案内看板