京都ミステリ-スポット 第12回 「京の三名水」(2016年2月)

 2016年4月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 三方を山に囲まれ鴨川や桂川の流れる京都盆地の地下には、琵琶湖に匹敵する大量の地下水を有していると言われています。
 京都人はこの水を「御神水」として崇め利用し、酒造り・京菓子・湯葉・豆腐などの食文化を育んで来ました。
 今も百近くの“名水”が京都の寺社など多数残存し利用されていますが、今日は、そのうち、古来より「京都三名水」と呼ばれている“名水”をご紹介します。

 

1. 「染井(そめい)」
   御所の東側/清和院御門の側、明治維新の功労者/三条実萬・実美父子を祀る「梨木神社」             (旧三条家邸跡)の境内にあり、ここは元々、平安前期の清和天皇の御母/染殿皇后(藤原良             房の娘)の「染殿」と呼ばれた里御所跡で、宮中の染所としてこの井戸の水が使われたことが

          由来と言われています。

       三名水の中で、唯一今も千年を超え湧き続いている現役の井戸、“茶の湯”にも愛されてきまし

   た。

梨木神社鳥居

手水舎「染井」


 

朝10時頃、見学をしていた僅か30分ほどの間に、水を汲みに来る人は絶えず、
 僕も「お水」を頂いてみると、とっても柔らかくまろやかで甘いお水でした。

 

 

千年を超え湧き続ける

「染井」

“はっと”するほど、透明で綺麗、そして、美味しいです。



縣井

御所「三名水」の一つでもある。

 

 

3. 「佐女牛井(さめがい)」
   平安時代より名水として知られた“佐女牛

 井”は、源氏の六条堀川邸にあったと言われて

 います。

 室町時代には、茶人/村田珠光がこのあたり

 に住み、足利義政に献茶したと言われていま

 す。 その後も、千利休、織田有楽斎などに好

 まれ更に有名になりました。

 第二次世界大戦時の堀川通りの強制疎 開・

 拡張工事の中で撤去され、現在は、「京都東急

 ホテル」横の堀川通りの歩道の傍らに、石碑を

 残すだけです。 残念です。

 

2. 「縣井(あがたい)」
   御所の西側/中立売御門の近く、旧一条

         家邸跡にあります。
   休憩所の裏手の林の中にあり、御所を

         散歩する人も気づかず、通り過ぎてしまい

         ます。
   長く枯れていましたが、1997年に環境庁

         の努力で復活しました。

 

 古来、この井戸の傍に「縣宮」と呼ばれる社があり、地方の国史として出世を願う中級貴族が、井戸で身を清め祈願してから、宮中に参内したと言われています。

中立売御門

御所の塀

由来・歴史の立札


堀川通り西側歩道を南に見た景色、南に見えるのは「西本願寺」

「佐女牛井」跡の石碑