全国一宮 第13回 「河内国一宮 枚岡神社(ひらおかじんじゃ)」 (2016年2月)

2016年5月2日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 近鉄奈良線で大阪ミナミの「難波駅」から30分ほどで生駒丘陵/平岡山の中腹に鎮座する“河内国一宮枚岡神社”のある「枚岡駅」に着きます。ここは、古代、平城京から最大の港“難波津(なにわづ)”を目指す最短の道、生駒山の西麓“暗峠(くらがりとうげ)”を越えた所・・・ここは都を守る大事な場所でした。当時は、河内湖と海が生駒山近くに迫っていたため、ここ枚岡神社からは、眼前に大きく河内湖、“難波津” そして瀬戸の海が見えたでしょう。
 絶景の場所であり要所でした。
 
 祭神は、神武天皇の時代に、中臣氏が祖先神「天児屋根命(アコヤネノミコト)」を祀ったのを始まりとし、後にこの「祭神/天児屋根命」は奈良の春日大社(藤原氏の氏神)の第四殿へ分霊されたため、“枚岡神社”は“元春日”とも呼ばれ、古い歴史と高い格式を有しているお宮です。
 
 中臣氏(藤原氏)は神代の時代から一貫して天皇家と皇城をお守りしてきた“親衛隊長”だったのでしょう。

平岡神社二の鳥居

二の鳥居の前にあるしめ縄(結界)


なで鹿(神の使い)

 中世以降は、中臣氏系の“平岡連(ひらおかのむらじ)”の後裔と称する河内の有力土豪“水早氏(みずはやし)”が代々宮司を務め、河内源氏台頭以降は、その有力家人としても大きな勢力を持ったようです。
 
 駅を出た途端、大きなしめ縄(結界)、鳥居、広い参道、鬱蒼と茂る杜、厳粛な雰囲気が漂ってきます、山に向かって参道を登っていくためか、圧倒的な゛神の神秘な力“を、そして”風格“を感じる神社です。
 境内は山の森の斜面に沿って広く本宮は平岡山の山頂にあります。

「天孫輔弼」の碑


参道広場から“拝殿”を望む

 

 境内には“出雲井”と云う古代から湧き出る井戸が今もあります。
 そしてこの“出雲井”は、この神社の地名です。

 

 ここは“天孫降臨系”の神社ですが、“三輪山”など“出雲神”とも古代には何か関係があったのでしょうか?

 

 不思議な地名です。

本殿遠景

 境内を抜けると山の中腹に広大な“枚岡梅林”があり、訪れた季節が2月末であったため色とりどりの“梅”が満開でした。

 

 そして梅林の向こう眼下には大阪市街が見渡せ、心のなごむ風景でした。

枚岡梅林

“拝殿”を望むしめ縄

楠木正行ゆかりの井戸立札

井戸/出雲井


 

今も地元の人々に愛され、 また地元と共に生きる素敵な一宮です。